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いい匂いと青い鳥と魔法の話  作者: かわいかつひと


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Aクラスの仲間たち

最初は自己紹介からだった。

十五人が順番に立った。

「リリック・ダン。剣術が得意です。よろしく」

「フィオナ・ハート。魔法を専攻するつもりです。よろしくお願いします」

「ルイーズ・マルタンです。身体を動かすことが得意です。よろしくお願いします」

挨拶は短かった。

それだけかと思った、だからか全員が少し緊張してルイーズを見ていた。

勇者だという噂は全員が知っているようだった。

ルイーズは背が高かった。

落ち着いた目をしていた。

緊張しているようには見えなかった。


「アメリア・クロスです。皆さんと一年間、切磋琢磨できることを楽しみにしています」

取り巻きの一人が拍手した。

いつも2人だけど、もう一人は別クラスになったみたいだ。

他の生徒たちもつられて拍手した。


「カルヴィン・レントです。こっちは精霊のソラ。よろしくお願いします」

ソラが羽を広げた。

『レンさん、何かしますか?』全員がソラを見て、ざわついた。

『いや、しなくていいよ』

それから不思議そうな顔でレントを見た。

それからまたソラを見た。


「ジャン・ベルナールです。戦略ゲームが得意です。よろしくお願いします」

ジャンが頭を下げた。

平民としての緊張が少し出ていた。

「レビン・オーラ。剣をやっています。よろしく」

残りの九人が続いた。

名前と一言。

それで終わった。


担任教官はグレイだった。

「説明する」

グレイが言った。前置きなしだった。


「この学園の基本は実技だ。座学は補助として位置づけろ。

戦場で役に立つのは体と判断力だ。知識は判断を支えるために使え」

全員が黙って聞いていた。


「科目は剣術、魔法、救護、戦術実習の四つが中心になる。

男女で分けるつもりはない。

剣をやりたければ剣を。魔法をやりたければ魔法を。

自分が何が得意で何を武器にするか、早めに決めろ」


「救護とは」フィオナが聞いた。

「戦場での応急処置だ。まぁ包帯の巻き方からだな」

レントはソラを見た。

ソラが小さく羽を動かした。


「1年次は個人の実力を上げることに集中しろ」

グレイが続けた。

「成績によってはクラス内の生徒の入れ替えがある。

上から落ちる者もいれば、下から上がる者もいる」

「実技で実力を示すのは授業だけですか」レビンが聞いた。

「模擬戦がある。希望者だけの参加になるが十分実力は示せるだろう。あればな」

グレイが全員を見渡した。


「一つ言っておく。このクラスの十五人のうち何人かは、将来小隊を組むかもしれん。学園を出て戦場に立つとき、隣にいるのはここにいる者たちかもしれない。そのつもりで過ごせ」

部屋が静かになった。

戦場という言葉は実感を伴わない、まだ何も起きていないから。


最初の授業が終わって廊下に出ると、ルイーズが近づいてきた。

「カルヴィン・レントさん」

「はい。レントでいいですよ」

「私もルイーズと呼んでください。肩に乗っているのが精霊様ですか。話には聞いていましたが....」

「ええ。ソラと言います」

ソラが羽を動かした。

『レンさん、きれいな方ですね』

ルイーズがソラを見た。しばらく見ていた。

「なんと仰っているのですか」ルイーズが言った。

「声をかけてもらえて感激です」

「きれいな方と言っていますよ」

「き、きれいですか。それはありがとうございます」

「ルイーズは勇者なんだよね」


ルイーズがレントを見た。

「はい、そう言われました。望んだわけじゃないですが、使命は果たそうと思います」

『実力を確かめたいですね、レンさん訓練に誘いませんか?』

「僕は攻撃魔法が得意なんですよ。一緒に訓練しませんか」

「それはありがたい申し出です。こちらからもお願いします」

「毎朝、兄さんたちと訓練しています。一緒にどうですか」

「ぜひ」ルイーズと握手を交わした。

『レンさん。勇者の力楽しみですね』

ソラが言った。

『うん、そうだね』


他の生徒たちもレントの方をチラチラ見ていたが話しかけては来なかった。


夜、部屋に戻ってジャンが来た。

「少し話せますか」

「どうぞ」

ジャンが椅子に座った。少し考えてから言った。

「戦場に行くかもしれないという話、どう思いましたか」

「正直、あまり実感がないです。戦争起きないかもしれませんし」

「確かにそうですね」ジャンが言った。

「僕はゲームが得意なだけなので、不安になります」

「Aクラスだから自信を持っていいんじゃないですか」

「そうかもしれませんが」ジャンが言った。

「ただ、戦術を取ったら大してできることがないです」


レントは少し考えた。

「比べる必要はないと思いますけど」

「だから自信をつけたいです」ジャンが言った。

「ソラ様とやってみたいです」

「ソラが強いですよ」

「だからです。僕はもっと成長したいんです」ジャンが笑った。


ジャンが戦術ボードを持ってきた。

チェスに似ているとソラが言っていた、チェスに地形の要素を加えたものらしい。


『先手はジャンさんで』「ジャンが先手でいいそうです」

「そうですか。全力で挑ませてもらいます」


レントはよくわからなかったが、ソラが勝ったみたいだ。

「もう一度お願いします」

その後3回対戦したがすべてソラが勝った。


「自信を無くしそうです。まったく勝てる気がしません」

『レンさん、私が負けることはなさそうです。どうしますか』

「ジャン、学園に来たばかりで疲れてそうだし、今のままじゃ勝てないって言ってるよ」

「はい。何回やっても勝てないと思いました。また来ていいですか」

ジャンはそれほど落ち込んでないようだった。

そのまま部屋を出て行った。


『落ち込んではないみたいだね』

『私が精霊だからでしょう。人であったら違うかもしれません』

そんなものかと思った。

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