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毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
スピンオフ それぞれの理由
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第Ⅷ章「“まだ借りは返してない”」



夜。


ドラッグストアHOPEの外にある青いコンテナ


人の流れが落ち着いた時間。


世古が、壁にもたれている。


煙草に火をつける。


足音。


「……まだ吸ってんのか」


清水。


世古が少し笑う。


「……たまにね」


並ぶ。


しばらく、沈黙。


清水が、口を開く。


「……なあ」


「ん?」


「……借り、返したと思うなよ」


世古が、一瞬止まる。


それから、少しだけ笑う。


「……思ってないよ」


即答。


清水が、ほんの少しだけ目を細める。


(……やっぱりな)


「……だよな」


「……でもさ」


一歩、踏み込む。


「……俺、あの夜の分、まだ何も返してねえ」


世古は、煙を吐く。


「……返さなくていいよ」


軽い。


でも。


清水は、首を振る。


「……違う」


その声に、少しだけ重さが乗る。


「……返すとか、そういう話じゃねえ」


一拍。


「……俺の中の話だ」


世古が、黙る。


軽い。


清水は、視線を前に向けたまま言う。


「……俺はあの夜」


「完全に、終わってた」


「……何もできなかった」


「……助けられただけの人間だった」


言葉が、静かに積み上がる。


「……それをな」


「……そのままにしとくのが、一番嫌なんだよ」


世古が、少しだけ息を吐く。


「……だから?」


清水が、少しだけ笑う。


「……だから、まだ終わってない」


その一言。


“借り”じゃない。


“生き方の問題”。


世古が、少しだけ視線を横に向ける。


「……めんどくさいね」


清水が、鼻で笑う。


「知ってる」


でも。


二人とも、分かってる。


これは、もう終わらない。


清水は、一生“あの夜”を背負っていく。


そして、それを理由に、何度でも誰かを救う。


世古は、それを止めない。


それが、二人の関係。

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