エピソード2:小さな接続の記録
応答は、予想された形ではやってこない。
それは言葉かもしれないし、偶然のように見える何かかもしれない。
ただ確かなのは、ひとつの接続が終わる前に、もう次の接続が始まっているということ。
掲示板の書き込みを見た瞬間、しばらく動けなかった。
画面だけがそこに残っていて、頭の中の理解だけが追いついていなかった。
同じ夢を見ている人がいる。
それだけならまだいい。
でも、その人はこう書いていた。
「私も毎晩同じ夢を見ています。そこはもしかして、ルミビアという場所ではありませんか。」
同じ場所に行っているのか。
それとも、同じ場所に『接続している』のか。
どちらなのかが分からないまま、思考だけが勝手に広がっていく。
ルミビア。
その名前が、何かも知っている。
その事実だけで、世界の輪郭が少しずれた気がした。
「他にもいるのか…?」
そう思った瞬間、安心と混乱が同時に押し寄せてきた。
嬉しいのに、怖い。
分かりたいのに、分からないままでいたい。
自分で始めたことなのにも関わらず、頭の中だけが妙に忙しくなっていく。
そのまま気づけば、ソファに倒れ込んでいた。
布団もかけず、スマホもそのまま手に残したまま。
意識だけがゆっくりと途切れていく。
そして、また夜が来る。
ルミビアは、何も変わらずそこにあった。
いつもの場所。
いつもの風景。
ただ一つだけ違うのは、「ここは自分だけの場所ではないかもしれない」という感覚だった。
どれくらいの人間が、ここに来ているのか。
数えようのない問いだけが、頭の中に残っている。
夢の中なのに、落ち着かない。
現実と夢の境界が、少しずつ曖昧になっていく。
もしかして。
自分だけではないのか。
そう思った瞬間から、ルミビアは少しだけ別の意味を持ちはじめた。
落ち着け、と自分に言い聞かせた。
今考えても、答えは出ない。
また起きたら、掲示板を開いてみよう。
そう口に出すと、少しだけ呼吸が整った。
他にも接続している人がいるという安心感と、どれくらいの人がそこにいるのか分からない不安が、同時に残る。
その矛盾が、思考を静かに圧迫していた。
もしかしたらいたずらかもしれない、とも思ったけど、ルミビアという言葉を知っているのはここにいる人だけだという確信があった。
やっぱり、地球から僕以外にもここに来ている人がいる。
そう確信したときには、ふっと落ちていた…
この出来事に、明確な説明はまだ存在していない。
ただ一つだけ確かなのは、
「同じものを見ているかもしれない誰か」がいたという事実である。
接続は、いつも静かに始まる。
気づいたときには、もう戻れない位置にあることが多い。
それが何を意味するのかは、まだ決まっていない。
あるいは、決まる必要すらないのかもしれない。




