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いい匂いと青い鳥と魔法の話  作者: かわいかつひと


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おかしな常識

馬車が屋敷の前に着いた。


扉を開けると、シャーロットが走ってきた。

「レント兄様」

「ただいま」

シャーロットがレントに抱きついた。

それからルイーズを見た。


「ソラちゃんはいないの?」

「もうすぐ帰ってくるよ」

シャーロットがまたルイーズを見た。


「そちらの方は?もしかして婚約者の方ですか」

「え、えっと」

「違うよ。勇者のルイーズだよ」


シャーロットが目を丸くした。

「勇者様なんですね。お会いできて光栄です」

「はい。こちらこそ」

「お母様に伝えてきます」

シャーロットが駆けていった。


その背中を見ながら、小さく呟いた。

「ルイーズが婚約者か。だったら悩まないのに」

ルイーズは何も言えなかった。


『レンさん、本音が出ていますよ』

ソラの声がした。

「ソラ、戻ったの」

『ええ。いろいろ観察できました』

「本音って何」レントが言った。


「ルイーズには聞こえましたか」ソラが言った。

「ええ、いえ、聞こえてません」

「ゆっくりしてください」


エレノアが出てきた。

「よく来てくれたわ。我が家と思ってゆっくりしてください」

「ありがとうございます」


「今夜は歓迎会をしましょう。レナードが帰ってからもするつもりだから、少し忙しくなるけれど」

エレノアが笑った。

「部屋に案内します。夕食の時に呼びに行かせるから、それまでゆっくりしていて」


部屋に案内されてから、しばらくしてレントが来た。

「ソラが魔族領でいろいろと見てきたから。あとで2人で聞こう」

「そうね。興味ある、聞きたいわ」


そんなことを話していたらシャーロットがきた。

「ルイーズさん。少しお話してもいい?」

「ええ、もちろん。来年は学園って聞いたわ」


レントは何も言わず出て行った。

ルイーズは窓の外を見た。

夕食まで、もう少しある。


「そうなの、楽しみ。ねえねえ、レント兄様とどんな関係なの?」

「とても良くしてくれるわ。私は勇者なんて言われてるけどレントには敵わない」

「ふふ、レント兄様なら仕方がないかも。よほどルイーズさんが気に入ったのね」

「そ、そうかしら?」

「うん。気にいった人はいつも家に連れてくるもの」



夕食はにぎやかだった。

使用人も一緒に食べるのは、貴族ではあり得ない光景だとルイーズは思った。

テーブルに全員が集まった。


シャーロットが隣に座ってきた。

「レント兄様、オルテガさんとメイドのアンナがいい感じなんですよ」

シャーロットが小声で言った。


ルイーズが少し目を輝かせた。

「シャーロット、それは本人たちが言うまでは」レントが言った。

「でも隠せていないし」

シャーロットが言った。

ルイーズがオルテガとアンナを見た。確かに時々視線が合っていた。

「素敵ですね」ルイーズが言った。

「ね。そうでしょ」シャーロットが言った。

アンナはすまし顔でオルテガは顔が赤かった。


食事が進む中で、エドワードがルイーズに話しかけた。

「少しいいかな」

「はい」


「これから本当に戦争が起きるかわからない。しかしルイーズさんが現れたと言うことは起きるのだろう」

「はい」ルイーズが返事をした瞬間「父さん」レントが止めに入った。

「もちろん攻めているわけではないよ。

おそらく、それがこの世界の決まりなんだろう」


「自分の役割は果たしたいと考えています」

「ああ、君は素晴らしい人だとレントから聞いている」

「はい、ありがとうございます」ルイーズは下を向いた。

「勇者は単独で行動することが多かったと聞く。周りがついていけない、守るために本来の動きができないからと言われている」

「はい。私もそう聞きました。実際、そう思うこともありました」


「だからこそ、初代以外、寿命をまっとう出来たものはいない」

「はい」

「しかし、今回は違うと考えている。レントとは仲良くしてやってください」

「ありがとうございます」


エレノアが続けた。

「レントは不器用なところがあるから」

シャーロットが言った。

「ルイーズさんはすごく素敵な方です。ルイーズさんがお姉さまになってくれればいいのにと、考えてしまいます」

「シャーロット。思っていることをなんでも言っていいわけではないですよ」

エレノアが嗜める。

「でも、本当にそうなんですもの」

テーブルが少し静かになった。


エドワードが咳払いをした。

「まあ、その方がいいかもしれん。初代の勇者の子孫だけ王家だからな」

「王家は困るでしょうが、私たちは困りません」

エレノアが言った。

「ただ慎重にな。それなりの言い訳が必要だろう」

エドワードが続けた。


話が変な方に、いや良い方にかどちらかわからなくなってきた。


「理由か」レントが言った。

「めんどくさいな」

「お前の力があれば仕方ないことだ」エドワードが言った。

「ルイーズと同じようにな。特別な力を持つ者は、特別な役割が当然と思われる。

ばかげた話だが」

「それ、アメリアにも言われました。国のためとかなんとか」

「私もレントが精霊様に寵愛されるまでは、そんな考えもありました。

恥ずべきことです」エレノアが言った。


エドワードが少し頷いた。

「アメリア王女は国と王家が一緒なのだろう。本来は別のものであるが」

レントが黙った。

ルイーズも黙った。


シャーロットだけがまだ何か言いたそうな顔をしていた。

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