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いい匂いと青い鳥と魔法の話  作者: かわいかつひと


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二年生になる前に

最近、クラスの人から話しかけられることが増えた。

実技で魔法を見せた時はみんな引いていたが、しばらく経つと慣れたようだった。

アメリアの「あなたがいれば国は安泰」という一言が効いたのかもしれない。


廊下で「カルヴィンさん」と呼ばれる。

食堂で隣に来る。

授業の合間に話しかけられる。

噂が消えたわけではないと思う。

でも、距離感は変わった。


アメリアともよく話すようになった。

放課後にお茶をする。

雑談が多い。

王族としての話、学園の話、先生の話、休暇のこと。


ただ時々、政治の話になる。

「あなたの実力は、国にとって大きな意味があります」

アメリアが言った。

「だから私が婚約者であるべきなのです」

「クララはどうですか」

「あの子はまだ子供です。あなたの存在は重荷になるでしょう」

「重荷ですか」

「ええ」アメリアが少し目を細めた。

「あなたは自分の立場をあまり理解していません。それはクララもです」


僕は少し驚いた。

アメリアの言葉が前より自分のものになっている気がした。

「考えておきます」

アメリアが頷いた。


戦術の授業でジャンの話が出た。

「全戦全勝らしい」フィオナが言った。

「精霊様と対戦したらしい」誰かが言った。

「精霊様が戦術ゲームできるのも驚きだけど、ジャンが勝てないなんて」

「先生も興味を持っている」

噂になっているようだった。


その日の戦術の授業で、教官がレントに聞いてきた。

「ジャン、聞いた話だが、私たちも精霊様との勝負が観たい」


ジャンが頷いた。

「僕はお願いしたいです」


「できればなんだが、どうだろうか」教官がレントを見た。

「ええ、大丈夫だと思います」

クラスメイトが集まってきた。

グレイもハウエルも他の先生たちも来ていた。


戦術ボードが用意された。

ジャンが先手。

ソラが後手。

しばらく続いた。

ジャンが慎重に進める。

ソラはすぐ返す、少なくとも考えているようには見えない。


途中でジャンが手を止めた。

読んでいる、だんだん時間が長くなってきた。

それから動かした。


ソラがすぐに対応した。

ジャンがまた止まった。長かった。


「これは」

ジャンが小さく言った。

ソラが少し羽を動かした。

『レンさん、ハンデをつけたらどうでしょうか』

「ハンデつけてもいいですよ」レントが伝えた。


ジャンが少し考えた。「お願いします」

ソラの駒がかなり減った。

それでも結果は変わらなかった。


ジャンが頭を抱えた。

「勝てる気がしません」

クラスメイトたちが静かにしていた。


教官が頷いた。

「精霊様、勉強になりました」

『レンさん、これは負けることはないでしょう』

ソラが言った。


午後の実技の時間、グレイが全員の前に立った。

「二年次から授業が変わる」

全員が黙って聞いた。

「実技は個人ではなく団体戦に移行する。模擬戦ではなく、戦場を想定した訓練だ」

「人数の構成はどうなりますか」レビンが聞いた。

「五人から十人の小隊単位だ。役割を分担して動く。剣、魔法、救護、戦術。

それぞれの役割を磨くことになる」


ジャンが少し表情を変えた。

「戦術はジャン、お前が中心になる可能性が高い」

グレイが言った。

ジャンが頷いた。

レントはソラを見た。

ソラが小さく羽を動かした。

「以上だ。詳細は二年次に説明する」

授業が終わった。


その日の帰り際、レナードに声をかけられた。

「休暇は帰るんだろ?」

「ええ、兄さんは帰らないんですか」

「俺はマチルダの実家に寄ってから帰る。だから少し遅れる」

「そうですか。じゃあ、僕はルイーズと帰ります」


レナードが少し目を細めた。

「ルイーズを呼んだのか」

「ええ、うちに来ませんかと」

「まあ、お前だからな」レナードが頷いた。

「それも悪くないか。父も母も歓迎するだろう」

「はい」


「ただ」レナードが続けた。

「アメリアにはうまく言っておけよ。お前の言い方次第で大事になる」

「わかりました」

レナードが去った。


寮に戻る前にルイーズに声をかけた。

「ルイーズ、いつ出発する」

「あ」ルイーズが少し目を丸くした。

「一緒に行くんだ」

「その方がいいよね、楽だし」

「そ、そうよね、その方が楽よね」

ルイーズが言った。

「いつでもいいですか」

「ええ、いつでも。本当に良いのかしら」

「良いに決まってるよ」

ルイーズが頷いた。

「じゃあ、出発の日を決めましょう」

ルイーズがすぐ頷いた。


『やけに嬉しそうですね』

ソラが言った。

『何のこと』

『ルイーズさんです』

『そう?』

ソラはそれ以上は何も言わなかった。

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