ハロウィンはどうでもいいがカボチャのお菓子は食う
「ああ、イネルティアさんはちゃんと食べているでしょうか」
「言葉だけ聞けば心配しとるように聞こえるんじゃがのう」
ハロウィン特製カボチャケーキを作るためにミキサーでカボチャかき回しつつ遠い目をしながら言うナタンさんと、その様子に呆れながら生クリームを用意するリィンベルさん。
生クリームはリィンベルさんも食べられるように植物性です。
というかイネルティアさんのために新たなレシピ開発に余念がないナタンさんなので、大抵その試作品は同じエルフなリィンベルさんが試食しています。
しかしやはり節制ができているのかリィンベルさんに太る気配は零。
これにはあわよくば次の獲物をと思っていたナタンさんも枕を濡らしました。
うん。キモイな!
「私は以前から思っていました。エルフは美しい人が多いですがふくよかさが足りないと」
「何か語り始めよったこやつ」
遠い目をしたままなんか言い出したナタンさんを冷静に見守るリィンベルさん。
リィンベルさんが見た目の割に精神が高齢者でなければ即座に訴えてるし勝てる状況です。
「おぬし太ると葛藤しとる様が好きなんじゃなかったのか」
「それはそれ! これはこれ!」
「……左様か」
どうやら太ると葛藤するのも実際に太っちゃうのも大歓迎らしいナタンさんの性癖に何かを諦めたリィンベルさん。
禁欲的な生活してた人は性癖も拗れるから……(偏見
「私の今の野望は動物性由来のものを使っていないのに高カロリーな料理をあちらの世界で流行らせることです」
「そうか。頑張れ」
そうなったらそうなったで、実際太るかどうかは個々の問題なので別に止める気はないらしいリィンベルさん。
ケーキに使わない余った生クリームをスプーンでつまみ食いしながら傍観の構えです。
今日も日本は平和です。
・
・
・
一方高天原。
「トリックオアトリート!」
「姉上が仮装する意味あります?」
黒い三角帽子とマントで魔女スタイルなアマテラス様に言われて、用意していたカボチャプリンを差し出しながらつっこむツクヨミ様。
可愛いから問題ありません。
「え? 私はコスプレしちゃいけないの?」
「そもそもハロウィンに仮装するのは、お化けやら化物が現世を徘徊するので仲間だと思わせてやり過ごすためですよ。姉上仮装してもやり過ごすどころか近くに存在するだけで蹴散らすでしょう」
「私のせいでハロウィンが阿鼻叫喚に!?」
平穏なお化けたちの集会に太陽神が!
別に太陽が平気なお化けもいますが吸血鬼あたりは確実に致命傷です。
ケルト由来なハロウィンに実際吸血鬼出てくるかどうかは分かりませんが。
「まあお化けに紛れるためではなくお化けを脅かして追い払うためだという説もありますが、その場合も姉上は仮装の必要ありませんし」
「脅かし方のベクトルがダメじゃん。私じゃなくてもハロウィンにヴァンパイアハンターとか現れたら雰囲気ぶち壊しじゃん」
「余興としては面白そうですが」
むしろ某ゲームの特殊なプレイ動画によりヴァンパイアハンター=変態、人外というイメージが出来上がっているのでワンチャン……?
「そういえばジャック・オー・ランタンって天国にも地獄にも行けなくなって現世を彷徨ってるんだから、日本の黄泉にならいけるんじゃ?」
「カボチャ男を連れて行ったら母上がどんな反応すると思いますか?」
「……元居たところに帰してきなさい?」
「捨て犬ですか」
でも案外あっさり受け入れそうだなあとも思うツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。




