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いい匂いと青い鳥と魔法の話  作者: かわいかつひと


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ハウエルの憂鬱

ハウエルは悩んでいた。

カルヴィン・レントのことだ。


これまで自信を持って魔法を教えてきた。

魔法とは体内魔力の制御であり、その量と精度が全てだと信じていた。

しかし彼を見ていると、自分が勉強してきたことは正しいのだろうかと思えてくる。


彼が私の知らない何かを知っているのか。

精霊の加護のせいなのか。


時間を作っては話しかけた。

「カルヴィンくん、魔法の仕組みをどう理解していますか」

「教科書に書いてある通りだと思います」

「実家で先生はいましたか」

「いえ、本を読んでソラと一緒に練習していただけです」

いつも同じ答えだ。


嘘をついているとは思わない。

でも、それだけでは説明がつかない。

彼はよく精霊と話している、今もそうだ。

誰にもわからない言語で。

最初は驚いたが、もう慣れてしまった。


しばらくして戻ってきた。

「すみません、ソラが大規模魔法の話をしていまして」

大規模魔法。

その言葉がひっかかった。

「大規模魔法とはなんですか?」

「広範囲に展開させるみたいです」


考え込んでしまった。

広範囲に展開?そんなことができるのか。


「そういえば、王城から魔導士を引き抜いたと聞きましたが」

「ガイアたちですか。カルヴィン領で研究してくれています」

その言葉を聞いて、ハウエルは少し考えた。

ガイアたちと話してみよう。この休暇に。

何かわかるかもしれない。



朝の訓練にリナが来るようになった。

エリックとセバスチャンが妙に嬉しそうだった。

「よし、人数が増えたな」エリックが言った。

「二刀流は楽しみだ」セバスチャンが言った。

みんなにバフをかけた。


リナが少し目を丸くした、初めてだと言っていたから。

リナは体を動かした。

「すごい」リナが言った。

「動きが変わりました。それに動きが速くなったのによく見える」

「慣れると自分の動きになってくるよ」


まずエリックとリナが向かい合った。

リナが来る。

かなり速い、二本の剣が別々の軌道で動く。

エリックが捌こうとした。

片方を防いでも、もう片方が来る。

「トリッキーだな」エリックが言った。

それでもなんとか凌いだ。


次にセバスチャンとリナが向かい合った。

エリックと同じだった。

セバスチャンも必死だった。

なんとか対応していたが、余裕は感じなかった。


「レント、ルイーズ。やってみるか」レナードが言った。

レナードとルイーズが向かい合った。

レナードが来る。

速い。バフありのレナードだ。

ルイーズが捌く。流す。

レナードが押す。

ルイーズが下がらない。

レナードが横から来た。ルイーズが流した。

上から来た。流した。

レナードは健闘していた。攻め続けていた。

でもルイーズに余裕があった。

表情が変わらない。

しばらくして二人が木剣を下ろした。


「隙がない」レナードが言った。

「ありがとうございます」

「レント、三人でやるか」レナードが言った。

「お前の動きを見ておきたい」


レントとレナードとルイーズが向かい合った。

「始めよう」

レナードが来る。

同時にルイーズが横から来た。

二方向から来る。

一人捌けばもう一人が来る。

後退した。


レナードが追ってくる。

ルイーズが回り込む。

前にも横にも下がれない。


上に逃げた。

浮遊魔法で一瞬体を上げた。

二人の剣が空を切った。

着地した瞬間、レナードに木剣を当てた。

「そこまで」レナードが言った。


「空に浮くことも予想しないといけませんね」ルイーズが言った。

「短時間なら使える人もいると思います」

ルイーズが納得した顔で頷いた。

「面白いな」レナードが言った。

「魔法と剣を組み合わせれば戦い方がまだある」

「そうですね」

「課題が増えた」ルイーズが言った。

でも、悪い顔ではなかった。


「レントさん、それ私もできますか?」リナが聞いてきた。

「リナさん、魔法はイメージさえ出来ればなんでも再現できるよ。

あとは体内の魔力量と相談かな」

「魔力量少なくても、瞬間であれば何かできるかも」ルイーズが言った。

「これからレントには魔法を使いながら相手をしてもらうのがいいかもしれん」

レナードが言った。

「そうだなぁ。強くなるより生き残ることが大切だからな」

エリックの呟きが妙に心に残った。

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