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ADABI — 徒火 —  作者: ありをりはべりいまそかり


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【第20話あとがきメモ】

辰五郎(たつごろう)


荷駄に関わる人足頭。


第11話で肩に傷を負いながらも、荷や人足の動きを見続けている。


自分では動けない場面でも、人足の膝や肩の限界を見抜き、座ったまま指示を出した。


荷を運ぶことは、ただ力があればよいわけではないと示す人物。




藤吉(とうきち)


若い人足。


第12話では、落ちた米俵のうち一つを背負って戻した。


第20話では、火薬箱が傾きかけた場面で、とっさに箱の下へ入り、落ちる角度を変えた。


まだ未熟だが、荷を守る者として少しずつ成長し始めている。




梅吉(うめきち)


焼け出された避難民の男。


子を抱えて浄火寺(じょうかじ)へ逃れてきた。


最初は粥の量に不満を口にしていたが、次第に子ども連れの列を見る役目を担うようになる。


第20話では、逃げ出しそうになる者を押さえ、子ども連れの列を守った。


腹を減らしながらも、ただ守られる側ではなくなっていく人物。




嘉七(かしち)


黒根村(くろねむら)の焼け出された男。


浄火寺(じょうかじ)の米や火について、不満を煽るような言葉を口にしたことがある。


一方で、火や煙の性質をよく知っており、第19話、第20話では煙や火の正体を見抜く役目を果たした。


敵とも民とも簡単には言い切れないが、同じ火を見たことで、少しずつ立ち位置が変わり始めている。




太助(たすけ)


母を助けるために椀を奪った子ども。


罰として喜助とともに椀洗いをすることになる。


第20話では、火と煙で門前が揺れる中、椀を奥へ運び、割れ物を守る役目を果たした。


小さな役目でも、人の流れを守る一部になることを示す存在。




庄吾(しょうご)


黒根村(くろねむら)の近くにいた男。


荒砥側に道や煙のことで使われていた可能性がある。


子を連れて浄火寺(じょうかじ)へ現れ、煙を作る油布を持っていたため拘束された。


第20話では、右の林の火と煙の向きを告げ、門前の混乱を抑える助けとなった。


敵か、民か、父か、従わされた者かを一つに分けられない人物。




八瀬隼人(やせはやと)


黒羽甚内の配下の若い物見。


第16話から登場。


黒羽ほど落ち着いてはいないが、見たものを持ち帰る役目を学び始めている。


第19話、第20話では、火元や煙の確認に関わった。




真下兵庫(ましたひょうご)


赤松弥八の配下にあたる鉄砲衆の指揮役。


鉄砲の扱いに慣れており、撃つ判断も早い。


第18話では庄吾を撃つかどうかの場面で、迅と対立した。


ただし、撃たなかった判断を完全に否定しているわけではなく、鉄砲を持つ者としての厳しさを迅に突きつける存在。




岩貫弥惣(いわぬきやそう)


荒砥側の小勢を率いる男。


槍で正面から攻めるよりも、煙、火、腹、疑い、避難民の流れを使って道を崩す策を取る。


第20話では、燧国(ひうちのくに)側が完全には崩れなかったことを見て、一度引いた。


ただし、それは敗北ではなく、燧国(ひうちのくに)の守り方を見極めるためでもある。




鹿部市之助(ししべいちのすけ)


岩貫弥惣の配下。


若く、湿った笑い方をする男。


力で押すことや斬ることを考えがちだが、岩貫の策に従って動いている。


荒砥側の小勢の不気味さを見せる役目を持つ。




黒根村(くろねむら)


嘉七が名乗った焼けた村。


庄吾も黒根村の近くの者とされる。


誰に焼かれたのか、どこまでが荒砥の仕業なのか、まだはっきりしていない。


戦の中では、焼けた村の者がそのまま味方になるとは限らず、敵に使われることもある。




炭焼き道(すみやきみち)


煤谷村(すすたにむら)の裏手から通じる古い道。


荷駄や馬は通りにくいが、人なら通れる。


避難民の道にもなり、敵の小勢が使う道にもなる。


第16話以降、煙や獣道と合わせて、重要な道として扱われるようになった。




獣道(けものみち)


