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第296話 力の使い方

 

 ーーーカイト視点ーーー


 ナリストとゼルナを見送って、戦の準備を進めていたら


「カイト様、申し訳ありませんでした!」

「いや、レムレは何も悪くないだろ、あの状況はどうしようもないだろ?」


 レムレが俺に謝ってきた

 そんな必要は全く無いのに


「しかし……」

「それに、ガルダに襲われた時に助けてくれたのレムレだろ? ガルダの指を正確に射抜いてさ」


 あんな事出来るのレムレくらいだ


「レムレのお蔭で、俺もカイナンも無事にゴウルンに来れたし、これからも頼りにしているんだ。 胸張って堂々としてろ」


 ポンッとレムレの胸元を拳で叩く


「……はい!!」


 レムレの表情が明るくなった

 やっと元気になってくれたようだ


「さて、じゃあ俺達はどう動くか確認しようか?」


 俺は机の上の地図を見てから、周りを見渡す

 俺の右手側にアルス、左手側にライアン

 ライアンから時計回りにレムレ、シャルス、ユリウスそしてアルス、俺ってなっている

 俺の向かいにユリウスが居る感じだ


「先ず、今のところの予定ではゼルナの部隊がリールを、ロンドベルトの部隊がフライトに攻めていきます」


 ユリウスが地図を見ながら言う


「それでオーシャン軍は、ベスス軍の2つの部隊の中間地点……ここに進軍していき、飛竜隊からの連絡次第でどちらかの援軍に向かう形になります」

「要するに臨機応変に対応って事だな」


 まあ、これは現在の予定であり、リール軍の出方次第で大きく動きを変える事になっている

 今はリール軍が籠城するって予測で進めているからな……出陣してきたらまた予定変更だ


「リール軍は動くと思う?」


 アルスが呟く


「間違いなく動く」


 ユリウスが答える


「戦姫はドンドンと前に出てくる性格みたいだし……都の中で大人しくするなんてしないだろ……どう動くはわからないが、絶対に何か仕掛けてくる」


 ユリウスはそう言うと再び地図を見て考え込む……

 そのリール軍の行動を予測して対応している……ユリウスはとても頼もしいと思うがな


「奴等がどう動いても、ぶっ潰せば良いんだろ? 任せろ」


 ライアンはそう言って張り切っている


「オイラも張り切るかな」


 シャルスも張り切る


「よし、俺も頑張るかな」


 俺も張り切ってみる


「兄さんは大人しくしててね」


 アルスに釘を差された


 ·········


 その後、ナリストとゼルナが戻って来た

 レーギスターンをゼルナが持って来てて驚いた

 ナリストに「国宝あったの?」って聞いたら


「あったよ、今まで誰も使えなかったけどね」


 って笑いながら答えた


「少し試してくる」


 そう言ってゼルナが訓練所に向かったから、興味本位でライアンと一緒についていった


 レーギスターンを振るうゼルナは凄まじく

 用意した訓練用の人形を次々と真っ二つにした


「凄まじい斬れ味だな」


 斬られた人形を見ながらライアンが言う


「駄目だな、俺が使いこなせてない」


 ゼルナは不満そうだった


「斬れちゃ駄目なのか?」


 俺が聞くと


「なんでも問答無用に斬れてたら、そのうち仲間も傷付ける……斬りたいものだけ斬れるようにならないとな…………間に合うかどうか」


 難しい顔をしてるゼルナ


「……間に合うかはわからないけど、使いこなせる様にはなるだろ、ゼルナは力の使い方とかよく分かってるし」

「姉上と同じような事を言ってくれるな」


 ゼルナはそう言って微笑んだ


「力の使い方か……」


 ライアンがそう呟いたのが聞こえた


 ········


 ゼルナが力の調整の為の素振りをしてる間

 俺とライアンは少し離れた所で見物する


「なあライアン、何か悩みとかあるのか?」

「いきなりどうした大将?」


 ライアンが俺を見る


「さっきから様子がおかしい気がしてな、何か気になる事があるのか?」

「いや、昔の事を思い出してただけだ、悩みって程じゃねえよ」

「昔の事ね……よかったら聞かせてくれるか?」

「面白い話じゃねえぞ?」


 ライアンはそう言って話して始める


 ーーーライアン視点ーーー


 ガキの頃……8歳くらいだったか

 その時から、俺の力が強くてな

 同年代の子供どころか、大人にも負けないくらい腕っぷしがあったわけだ


「ライアン、また人をボコボコにしたそうじゃない」

「アッチが悪い、俺を見下してきたんだ!」


 ムカつく奴は片っ端からぶっ飛ばしてたな

 そんなガキは、まあ嫌われるか怖がられるか……村じゃお袋ぐらいしか俺と関わろうとする人は居なかった


 そんな時に親父が村に来て、お袋から聞いたのか


「鍛えるぞ! ライアン!」

「……はっ?」


 何故か鍛える事になって、親父に言われた事をやってたんだが

 親父が村から帰る時に言うんだよ


「力の使い方を間違えるな、暴力は虚しいだけだぞ」

「……わかんねえよ」

「ならわかるまで教えてやる! また帰ってくるからな!」


 んで、1年後にまた来て、俺を鍛えて……

 毎年毎年……俺が15になった年……


