エピソード4:他の人が見ていた世界
世界は、思っていたよりも広い。
そう気づく瞬間は、特別な出来事から始まるとは限らない。
何気なく開いたページ。
誰かの日常。
その小さな出会いが、今まで見えていなかった景色を少しだけ変えていく。
これは、まだ知らなかった世界に触れはじめる、小さな記録。
その日も、いつものように満員だった。
(あー、また満員電車かあ。)
そう思いながら、いつものドア横の定位置へ向かう。
(ここは僕の場所だ。)
まったく、誰に向けて言ってるんだか、自分でツッコミながら、過ぎていく車窓の街並みを眺めていた。
左手に持っていたスマホの画面を開く。
そういえば、ウフーで繋がった人たち、
(ブログとかやってないのかな?)
何気なく検索してみる。
「あ、この人ブログやってる。」
さらに、見てみる。
「この人も。」
「えっ、この人もやってる!」
みんなマメだなー。
思わず笑ってしまった。
(あっ。いけない。電車の中だってこと、すっかり忘れてた。)
(まわりの人に変だなって思われないかな?)
(どうか、マンガでも読んでるのかって、思ってくれますように。)
ブログを開く。
「あれ、この街…」
ルミビアで、僕が行っている場所とものすごく近い。
この人、絵を描く人なんだ。
アーティストなのかな。
隣町?
他の人はどうなんだろう?
気になって、次々に開いていく。
「この人は、だいぶ遠いな。」
「こんなに、ルミビアって広かったのか。」
人によって全然違うな。
絵を描いている人もいれば、
写真を撮っている人もいる。
毎日日記を書いている人もいて、
創作で、文章を書いている人もいた。
「この人、本が好きなのかな?」
「この子は僕と年齢近そうだな。」
そんなことを考えながら読んでいた。
そして、ふと思った。
(もしかして、地球でも近くにいたりして?)
この電車に、乗ってたりするわけ…流石にないか(笑)
思わず車内をきょろきょろ見回していた。
もし、いたとしても分かるわけないか(笑)
お互いに、まだ顔も知らないのに(笑)
それでも、不思議な感覚に似た考えが、しゃぼん玉のように浮かんでは消えていった。
(他の人は、一体どんな毎日を過ごしてるんだろう?)
そんなことばっかり考えていた。
(他人と比べても仕方ないのにな…)
気づけば、つい夢中になっていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、大きな出来事は起きていません。
ただ、主人公の中で少しだけ視点が変わり始めました。
誰かの暮らしを知ること。
誰かの世界をのぞいてみること。
それだけでも、自分が見ていた世界は少しずつ広がっていきます。
まだ物語は静かなままですが、この小さな変化が、これからの接続へと繋がっていきます。




