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CYOA  作者: さだきち


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13/50

13


巨大な扉は、まるでこの部屋の主のように静かに佇んでいた。

表面には深い傷が刻まれ、古い金属が黒ずんでいる。

それでも、扉の向こうからはかすかな風が流れ込み、外の気配を確かに感じさせた。


あなたは取っ手に手をかけ、ゆっくりと押し始める。

重たい扉はすぐには動かない。

しかし、力を込め続けると、やがて軋む音を立てながら少しずつ開いていった。


隙間から光が差し込む。


「……外だ。」


その言葉が自然と漏れた。

暗闇に閉じ込められていた時間が、光の中で溶けていくようだった。

冷たい風が頬を撫で、胸の奥に張り付いていた緊張がゆっくりとほどけていく。


一歩踏み出そうとしたその瞬間――

ふとポケットを探ると、指先が薄い紙に触れた。


取り出してみると、それは 診断書 だった。

端が折れ、ところどころ湿気で波打っている。


記載されている文字が目に入る。


「記憶喪失症の疑い」

「外傷性ショックによる長期的な記憶障害の可能性」


「……これは、俺のものなのか?」


胸の奥がざわつく。

診断書には名前が書かれているが、

その文字列を見ても、何ひとつ思い出せない。


あなたはその紙を見つめ、しばらく考え込んだ。

しかし、いくら考えても答えは出なかった。


自分は誰なのか。

なぜこの館にいたのか。

そして――この診断書が意味するものは何なのか。


冷たい風が紙片を揺らし、あなたはゆっくりと外へ踏み出した。


――脱出成功。


- END -


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