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そこは、埃っぽく薄暗い部屋だった。
割れたランプの残骸や倒れた椅子が散乱し、
長いあいだ誰も触れていないような静けさが漂っている。
散乱して転がる家具の中に、ひとつだけ形を保った 机 があった。
引き出しの取っ手は錆びついていたが、力を込めるとぎしりと音を立てて開いた。
中には、古びた 1冊の日記 が入っていた。
ページをめくると、そこには乱れた筆跡でいくつかの記録が残されていた。
2月5日 あの刑事がしつこい。
3月10日 ついに証拠が掴まれた。
5月2日 あの刑事にやられた傷が原因で、物忘れが激しい。
6月6日 いまさら捜査が来ても、あのクマの胃袋からは刑事のかけらも出ないだろう。
ページをめくる指が止まった。
最後のページは、ひどい殴り書きで日付すら書かれていなかった。
まずい。非常に眠い。早くここを出ないと。
そこで日記は途切れていた。
「……誰の日記だろう?」
胸の奥がざわつく。
その文字の癖に、どこか見覚えがあるような気がした。
だが、思い出そうとすると霧がかかったように頭が痛む。
わからないまま、あなたはそっと日記をもとの引き出しに戻した。
薄暗い部屋の空気が、静かに揺れた。




