第Ⅸ章「全く違う正義の会話」
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夜。
少し外れた場所。
山下が立っている。
でかい。
静か。
圧がある。
清水が近づく。
「久しぶりだな」
山下が、ゆっくり振り向く。
「……ああ」
それだけ。
少し間。
清水が、先に言う。
「……助かった」
山下が、少しだけ目を細める。
「……どっちの話だ」
「……全部だ」
山下が、少しだけ鼻で笑う。
「……お前は、言葉で守るんだろ」
「……そうだ」
「……俺は、違う」
清水が、頷く。
「……知ってる」
山下が、少しだけ空を見る。
「……俺はな」
「……守れなかった側の人間だ」
声が、低く落ちる。
「……だから、壊す」
「……壊して、止める」
清水は、黙って聞く。
「……それしか、できねえ」
一拍。
清水が、静かに言う。
「……それでも、守ってる」
山下が、視線を戻す。
「……結果的にな」
「……結果でいい」
即答。
「……守られてる側からすれば、それが全てだ」
山下が、少しだけ目を細める。
「……お前は、甘えたこと言うな」
「……現実を見てるだけだ」
少し、空気が張る。
でも。
対立しない。
方向は、同じだから。
清水が続ける。
「……俺は、届く場所で守る」
「……お前は、届かない場所で止める」
山下が、少しだけ笑う。
「……役割分担か」
「……そうだ」
沈黙。
それから。
山下が、小さく言う。
「……兄貴は」
「……どっちもやる」
清水が、少しだけ笑う。
「……知ってる」
二人とも、同じ結論にいる。
だから。
ぶつからない。




