結婚式のマッシュアップ
カルヴィン領に来てから一週間が経った。
日常が穏やかに流れていた。
朝はルイーズ、レナードと訓練する。
昼前にシャーロットとガイアたちの研究を見に行く。
午後は実戦で使える魔法の考案。
夕方は家族で食事をする。
学園での日々とは違う時間が流れていた。
マッシュの結婚式は領主の家で行われた。
つまり僕の実家だ。
孤児院の院長レコアとの結婚だった。
子供たちも参列した。
エドワードとエレノアが立会人として出席した。
領主が立会人になることは珍しい。
子供たちはずいぶん緊張していた。
式自体は短かった。
誓いの言葉、指輪の交換、それだけだった。
マッシュが顔を真っ赤にしていた。
院長は落ち着いていた。
子供たちが拍手をした。
マッシュがさらに赤くなった。
式の後、簡単な祝宴があった。
ソラとルイーズと一緒にお祝いを言いに行った。
「マッシュ、レコアさん。おめでとうございます」
「レントさん。あなたのおかげで夫となる人と知り合えました。感謝しています」
「そうでしたっけ。でもマッシュが嬉しそうなので、僕も嬉しいです」
「今後とも夫婦共々よろしくお願いします」
マッシュが嬉しそうにそう言った。
オルテガがアンナと並んで座っていた。
「マッシュ、おめでとう」オルテガが声をかけた。
「ありがとうございます」
マッシュが小声で言った。
「お前も覚悟を決めろよ」
アンナが横で笑った。
オルテガが少し顔を赤くした。
「ああ、わかっている」
少し離れた席でハウエルとガイアが話していた。
「マッシュさん、お幸せそうですね」ハウエルが言った。
「ええ。本当に良かった」
ハウエルが少し笑った。
「私は学園で魔法を教えていたら、結婚できない年齢になっていました」
「私もそれは同じです」ガイアが言った。
「こんな魔法しかない男には、誰も振り向いてくれませんな」
二人が顔を見合わせた。
「しかし、今やっていることが形にできれば魔導士の扱いも変わるでしょう」
ハウエルが言った。
「ええ。自分の地位はどうでもいいですが、
魔法が楽しいと知ってくれる人が増えるといいですな」
「私も本当にそう思います」
ハウエルが嬉しそうに言った。
しばらく黙っていた。
それから二人とも別の方を向いた。
夕方、ルイーズと庭に出た。
風が冷たくなってきていた。
「マッシュさんの式、良かったね」
なんとなく思ったことを言った。
「ええ。レコアさん幸せそうだった」
しばらく無言で歩いた。
「ルイーズはどう思いますか」
「何が」
「結婚ですよ」
ルイーズが少し止まった。
「私は、考えないことにしたわ」ルイーズが言った。
「勇者は長生きしなかった。それは知っているから」
「今度は大丈夫だよ」
「何でそう言えるの」
「僕とソラが守るから」
ソラが言った。
『レンさん、それはどういう意味ですか』
『そのままの意味だよ』
『そのままの意味だよ』もう一度言った。
「ルイーズには重荷を下ろした世界でも生きてほしい」
ルイーズが立ち止まった。
「レント」
「はい」
「ありがとう。でも、それ以上は言わないで」ルイーズが言った。
頷いて、それ以上言わなかった。
風が少し強くなった。
ルイーズが空を見上げた。
夕日が雲を赤く染めて、ルイーズの顔も赤く染めていた。




