11 悪夢な記憶④
「ハハッ。随分、兄貴に嫌われてる様子だな?ディアブルさんよ」
ヒナドが倒れ込んでいる床から挑発するように、ディアブルへ声を掛けた。
「アイツはあくまでオレの"駒"であり、どう思うかは奴の勝手だ。それより己の心配をしたらどうだ?これから始まるゲームでお前達はオレの"ペット"に苦しめられる。せいぜい楽しめよ」
「は? なんだよペットって」
ディアブルはヒナドの言葉を無視すると、手を振りながらどこかへ歩いて行き姿を消した。
相手の姿が煙のように揺らいで消えたかと思うと同時に、自分らを磔にしていたホシドの異能の効果が切れて氷が溶け出して、彼が消えた場所に青色の扉が現れる。
ヒナドとヒマリはゆっくりと立ち上がった。
「この先に行けば良いのかな?」
「たぶんな」
唐突にキラキラと輝きながら出現した青い扉のドアノブに、手を掛けたヒマリは開くと中に現れた真っ白い光へヒナドと足を踏み入れる。
◆◇
(眩しい……)
と感じたヒマリは、周囲を警戒しながら目を開く。
「なんだここ……狭くて息苦しいな」
先に周りを見ていたヒナドが声を出して、ヒマリは黙って天井を見上げる。
低めの天井にのっぺりした"偽物"の青空が張り付き、謎の人工的な臭いで満たされる狭い窓のない空間。
臭いがこもり頭痛がする。
床は人工芝生でその周りには、天井へと浮かばない風船がチラチラと転がっており。下からおもちゃのような大きなキノコが生えて、パステルな色合いのおもちゃのような家が立ち並ぶ。
「なに、この子供の頃に遊んだような……懐かしいような場所……あ。そうだ」
ヒマリはポケットから懐中時計を取り出して開くと、面の上段にはSTAGE1と下段には7/10.00:30と書かれている。
「兄貴が言ってた深度と現実での時間が進むってそのことか」
ヒナドが横から、手元で握ってる懐中時計を覗き込みながら話しかけてきた。
「だね、気をつけて進もうヒナド。なんかここ空気悪いし」
「そうだな」
ピンクの蛍光色のライトに満たされた、奇妙な子供部屋の場所から奥へと進んで行くと、同じ見た目の空間だが床に2人ほど横並びで浮かべそうなプールが、先へと続く所に着いた。
ヒマリとヒナド以外は誰もいないのに、水面には誰かが先ほどまで使っていたような浮き輪がプカプカと虚しく漂っている。
「ほんっと変な部屋……あ、猫いるじゃん?!」
「待てッ。ヒマリ危ねえって!」
奇妙な部屋の端に丸まっていた猫?のような生き物を発見したヒマリは、自分が気をつけようと放った言葉も忘れて、それに近寄って抱きかかえた。
「ほら、大丈夫そうだよ!」
「かっわいいー」とヒナド言いながら、彼へ振り向いた途端
「エクレール・ヴェルミリオンッッ!」
ヒナド自身の異能と思われる名称を彼が叫ぶと、ヒナドの手から朱色の炎の光線がヒマリの真横へと駆け巡り、抱きかかえてた猫?のような生物を貫いてソレは壁際に吹き飛ばされた。
「な!ヒナドいきなり何を……」
「馬鹿ッ!よくアレを見ろ」
「――ッ!」
ヒマリは、壁にぶつかりぼとりと床へ燃えながら落ちた生物をよく見ると様子がおかしかった。
猫?に見えた生物は、口が長く横に裂けており、単眼であり背中にはコウモリのような翼が生えている。
「もしかして、ディアブルが言ってたペット……?」
「あぁ、そうだ。アレはヴィドーと言う名前の生き物だ」
「ホシド?!」
プールが続く奥の部屋からホシドが現れてこちらに向かって歩いてきた。




