エピソード8:駆け込んだミント
新しく生まれた繋がりの場所、ウィズログ。
そこには、まだ直接会ったことのない人たちが集まっていた。
ミントが訪れた時、すでにそこにはたくさんの会話と笑い声が広がっていて――。
画面の向こうにいる誰かが、少しだけ近く感じる。
そんな不思議な時間が始まります。
ウィズログに入ると、すでにいくつもの会話が流れていた。
どうやら僕が質問を投げたことをきっかけに、先ほどから少しずつ人が集まり、いつの間にか、もうこんなに盛り上がっていたらしい。
「すいません、遅くなりました。」
そう言うと、
「やっと来たー!!」
そう言われて、僕は少し慌てた。
表示されている会話をざっと追う。
全部を読み切るには、少し時間がかかりそうだった。
「ちょっと抜け落ちてるところがあるかもしれないんですけど、今追いつきました。」
そう言うと、みんなが笑った。
「ミントくんが質問してくれたから、こうやって繋がれたんだよ!」
ハンドルネームで呼ばれて、少し照れくさくなる。
自分では、そんな大したことをしたつもりはなかった。
ただ、気になったことを聞いただけだった。
でも、その小さな問いかけが、誰かと誰かを繋ぐきっかけになっていた。
嬉しかった。
「そういえば、ミントくんって、ルミビアで私の住んでいる街と近いよね?」
年の近そうな女の子が言った。
「あ、やっぱりそう思いますか?」
「うん。なんとなく近い気がして。」
「僕もそう思ったんですよ。もしかして、絵を描いてる方ですよね?」
「えっ?」
女の子は驚いた。
「なんで、知ってるんですか?」
「あ、すいません。ブログ見ちゃいました(笑)」
「え……なんか恥ずかしいんだけど(笑)」
思わず笑ってしまった。
距離が近い。
まるですぐそばにいるみたいだった。
すると、別の人が口を挟んだ。
「え、じゃあ僕のブログも見られてるってこと?」
「はい。皆さん結構真面目にブログ更新されていて、結構な情報量でした(笑)」
「ずるいな、ミントくんだけみんなのこと先に知ってるんじゃん(笑)」
「俺も明日みんなのブログ見ちゃおうかなー(笑)」
「え、じゃあ私、非公開にしようかしら(笑)」
「え、ずるい!」
そんな声が飛び交う。
「え、じゃあもしかして俺の今日のお昼ご飯も知ってるってわけ?」
「いや、それはまだ書いてなかったと思います(笑)」
「あ、そっか(笑)」
そんなやり取りで、みんなが笑った。
ミントとして僕は、少し不思議な気持ちになった。
ネットに自分から発信していなければ、ここでこうやってみんなと繋がっている未来はなかったかもしれない。
相手に伝わったことで、一度発信したものが、知らない人ばかりだったはずの人たちと繋がるきっかけになった。
少しだけ相手のことを知ることができた。
なんだか、近づいたような気持ちになった。
みんなのブログには、ルミビアのことだけではなく、普段どんなものを食べたのか、どこへ行ったのか、見た景色、描いた絵、考えていることまで書かれていた。
「皆さん、すごいマメですよね。」
ミントとして、僕は素直に言った。
「いろんなことを発信していて、素直にすごいなって思いました!」
作品だけじゃない。
その人がどんな時間を過ごして、何を感じているのか。
そういうことまで少し見える気がした。
だから、なのかもしれない。
まだ直接会ったこともないのに、ずっと前から知っているような感覚になっていた。
でも、本当はまだ知らない。
知っていると思っているだけ。
その少し不思議な距離感が、僕には面白く感じられた。
ウィズログは、そんな小さな勘違いと笑い声が重なってできている場所だった。
今回は、ウィズログという新しい場所での交流を書きました。
文章や写真、作品を通して知っていく誰かの世界。
実際にはまだ会ったことがなくても、不思議と距離が近く感じる瞬間があります。
そんなネットならではの繋がりと、人と人の温度を楽しんでいただけたら嬉しいです。




