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第294話 対リールへの軍議

 

 ーーーカイト視点ーーー


 頭に布を巻く


「はぁ……はぁ……ふぅ」


 ファルンに背中を擦れられていたゼルナが、漸く落ち着いたようだ


「さて、ゼルナも来たし、軍議を始めるかね」


 ナリストが言う

 レムレとブライアンが来てないがいいのか?


「レムレは今は医務室で包帯変えてるし、ブライアンは多分飛竜を飛ばしてから来るんじゃないかな?」


 アルスが俺に耳打ちする

 それなら2人とも後から来るかな


「先ずは現状把握しようか……ファルン! 今の都と配置してる将達の情報を出しな!」

「はい!!」


 ファルンは兵士から用紙を受け取り、机に広げる


「現在、ベススの都はこちらになります」

『ベスス』

『ルノマレス』

『ヤーマン』

『コルール』

『ガンダー』

『ゴウルン』


「さらに、ゴウルン以外の都の将達の情報を書きますと……」


『ベスス』ヒータ、シーマ

『ルノマレス』不在

『ヤーマン』ベルル

『コルール』ライガン、チップス

『ガンダー』モノトール


「っとなります」


「んっ? そう言えばロンドベルトを連れてきたんだな?」


 俺はロンドベルトを見る


「最前線がコルールからゴウルンになるからね、チップスと交換するかたちで連れてきた!」


 ナリストが答える


「このベルルって誰?」


 アルスが聞く


「うちの将だ……そういえばまだ会わせてなかったな」


 ゼルナが答える


「今回のリールとの戦いには参加しない感じ?」


 俺が聞く


「そうだねぇ、リール軍がヤーマンを攻めるなら防戦するだろうけど……今回はヤーマンでの待機を命じてるよ」


「それなら今は会うことは無さそうだな」


 リールとの戦いが終わったら会えるか?


「それじゃ、話を進めようか」


 ナリストが仕切り直す様に言う

 ファルンが続ける


「それで、リールの方の都は……」


『リール』

『フライト』


「この2つです」

「都の数だけなら圧倒的なんだがな……」


 ゼルナが呟く

 ここからが大変なのがわかってる声だ


「リールはどう動くと思うんだい?」


 ナリストがロンドベルトを見る


「そうですな……普通なら停戦か、従属か……延命の為に動くでしょうが、奴等はそんな事はしないでしょう……総力戦を仕掛けてくるのは間違いないですな」

「勝ち目が無いのにか?」


 ライアンが聞く


「ライアン、何をすれば勝ちだと思ってる?」


 俺が聞く


「んっ? そりゃあ、敵をぶっ倒して都を全部手に入れることだろ?」


 要するに相手を滅ぼすのが勝ちって思ってるのか


「それも確かに勝ちだな、でも正解の一部って所だな……はっきり言って、これで勝ちって決まりは無い」

「??」

「勝ちの条件は状況で変わるって事だ……今のリールなら、都を1つや2つ取り戻せたら勝ちって所だな」

「取り戻すって……いくらなんでもこの戦力差で無理だろ?」

「無理なんて決めつけるな、必死に戦ってくる敵は手強いぞ」

「そうそう」


 ナリストが頷く


「ライアンって言ったね? まだ良くわかってないみたいだけど、2つ教えてやるよ」


 ナリストは指を2本立てる

 ライアンがナリストを見る


「先ず、戦力差なんて考えても意味ないよ、アンタの隣に居る男は、1つの都しかない状況から東方を制圧したんだからね」

「あっ」


 ライアンが俺を見る


「もう1つ、こんな不利な状況になっても、リールの兵や将はフランを裏切ってない、普通なら何人かは内通して寝返ったりするもんさ……それをしないって事は?」

「勝ち目があるって考えてるって事か!」


 ライアンが漸く納得したって顔をした

 そのタイミングで


『失礼します』


 レムレとブライアンが合流してきた


 ············


 ーーーフラン視点ーーー


「将達の配置は?」


 余は戻ってきたゴルグッドに聞く


「フライトにラスター、マードルード、ヤンマ、デオが待機しております……リールには自分とガルダがおります」

「ふむ、ガルダの怪我は?」

「本人は軽傷だと言ってますが……全力で戦えるかは疑問ですな」

「うーむ…………」


 さて、どうするか……


「降伏は論外だしなぁ……」


 それだけは絶対にありえぬ

 しかし、戦力差が大きいのも事実

 ここ数年での将の戦死が痛かったな


「…………ええい、考えてても決まらぬな!」


 余は玉座から立つ


「ゴルグッド! ガルダを呼んで出掛ける準備だ!」

「出掛ける? どちらに?」

「フライトに向かう、全員で話して、全員で決めるぞ!」

「しかし、それだとリールに将が……」

「わかっておる! だがどうせ戦いで空になる! リールに残された時間は少ないからな!」


 ベススに先に仕掛けられたら、勝ち目が完全になくなる

 こっちから仕掛ける必要がある! 出来ればベススが予想できない不意打ちで!!