炭焼き道(すみやきみち)の横にある細い抜け道。


小夜が石と枝でその可能性を示し、黒羽たちが確認した。


人が通れるかどうか分かりにくい道ほど、逃げ道にも敵の道にもなる。




黒い煙(くろいけむり)


第15話以降、炭焼き道(すみやきみち)や右の林で見られる煙。


山火事そのものではなく、湿った葉や油布を使って、人の目を奪うために出されている。


火を広げるためではなく、人を動かし、列や道を崩すための煙。




火薬箱(かやくばこ)


赤土峠(あかつちとうげ)へ送られる重要な荷。


濡らしてはいけない。


火に近づけてもいけない。


人混みに入れてもいけない。


守るための力でありながら、扱いを誤れば味方を傷つける危険もある。


迅が鉄砲や火薬への怖さを知り始めるきっかけになった。




鉄砲(てっぽう)


赤松弥八や真下兵庫が扱う武器。


遠くの敵を倒す力を持つが、撃つ場所を誤れば味方や避難民を傷つける。


第17話、第18話では、撃つことだけでなく、撃たないことにも責任があると示された。


迅にとっては、怖がるからこそ見るべきものが増える武器でもある。




撃たぬ者(うたぬもの)


第18話の題にもなった言葉。


鉄砲を持つ者は、撃つ判断だけでなく、撃たない判断も背負う。


撃たなければ敵を逃がすかもしれない。


しかし、撃てば民や子を巻き込むかもしれない。


迅はこのあたりから、「撃つ前に見る」役目を少しずつ持ち始めている。




小荷駄(こにだ)


大きな荷駄ではなく、少量の米や物資を細く運ぶ荷。


浄火寺(じょうかじ)へ米を送る際、俵を見せると避難民の列が崩れる危険があったため、小袋に分けて運ばれた。


荷は多ければよいわけではなく、見せ方や運び方も戦の一部になる。




一椀(いちわん)半椀(はんわん)


濡れた米から作られた粥が、椀に分けられて避難民へ渡された。


一椀で腹を満たすことはできない。


半椀では、なおさら足りない。


それでも、空の腹に温みを入れ、命を明日へつなぐ意味を持っている。




水桶(みずおけ)


喜助が多く関わっている道具。


飲み水、洗う水、火消し水として、それぞれ役目が違う。


第17話以降は、火薬箱や火元との距離も重要になり、水桶をどこに置くかが戦の判断にも関わるようになった。




火勢(かせい)


火の勢いのこと。


第20話では、右の林の火が本当に広がる火なのか、人の目を奪うための見せ火なのかを見極める必要があった。


火は大きさだけでなく、風、煙、燃えている場所によって危険が変わる。




退路(たいろ)


退くための道。


ただ逃げる道ではなく、崩れずに下がるための道を指す。


戦では、進む道だけでなく、退く道を用意しておくことも重要になる。




沢止め(さわどめ)


第19話で瀬川が使った判断。


炭焼き道(すみやきみち)から流れてきた負傷者や避難民を、そのまま浄火寺(じょうかじ)へ流さず、沢の出口で一度止めること。


見捨てるためではなく、寺の門前で全体が崩れないようにするための苦い判断。




役目に名が足りぬ(やくめにながたりぬ)


第20話で瀬川が口にした考え。


米を見る者。


荷を見る者。


道を見る者。


火を見る者。


水を見る者。


民を見る者。


これまでは、その場にいる誰かが必死に担っていた。


しかし、それでは毎回崩れかける。


この考えが、今後の燧国(ひうちのくに)の軍制や役職の見直しにつながっていく。




見る力(みるちから)


迅が少しずつ身につけている力。


敵だけを見るのではなく、人の足元、煙の向き、火薬箱の周り、水桶の位置、鉄砲の射線、避難民の列を見る。


戦が嫌いだからこそ、撃った後や動かした後に何が起きるのかを考える。


迅の成長は、強くなることだけではなく、見落とさないことから始まっている。

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