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第293話 ゴウルン攻略戦

 

 ーーーカイト視点ーーー


 ライアンとシャルスに手伝ってもらいながら、カイナン達を起こす

 倒れた馬車を起こしたり、馬の様子を確認していたら、オーシャン(うち)の兵達やベススの兵達が手伝いに来た


 兵達の手も借りて、荷物を馬車に乗せ、俺達はゴウルンに入った



「兄さん! 無事だった…………無事では無いよね?」


 迎えに来たアルスが俺の頭を見て言う


「リールの連中にやられたの?」

「いや、脱出する時に自分で剃った、俺達の髪色は目立つだろ?」

「ああ、成る程……」


 アルスは自分の髪を弄りながら、納得したようだった


「カイト! 良く逃げれたね! やる男だとは思ってたよ!!」


 ナリストがやって来た


「ナリスト? 何でゴウルンに?」

「後で話すよ、それよりその頭は笑っていいのかい?」

「遠慮せず笑え」


 ナリストは爆笑する


 そのままゴウルンの城に入る


「軍議は治療が終わってからにしな」


 ナリストに言われて、ライアンに担がれて医務室に運ばれた

 カイナン達も兵達に運ばれた



 ···········


「打撲痕がある程度ですね、骨も異常は無さそうですし、塗り薬塗っときましょう」


 軍医から薬を腕と脚に塗られた

 カイナン以外の従業員達も軽傷だったが

 カイナンだけは数日安静を言われた


「カイナン大丈夫か?」


 ベッドで寝てるカイナンに聞く


「少し痛むだけです、この程度で済んだのは幸運でしたよ」


 カイナンはそう言って笑う


「何か礼がしたいんだが、何か望みはあるか? 俺で出来ることなら色々手を回すぞ?」

「それでしたら、今回の積荷を買ってもらえますか? 動けない以上、食料は駄目になってしまいますから」

「その程度なら問題ないが……それだけでいいのか? もっと色々出来るぞ?」

「いえいえ、これ以上を望むつもりはありません……貴方を助けたのも元々恩返しなんですから」

「って言われてもな……」

「彼がこう言ってるならそれでいいじゃないか?」

「ユリウス? いつ来た?」

「今」


 ユリウスはそう答えてカイナンを見る


「聞いたぞ、根性見せたそうじゃないか」

「もう、震えて見てるだけなんてしたくないですからね」


 ユリウスとカイナンは笑う


「カイト様、礼が足りないと思ってるなら、オーシャンに戻ってから、カールサルス商会で色々買ってやれば良いですよ、コイツらは商人だからそれが何よりの礼になる」

「そうか?」

「そうですね、自分もそうしてくれた方が嬉しいです」

「そうか、なら……そうさせてもらおう」


 ········


 ユリウスはどうやら俺を迎えに来たようだ


「ユリウスの策がうまくいった感じか?」


 歩きながら俺はユリウスに話し掛ける


「いえ、僕の策だけじゃゴウルンを落とせなかった……ナリスト殿が軍を連れてきてくれたから落とせました……中々上手くいかないものだなぁ」

「切っ掛けはユリウスなんだから、誇っていいと思うけどな? 俺なんかやらかしただけだしな……」

「あっ、そうそう、レムレが気にしてたので、後で話してください」

「わかった」


 レムレの目の前で捕まったからな……

 いや、あれはどうしようもなかったと思うけどな?



「あっ、ここだ」


 ユリウスが部屋の扉を開ける

 中に入ると、ナリストを始めとしたベススの将とアルス達が居た


「あれ? ゼルナは?」


 ゼルナの姿が無い


「まだ戻ってきてないよ、恐らくリール付近で待機してるだろうからね、今ブライアンに呼びに行かせてる」


 そうか、ゼルナは俺が逃げれたの知らないもんな


「じゃあ、軍議はゼルナが来てからかな?」

「そうだね、その間にお互いに何が起きたか話そうじゃないか」


 こうして、俺とアルス達で情報の共有を始めた


 ············


 俺が脱出した話をした後、全員が俺の頭部を見てから納得した表情をした


「確かにカイトやアルスの髪の色は珍しいからね、剃ったのは正解だね」


 ナリストはそう言うと、茶を飲み……俺の頭部を見てから咽る

 そろそろ慣れてくれない?


「さて、それで俺が捕まってる間、こっちではどうなってたんだ?」


 俺が聞くと、アルスが答える


「昨日まではずっとゴウルンを攻め続けてたよ、動きがあったのは深夜くらいかな」


 ············


 カイトが部屋から脱出する頃


 ーーーアルス視点ーーー


「攻めきれないな……」


 ゴウルンを毎日攻め続けていたが、リール軍が慌てる様子はなかった


「敵兵は毎日減らせてるはずなんだがな……」


 ユリウスが望遠鏡でゴウルンの様子を見ながら呟く


「もう少し、もう少し攻め手が欲しいな……」


 ユリウスはそう言うと兵達に撤退の指示を出す 


「なあアルス、メイリーの助言には隠し通路とか書いてなかったのか? コルールの時みたいな」

「書いてないな……」


 ユリウスの策を続けろ

 それだけだ……なんでユリウスの策を実行するってわかってんだアイツ?