「わかりました、すぐに準備を!」


 ゴルグッドは玉座の間から出て行った


「さて、余が領主になって最大の危機だな」


 うーむ、震えるな!

 危険な状況なのにワクワクしてる自分がいるぞ!!


「いつもより暴れなくてはならないな!!」



 ···········


 ーーーカイト視点ーーー


 それから色々話して、どうするか、どう動くかを話し合った


「それじゃあ確認、無意味でも最初に降伏勧告の使者を出す」


 ナリストが話で決まった事を確認していく


「そして、私はゴウルンで待機と」


 これはナリストが自分で言い出した

 ロンドベルトとルートゥとファルンは反対したが


『私を餌にした方が良いだろ? 大丈夫大丈夫! ルートゥとファルンも残ってもらうから! 私を守ってくれるだろ?』


 と言って黙らせた


「そして、オーシャン軍はフライト方面に向かって進軍、ゼルナとロンドベルトはリールに向かう、ブライアンは両方の連絡係だね」


 飛竜隊の一部を連絡係として飛ばす事になった

 情報は大事だからな


「それで……ほんとにカイトも出るのかい?」

「餌は多いほうが良いだろ?」


 俺も戦場に出ることにした

 アルスを始めに皆反対してきたけど


 フランに気に入られてる事

 ガルダは俺の命を狙う可能性が高い事

 それを考えたら、リールの主戦力の動きが読みやすくなるかもしれない

 それだけで勝率が上がるのだ

 って話して説得したのと


『俺が大将の側に居るから大丈夫だろ?』


 ってライアンが言って

 渋々って感じで案が通った


「レムレ、大変かもしれないけど、兄さんも見張っててくれ……絶対にやらかすから」


 弟からの信用が無くなってくのを感じた


 そんな感じで軍議は進み、話もまとまった


「さて、これで軍議は終わるけど……何か気になる事はあるかい?」


 最後にナリストが聞くと、レムレが手を挙げる


「んっ? どうしたんだいレムレ?」

「いえ、ずっと気になってた事がありまして……ガルダって人間ですか?」

「どういう意味だい?」

「身体能力が高すぎませんか? 馬車に追いついたり、異常な高さまで跳んだり……ボクはシャルスと同じ獣人族かと思ったのですが……」

「それは無いな」


 シャルスが否定した


「なんで?」


 レムレがシャルスを見る


「確かにアイツの動きは凄かったけど、匂いがオイラ達とは違う……人族で言う『獣臭い』ってやつ? 獣人族の匂いがしなかった……これは香水とかでも誤魔化せない」


 シャルスは鼻をトントンと指で叩きながら答える


「それに見えてた手は人族の手だった、ほら、オイラの手とか毛皮があるから違うのわかるだろ?」


 そう言ってシャルスは右腕を前に出す


「じゃあ、ガルダは人族で間違いないんだね?」

「獣人ではないのは間違いない……オイラが知らないだけで特殊な種族かも知れないけど……身体能力だけならオルベリンみたいに凄まじい人がいるし……ただ、もしかしたら……」


 シャルスはそう言って1つの可能性を言う


「まぁ、これはあり得ないとオイラは思うけどね」


 シャルスがそう言ったところで、軍議は終わった


 ··············


 部屋から出ると、ゼルナがナリストに呼ばれていた


「んっ? どっか行くのか?」


 2人が外に向かおうとしたので声を掛ける


「ちょっとね、直ぐに戻るからカイト達は準備を進めときなよ」


 ナリストが答える


「わかった……」

「カイト」


 ゼルナが声を掛けてくる


「どうした?」

「リールとの戦いが終わったら、お前の知ってる国宝の事を教えてくれ」

「ああ、結構長くなると思うから覚悟しとけよ?」

「程々にな」


 軍議の時に、ゼルナがフランに溶かされた斧を見せてきた

 だから俺が知ってる国宝の話をした


 ゼルナから聞いたフランの剣の特徴

 溶かされた斧の破損具合

 そこから俺が導き出した国宝は


『フランベルジュ』

 炎を操る4等級の国宝だ


 刀身は炎を宿し、それを対象に向けて放つ事も出来る

 ……っが! まだフランはフランベルジュを使いこなせてないのか、剣を高温にする程度にしか出来てないみたいだ……

 それでも強いのかよ……


 俺は気を取り直して、2人を見送った後に、準備を始めるのだった






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