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厄介事と王様






 いやいや、まさか。難民だと思ってた少年が隣国であり大陸いちの巨大国家ウェルランタの王様で私にプロポーズの返事を聞きに来たとか…ないない。


 とりあえず事実確認だ。そうそう、確定じゃないんだし?




「ミアさん。そのの王様は今応接間に?」

「は、はい。サイシャルーア様が対応しています」




 う。サイシャが対応か…後で説明が大変そうだ。




「…行くつもりか」

「うん。勘違いかもしれないでしょ?他国の王様があんな場所で行き倒れてたのもおかしな話だし」




 普通に考えればおかしな話としか言いようがない。さぁ行くぞ。いざ行くぞ。



 私が行く意欲を見せればアスナはため息をつき、ミアさんは戸惑うように道を開けてくれる。

 共和国として間もないこの場所。レナーガルとトストンの国境にあった砦をそのまま城のようにして色々と作業をしている。一から城を建てるとなると時間とお金がかかるわけだし、私は見栄とか気にしない。寧ろ節約!税金の使い道は違う方向で行くのだ。食材とか食材とか…。


 ずんずん先へと進んで行けばすぐ応接間にたどり着く。扉の前にはニッチャンとサッチャンが控えていた。ミアさん率いる第二騎士団が現在私が管理する共和国の衛兵みたいになっている。正式なメンバーは現在調節中。両国から取り入れる形になるらしい。私としては慣れ親しんだこのメンバーがベストなんだけどね。

 中に入っていいかと目で尋ねると、どーぞと扉の前から退いてくれた。どーもね。






「失礼」






 私も代表という立場でこの場所にいるので毅然な態度で入室。相手の王族には敬語だけどさ。

 入室した私に視線が集まる。最初に目に入ったのは何で来たんだとこちらを見ているサイシャ。そしてその向こう側に…




「ハナ!」




 満面の笑みで迎える難民だと思っていた少年の姿が。

 反対に私はひきつった笑みを浮かべる。はい、確定論が近づきましたー。




「いきなりいなくなったからな。オレから返事を聞きに来た。なんなら今から我が国に一緒に帰るか?」




 プロポーズ、確定。



 なんだ。何が間違ってたんだ。私そんな王様たぶらかす言動していませんが。しかもなんで断られるつもりもないんだ。




「ああ、自己紹介がまだだったな。オレの名前はウェルランタ王国国王カイナス=ライ=ウェルランタだ。旦那となる者の名前、早く覚えておいてくれ」




 いやいやいやいや。




「申し訳ないんですが、私結婚とかは考えてないんで…そもそも会ったばかりの方と結婚はどうかと。あとまだ共和国は安定していないので私がいなくなるのは」

「国同士の婚姻は珍しくもない。オレの国はいい国だぞ?それに自分はお飾りだと言っていただろう」




 言いました。


 まさか己に反る言葉になるとは…。だがしかし!




「…お飾りだろうと、今私中心で動かしている計画もあるんです。この国を放って嫁ぐことは致しません。何より恋愛結婚重視なので」

「計画は我が国が引き継ごう。恋愛結婚?今どき珍しいが…オレを好きになればいい。簡単だろう?」




 簡単って…。しかも本気で思ってるっぽい。 なんでそんな事もなさげに言うかなぁ。しかし私を嫁にしたいのは理由があるとみた。恋愛関係なさそうだし。私の特典なんて異世界人ってくらいだけど…。


 モヤモヤしていたら返事に焦れたらしいウェルランタ王が近づいてきた。サイシャが止めようとしたが彼が来る方が早い。






「オレと来い!」

「え?ちょ…」






 強く肩を掴まれ痛みを覚えたが、それは一瞬のことだった。


 優しく強く引き寄せられた体は、暖かい。






「残念ですが」






 私を抱き寄せた彼は強く相手を睨み付ける。




「彼女は…我が主はそちらの国に行く理由がありません。お引き取りください」

「ラスナグ」




 空色の瞳が、安心させるかのように向けられた。



 ラスナグ。

 カレー共和国の騎士であり私の側近であり私の…恋人。

 じ、自分で言って照れるわ。




「誰だ?お前は」




 ウェルランタ王は機嫌悪くラスナグに尋ねる。そうでした。庇ってくれて嬉しいが相手は大国の王。ただの騎士では太刀打ち出来まい。下手すれば打ち首…洒落にならない。

 慌てて私は声を上げる。




「彼は私の側近である騎士です!か、彼も申したように私は婚約する気はありません!」




 ハッキリと告げる。ラスナグの前だし、こういった相手にはしっかりと言っておかないと後々厄介になるのは御免だ。

 すると向こう側にいた見知らぬ男がソファーから立ち上がると近寄ってきた。背が高いな!ウェルランタ王が低いからそう感じると思ったけど、ラスナグより頭一つ分高い。今まで会った人達の中で断トツだ。


 ピンクの派手な髪は少しパーマが入っていて、違和感はなく彼を華やかにしている。メッシュの色は青、。瞳の色も青。ラスナグと同じ、薄い色だ。また美形な…タレ目がチャームポイントだな。






「こーら、カイ?ごり押しはダメだって、来る前に言ってたでしょ?」






 …ん?




「だがムル。オレはハナを妻にしたい」

「そうだとしても、今日だって色々手順すっ飛ばして来てるんだから。返事を聞くんだ~ってワガママ言って。事を急げば損するだけよ?何度も教えたでしょ?」




 まるで王様に諭すように話す彼。実際諭してるけど。

 いや、それより…






「失礼。アタシはウェルランタで国王の教育がか…側近であるムルフ=ローモンツと申します。以後お見知りおきを」






 異世界にもオネェは存在するようです。






出てきましたラスナグー。アスナとミアさんはお部屋で待機です。他国とはいえ国王陛下の前に出るわけにはいかず。のでラスナグは相当失礼なことしてます(笑)

他国コンビ。お子様王とオネェです。よろしくお願いします!

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