影響力の向かう先
「先生はいつ戻るんですか」
ハウエルに聞いた。
「私は戻りません」ハウエルが言った。
「いつかは戻るかもしれませんが」
「そうなんですか」
「今の私の知識では生徒に教えるなんてとてもできないからです。
ここで学ぶ方が先です」
「学園はいいんでしょうか」
「気にはなりますが」ハウエルが言った。
「それは私の考えることではありません」
それだけ言って、ハウエルはガイアたちのところに戻っていった。
レナードはマチルダと先に出発していった。
途中で立ち寄るところがあるらしかった。
シャーロットはソラと毎日相談していた。
何か思いついてはガイアたちのところに走っていた。
ルイーズとは戦闘に使えそうな魔法を考えていた。
まだ良いアイデアは出てこない。
とりあえず空間から魔力を補充することと、
バフを自分でかけられるように練習することに決めた。
これからだ。
ただ、実際にはルイーズはバフだけで十分力を発揮する。
国内に敵う人間がいるのだろうかと思った。
出発前日、シャーロットと過ごした。
「レント兄様が行くのはいいけど、ソラちゃんがいなくなるのは困るわ」
「シャーロット、それは言わなくてもいいことよ」
ルイーズが笑いながら言った。
「だって」
「シャーロットも春になれば学園に来るんだから、大丈夫だよ」
「そうだけど」
「そういえば、クララも同じ歳だったな」
「クララって」シャーロットとルイーズが同時に聞いた。
「アメリアの妹だよ。一応第二王女だから、知っていてよ」
「ああ」シャーロットが頷いた。
「レント兄様の婚約者候補の人ね。私が見極めてあげるわ」
「シャーロット」レントが嗜めようとした。
「でも、国のためならルイーズさんでもいいんじゃない」
「ルイーズの気持ちもあるだろ。軽はずみなことを言っちゃいけないよ」
「えー、ルイーズさんもそう思うでしょ」
「え、い、いえ、それは私が決められることでは」
「そんなことないよ。ね、ソラもそう思うでしょ」
「ええ。ルイーズさんは交渉材料を持っていますから」
ソラが言った。
「そっか」シャーロットが言った。
「力があるってそういうことだもんね。お互いもっと力をつける方がいいのかもしれない」
レントが言った。
シャーロットがレントを少し見た。
何か思うことがあるような顔だった。
「それは柵も増える可能性もあります」ソラが言った。
それ以上は誰も何も言わなかった。
夜、出発の準備をしながらソラと話した。
『シャーロットは何を思ったんだろう』
『さあ、それはわかりません。ただ、レンさん。力を持つことが自由につながるのか、不自由が増えるのか、考える時期に来たのかもしれません』
『そうかもね』
『シャーロット様は察しの良い方です』
レントは荷物を片付ける手を止めた。
僕は婚約者に関しては、そのまま流されてきた。
どうでもよかったからだ。
でも王家に入りたい訳じゃない、むしろ入りたくない。
それを考えると、何か釈然としないものが残った。
『眠ろう。明日は早い』
『はい』




