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巨大な扉の前に立つと、冷たい鉄の表面がわずかに震えているように見えた。
あなたは拾った鍵をゆっくりと鍵穴へ差し込む。
金属同士が触れ合う乾いた音が響き、鍵は驚くほど滑らかに回った。
「……開く。」
重い扉を押し出すと、長年閉ざされていたかのような軋みが部屋全体に鳴り響く。
隙間から差し込んだ光が、あなたの顔を照らした。
外だ。
冷たい空気ではなく、自然の風が頬を撫でる。
ついに、閉ざされた空間から抜け出したのだ。
しかし――
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いたような感覚が残る。
外の景色を見ても、懐かしさは一切湧いてこない。
自分が誰なのか、なぜこの場所にいたのか。
その答えは、まだ霧の中だ。
それでも、あなたは一歩を踏み出した。
記憶が戻らなくても、生きて外へ出られたのだ。
それは確かな事実だった。
- END -




