6
あなたは巨大な扉の前に立った。
その表面はひび割れ、古い装飾が崩れ落ちている。
まるで長い年月のあいだ、この場所を守り続けてきたかのような重々しさがあった。
両手で扉を押すと、鈍い音が響き、わずかに隙間が開く。
さらに力を込めると、扉はゆっくりと、しかし確実に外へ向かって押し広がっていった。
眩しい光が差し込み、あなたは思わず目を細めた。
「……やった。外だ!」
冷たい空気が頬を撫で、広がる景色が視界に飛び込んでくる。
どれほど長く閉じ込められていたのか分からないが、ようやく自由を手にしたのだ。
胸の奥から、安堵がじわりと広がった。
そのとき――
ふとポケットを探ると、指先が一枚の紙片に触れた。
取り出してみると、それは古びた 写真 だった。
数人の子どもたちが笑っている。
その中央に、あなた自身と思われる人物が立っていた。
黒板の前で、何かを説明しているような姿だ。
「……学校の教師、だったのか?」
そう思った瞬間、胸の奥がざわついた。
しかし、どれほど目を凝らしても、
その時の記憶は――戻らない。
思い出せない。
自分が誰で、なぜこの館にいたのかさえ。
それでも、外の風は確かにあなたを包んでいた。
今はただ、この一歩を踏み出すしかない。
――あなたは脱出した。
- END -




