第2話 クリスの要求
バインはさっそくこの街を出るという。
なに誰かに追われてるの?
「金がねえんだ。稼ぎに行くんだよ。それとも野宿するか?」
それは確かに嫌かもね。
野良の魔獣を探すのは骨が折れる。
当面の資金確保のため、確実に狩れるダンジョンを目指す。
コカトリスを倒した報酬をもらい、人々に感謝されつつ街を出た。
その日の夕方にはダンジョン都市グレイブにやってきた。
「今日くらいの飯と宿代は出せる。明日それなりに成果を出さないと野宿コースだ。まあ大物目指して頑張るぞ」
はいはい。
――
ダンジョン都市の朝は早い。
それにしても・・・
「あたたた、腰いた!」
バインが悶えている。
今日は大物狩るんじゃないの?
なのに会ったその日に何回戦やるのよ。そりゃあなたはダンジョンでは戦わないけど。
「はあー、ねむた」
大あくびしてる。
「私も眠いわよ。寝たの何時よ、さっきじゃない」
「まあしゃあねえだろ溜まってたんだから」
あんた最低ね!
――
朝食をさっさと済ませてダンジョン受付に並ぶ。
さすがに窓口はたくさんあるけどもう長蛇の列になってる。
冒険者登録されているので冒険者証を見せるだけで手続きは早い。
あれだけ並んでいても15分後には入れた。
私はDランク。彼はEランクらしい。
「とにかく俺は一人じゃ狩れんからな」
だったらその態度、もう少し謙虚にして欲しいもんだわ。
大物狙い、だから第1層や2層などはどんどん飛ばしていく。
階段を下り、第3層でやっとDランクのジャイアントウルフと遭遇。
でも、いくらDランクでも10頭の群れなんですけど。
「私一人じゃ10頭は無理よ」
「大丈夫だ、Cランク程度にブーストしてやる。オーバーブースト!」
駆け出すとジャイアントウルフの動きが遅く見える。体が軽い、剣が軽い。
右に左に一瞬で切り裂いていく。
10匹が次々と倒れていく。気づくともうすべて素材と化していた。
ブーストが切れると、脱力感と絶頂感が体を満たす。
これは…昨日のコカトリスの時より…それどころか昨晩のバインとの時より…やばい。
「よし、今日はこれで十分だ。帰るぞ」
「ちょっと、もう少し狩っていいもの食べましょうよ、ね、いいでしょ?」
「どうした、顔が赤いぞ。もうお前の体が持たんぞ」
「まだ大丈夫、全然平気。もっとお願い」
「・・・」
とりあえずそのまま3層を見て回ることにしてもらった。
ほら、でましたよ、Cランク中位のストーンゴーレムだ。
二体もいる。ふふ、今日は魔獣が群れる日なのかしら。
「オーバーブースト!」
動きは遅いが固い。相手の攻撃も当たると一発で死にかねないやばい奴だ。
剣を振り下ろす。
「ばしゅ!ばしゅ!」
おし、二体一瞬で切り裂いた。再びブーストが切れる。
やばい、また来るあの感覚、「グッ」。足が震えて立てない。
「今のはBランク並みにブーストした。今のお前にはきついだろう。今度こそ今日は帰るぞ」
「はい」
今度は素直に従う。
だって、やばい、もう戦えないのに戦いたい。体が求めている。
幸い、バインは分かってないみたいだけど。
――
素材をバインに持たせたうえ、私は背負って連れ帰ってもらった。
冒険者ギルドで素材を売って金に換えると宿に帰った。
「クリス、飯はもらってくる。そこで寝て待っていろ」
ベッドに寝かされ、バインに言われるがまま目をつぶった。
10分ほどして食事を持ってきてくれた。宿で出される食事だ。
「部屋への持ち込みを特別許可してくれた。俺はダメだということだから下で食ってきたぞ」
「ありがと」
バインに食べさせてもらった。
うん、なんかうれしかった。
ーーー
今夜もバイン、すごかったわ。一日歩いたあと、私を背負って連れ帰ってくれた。
なのにすごい体力だわ。
実はバインは今日は気遣ってやめようって言ってくれた。なのに私がしつこく求めた。
どうしちゃったのかな、私の身体。
もし少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価をお願いします。