 ·······


 フライト村に戻り、次の襲撃の準備をする


「いっそ、全員で総攻撃でもしてみるか?」


 ライアンが言う


「人数差が大きすぎるだろ、嫌がらせは出来ても、決めにいくのは難しいだろ」


 僕が答える


「その人数差を無くせばいいだろ? 他の連中も集めて、一点集中とかしてみないか? ほら、リールの連中も毎回襲撃されてたら、1回ぐらい襲撃されなかったとしても、警戒は続けるだろ?」


 つまり、ゴウルン攻め以外の戦力を集めて、一気に決めようって考えか


「……ユリウス、どう思う?」

「……アリだとは思う……だが問題点がある」

「問題点?」

「ベスス軍がここに集まるまで時間がかかるだろ? 早くても3日はかかるんじゃないのか?」

「3日か……流石に勘付かれるか」


 そんな風に話していたら


「何とかなるかもしれないぞ?」


 シャルスが部屋に入ってきた


「? どういう事だ?」


 ユリウスが聞く


「外に出たらわかる」

「?」


 僕達は建物の外に出る


「よぉ! 来たよ!」

「…………何してんの?」


 ナリストが居た

 多くの兵を後ろに整列させてる

 他にもナリストの側にはファルンやルートゥ、そしてロンドベルト


「カイトが捕まって時間も経ったし、そろそろ何とかしないといけないと思ってね……戦力必要だろ? 連れてきたよ! 兵士3000! 4人の将! そして!」


 グォォォォォォ!!


 空から雄叫びが聞こえて、5体の飛竜が姿を現した


「飛竜隊から5人! これだけあったら決めれるだろ!」


 ナリストは笑顔で言う

 そうだ、この人もかなり無茶する人だった


「ナリスト、増援はありがたいけど……総大将が本拠から出てきたら駄目だろ!?」


 ·········


 ナリスト達を部屋に入れて、軍議を進める、そして話が終わる


「それじゃあ、あんた達が飛竜に乗って、ゴウルンの外壁に乗り込むと」

「コルールの時と同じ様に、外壁の兵士を蹴散らしたら、城門を開ける」


 そこにロンドベルトが指揮する軍で突撃する


「策は単純だけど……やれるのかい?」


 ナリストが聞いてくる


「やれるよ」


 僕は答える、自信はある


「それじゃあ、飛竜隊の4人はそれぞれオーシャン勢を乗せて……ブライアン、アンタも乗り込むかい?」

「そうですね、僕も……」

「ボクも出ます」

「レムレ……動けるのか?」


 レムレがやって来た……まだ1ヶ月は安静の筈だが?


「動けます、矢を射つくらいなら問題ありません」

「……でしたら、レムレさんは僕の飛竜に、射撃しやすい所を飛びますよ」

「決まりだね……じゃあ動こうか!」


 ············


 カイトがリールの都から脱出した頃


 4体の飛竜がゴウルンの上空から四方に分かれて飛ぶ

 そしてそれぞれの飛竜が外壁に接近し、リール兵を驚かせた時、飛竜から人が飛び降りた


 そこからはあっという間だった


 アルスは刀で敵兵を蹴散らし

 シャルスはその速さで兵達を気絶させ

 ユリウスは槍で的確に1人1人始末する

 ライアンは槍をするとリール兵はぶっ飛んでいった


 そして、報告の為に外壁から離れた兵士は、どこからか飛んできた矢に貫かれて、絶命した

 その結果、ゴウルンの守りを任せられていたゴルグッドに報告が来る頃には……既に決着がついていた


 そこからのゴルグッドの判断は早かった、すぐに兵をまとめて撤退を指示

 被害が増す前に、リール軍は撤退した


 ··········


 ーーーカイト視点ーーー


「それで、逃げるリール軍に追撃してたら、俺を見つけた訳か」


 本当に偶然だったんだな


「運が良かったねえ」

「ほんとにな」


 今回の脱出は、本当に運が良かったな……

 もう捕まらないように気をつけないとな……また捕まったらアルスにブチギレられる


 そんな風に話していたら


「カイト! 無事だったんだな!」


 ゼルナが帰ってきた


「おう! 無事帰って来たぞ!」

「……ぶっ!」


 俺の頭を見て、ゼルナは吹いた


「おう、もうこのやりとり何回もやってんだよ、いい加減俺も傷付くぞ?」

「やめろ、迫るな! くくく!」

「面白いか? なあ面白いか!?」

「兄さん、もう布巻こうよ」



 こうして、重要な将が揃ったのだった








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