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12回目の人生、与えられた選択肢を全て拒否して永遠の泥沼を楽しみます『三人の怪物を鎖で繋いだ至高のティータイム』  作者: あとりえむ


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第16話

システムウィンドウが激しく明滅し、警告音が頭の奥で不協和音を奏でる。


『エラー:選択が有効ではありません。』


リゼットは無機質なその声を、心地よい音楽でも聴くかのように受け流した。


広間の中心では、近衛兵と私兵が入り乱れ、貴族たちは我先にと出口へ殺到している。


その騒乱の真っ只中、アルヴィン、マリア、レオンハルトの三人は、まるで時間が止まったかのようにリゼットを注視していた。


彼らの顔に浮かんでいるのは、先ほどまでの傲慢な自信ではない。


すべてを失い、自らの罪が白日の下に晒されたことへの、剥き出しの絶望だ。


リゼットは扇を優雅に畳み、その中に隠されていた最後の一葉――三人の逃げ場を完全に塞ぐための決定的な証拠を、指先で弄んだ。


彼らがリゼットを奪い合おうとして仕掛けた罠が、結果として自分たちの首を絞める鎖となった。


愛していると囁きながら、裏では互いの喉笛を掻き切ろうとしていた者たちの、あまりに無様で美しい末路。


リゼットは給仕が放り出していったトレイから、手付かずのワイングラスを一つ拾い上げた。


システムの提示する救済など、今の彼女には欠片ほどの価値もない。


本当の地獄とは、死ぬことでも処刑されることでもなく、一生消えない汚名を背負い、逃げられない支配者の下で生かされ続けることだ。


「皆様、今夜は本当に素晴らしい余興をありがとうございましたわ」


リゼットは絶望に染まった三人の顔を慈しむように見つめ、一人静かに乾杯を捧げた。


夜空に上がる祝祭の終わりの花火が、惨劇の舞台を深紅に染め上げる。


テンプレートのハッピーエンドを灰に変え、より深く、より暗い第二幕が今、静かに幕を開けた。


◇ ◇ ◇


静寂が、廃墟と化した舞踏会場を支配していた。


シャンデリアの破片が星のように床に散らばり、高価な絨毯は泥と硝煙で汚れ果てている。


その中心で、かつての主役たちは無様な姿を晒していた。


アルヴィンは豪華な衣装を泥に染め、床に這いつくばったまま、途切れた呼吸を繰り返している。


マリアは虚ろな目で、手元に残った毒薬の小瓶を愛おしそうに撫で、壊れた人形のように動かない。


レオンハルトは、包囲された私兵たちの沈黙の中で、折れかけた剣を杖代わりに辛うじて立ち尽くしていた。


彼らの瞳に宿っているのは、もはやリゼットへの愛でも独占欲でもなく、ただ終わりを待つ者の絶望だけだ。


リゼットの視界には、依然として不気味に明滅するシステムウィンドウが浮かび続けている。


『選択肢A:愛する男に助けられ、二人で地平線の彼方へ逃げる。』


『選択肢B:全員を冷酷に告発し、唯一の潔白な被害者として生き残る。』


世界は停止し、システムの用意した筋書きが、リゼットに物語の結末を強要していた。


逃げ場のない修羅場、完成された地獄。


三人の罪人は、リゼットがどの選択肢に指を伸ばすのか、その一挙手一投足を死刑宣告を待つ囚人のように見つめていた。

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