10 悪夢な記憶③
「あ〜あ……てめぇらのせいで計画が台無しだ。なぁ?ホシド」
聞き覚えのある声の人物が現れてヒマリは驚いた顔で視線をそちらへ向けた。
「あ、アンタが……ホシドと話してた声の主なの?」
「なんだ……その姿、お前はアヤカシか?」
言葉を放つヒマリとヒナドの目の前に居たのは、渋るような表情で視線を横に逸らしているホシドの肩に腕を回して、こちらを強気な笑みで見てくる、頭に悪魔の角?を生やした男。
まるでエジプト神話に出てきそうな、肌の露出が多い衣装を着た黒尽くめの人物。
(鬼のアヤカシ?にしてはあの角……見たことも聞いたことも無い……良く見たら、腰から尻尾も生えてる)
「オレはアヤカシじゃない。強いて言うなら神に近い存在、名はディアブル。お前の言う通り、隣りにいる男と話してたのはオレだ」
「ディアブル……アンタは悪魔ってこと?計画ってなに」
「お前らには邪魔されたんでね、そこまで答える義理はねーよ」
「はッ」と生意気そうな表情でディアブルは両腕を組みながら見下したように、鼻で笑った。
「そう……なら、ヒナドと協力してアンタの口を割るまでよッ!行くよヒナドッ」
「そうだな、兄貴に聞かないと行けねーこともあるしなッ」
ヒマリとヒナドがディアブルに対して、異能で攻撃をしようと身構えたが刹那。
その2人に隙を与えないように、ホシドが自らの異能を使い2人を氷のツララで釘のように床へ打ち付け、ヒマリとヒナドは磔になった。
「ほ、ホシドなんで?!私を傷つけたくないって言ってくれたのにッ」
ヒマリは思わず声を上げた。
「あぁ、そうだ。極力は傷付けたくないさ……。俺は"ある願い"をしてディアブルと契約してる。そして守りたいことがある……それは全部キミのためだ」
「守りたいこと?……こんなことして、意味が分からないよ……」
ディアブルが近づいてきて、倒れているヒマリを上から除くように話しかけてくる。
「滑稽だなヒマリ。せっかくだから教えてやるよ、ホシドはオレの駒であり奴はお前の墓守だよ」
「墓守り……?」
「真実を知りたきゃオレのゲームに参加してもらおうか……予定を狂わした罰としてお前達2人には此処で遊んでもらう」
「はぁ?何言ってんだよ」とディアブルの言葉に反応したヒナドが仰向けの状態から体を動かそうともがいたが、ホシドの強力な異能で動けない。
「ホシド、ゲームの説明をしてやれ」
「……あぁ、ルールは簡単だ。このラカージュと呼ばれた世界に、これから隠れるディアブルを探し出して口を割らせば良い」
「……で。どうやって探せば良いんだよ」
「お前の隣りで横になってる、ヒマリの手に握られた懐中時計を頼りに探せ」
倒れた衝撃で服の中にしまっていた懐中時計が床へ転がったので、ヒマリはそれを手元にたぐりよせて握っていた。
「その懐中時計にSTAGEと書かれた文字と数字が書かれているだろう。STAGEはこれからお前達が進む階層の"深度"を表していて、数字は現実の日時を表してる。各階層に扉が存在するから、当たりを引けば良い」
「外れを引いたらどうなるの?」
「記憶に苦しめられるだろう」
「記憶?」
「そして、この世界は現実とは時間の進みも違うからたったと終わらせた方が身のためだ。懐かしいと感じるたびに戻れなくなる」
「ホシドは……ディアブルの元へ行ってしまうの?」
「……俺は好きにさせてもらう。なるべくコイツの近くにはいたくないからな」
ディアブルに対して睨みつけるような視線を送ってそう言い放つと、ホシドは彼に背を向けて歩き始めると、煙のように姿を歪ませて空間から消えていった。