「親父、何となく……わかった気がするけどさ、今更どうしたら良いんだ? 力の使い道はわかったけど、使い方は良くわからねえよ」

「使い道がわかったなら、使い方もこれからわかっていく! ライアン、お前はまだ若い……これからの人生で色んな人間に関わればな!」

「…………」


「ライアン、もし……お前が望むなら…………いや、今はまだ良いか」

「……」


 何となく、親父が言おうとした事は察した

 軍に誘おうとしたのがわかった

 だが、結局親父が直接誘う事はなかった



 ···········


「まあ、結局大将に会って、そのまま誘われたから軍に入ったけどな」

「俺は良い出会いだったと思うぞ?」

「いきなり斬り掛かる奴を誘うのはイカれてるぞ?」


 まっ、そのお蔭で……俺の世界観が大きく拡がったがな

 正直オーシャンは居心地が良い、俺にビビる奴なんて居ないし

 色んな奴が居る……


「んっ? 俺を見てどうした」

「いや、大将はすげぇなって思ってな」

「?」


 大将は自分を弱い弱いって言うが……俺は強い男だと思ってるぞ

 俺のわからなかった力の使い方を……教えてくれたしな


「大将、絶対に死なせねえからな」

「いきなりどうした? まあ頼りにはしてるがな」


 ·············


 ーーーブライアン視点ーーー


 ナリスト様に言われて、僕は現在飛竜に乗って、リール軍の陣を探している

 目的は降伏勧告の手紙を戦姫に届ける為だ……

 リールの都に行ったら、ここには居ないって追い返された


「んー、フライトに居るのか?」


 ていうか本拠から離れるって……何を考えているんだ?


「おっ、リール軍の旗、あそこが陣か?」


 少し離れた所に着地して、陣に向かう


「止まれ!!」


 兵士に止められる


「ベススの兵が何の様だ!!」


 槍を向けてくる兵士達

 僕は兵じゃなくて将だけど……まあいいか


「ナリスト様からの使者です、この手紙をフラン·リップ·リール殿に届ける様にと……この陣に居られますか?」


 もし居なくても、将が居たら渡して届けて貰おう


「……少し待っていろ」


 1人の兵がそう言って陣に入る

 そして1人の将を連れてきた


「ベススからの使者と?」

「はい」

「おっと、私はラスターと申します……貴殿は?」

「ブライアンと申します……」

「ああ、ここ最近将になった! まさか使者として来られるとは」


 お互いに礼をする


「フラン様への手紙でしたね? 拝見しても?」

「どうぞ」


 ラスターに手紙を渡す、将なら手紙を見られても問題は無い


「……成る程、降伏勧告ですか……条件も悪くない」

「では」

「だからと言って私が決める事ではありませんので……こちらの手紙はフラン様へお渡ししましょう、返事は数日以内に…………ゴウルンに届ければよろしいですか?」

「はい、直ぐにベススのナリスト様へ届けます」


 嘘だ、ナリスト様はゴウルンに待機してる

 しかし、それを正直に言うほど馬鹿じゃない、ベススに居ると思わせとこう


 僕は陣から離れて、飛竜に乗り、ゴウルンに戻った


 ··········


 ーーーカイト視点ーーー


 数日後、リールの兵が使者としてゴウルンにやって来た


 兵士が手紙を受け取り、ナリストに届けられ

 ナリストが手紙を確認する


「……ぷっ! あっはっはっは!!」


 ナリストが爆笑した


「姉上?」


 ゼルナが困惑している

 俺も困惑している

 ナリストがゼルナに手紙を渡す


「………………」


 ゼルナが頭を抱えた


「ど、どうしたんだ?」

「……読めばわかる」


 ゼルナが俺に手紙を渡す


「読んで良いのか?」

「問題ない」


 俺は手紙を読む


『拝啓ナリスト殿、貴殿からの降伏勧告はしかと受け取った。

 返事はわかっていると思うが、断らせてもらう

 余の意地もあるが……先祖から続く長い因縁、決着は戦でつけたいと思う。

 リール軍の強さをしっかりと味わってもらおう。


 追伸、そちらの礼儀にコチラも礼儀を返させてもらう、3日以内に仕掛けるぞ(ハート』


「……最後のハートなに?」

「聞くな」


「向こうが折角教えてくれたんだ、こっちもしっかり答えてやるとするかね!」


 ナリストはまだ笑いながらも、指示を出す

 しっかりと迎撃するって事だな



 そして翌日、リール軍は仕掛けてきた

 こっちの予想を超えた……っというか予想外の方法で仕掛けてきた


 ナリストもゼルナもロンドベルトも

 俺もアルスも困惑した……

 リール軍の行動が、愚策にしか思えなかったからだ


 ただ1人


「……やられた、これは面倒だぞ」


 ユリウスだけはそう呟いたのだった



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― 新着の感想 ―
少し前にランキング入られた時に読ませて頂いてはまりました。 もう少し更新ペース早ければ、ランキングにも入りやすいと思いますが、無理せず頑張って下さい。 今んとこ、最推しのユリウスが戦術面でも活躍し始…
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