Aクラス
女子寮にアメリアを訪ねた。
訪問を伝えてもらうと、取り巻きの一人が来てくれた。
少し驚いたようだった。
「アメリア様にお伝えしてきます」
「レント様がいらしています」と奥に伝えた。
アメリアが少し考える素振りをした。
「そうですか。少し待たせておきなさい」
待ってる間にソラに言った。
『魔族領まで行ってきてもらえる。どのくらいかかるか確認したい』
『わかりました』
ソラが姿を消した。
15分ほど待ってからアメリアが出てきた。レントの前で深呼吸して。
「ごきげんよう、今日はどうされましたか」
「クラス発表を一緒に見に行こうと思って」
アメリアが少し考えた。
「発表の時間は変更になったのよ。午前ではなく正午になったわ」
「そうですか」
「せっかく来たのだから、少しお話をしてから昼食を一緒に取りましょう」
「ありがとうございます」
アメリアと取り巻き二人と食堂に向かった。
アメリアが気づいた。
「今日はソラはいないのですか」
「少し用事を頼みました。今日は戻るかわかりません」
アメリアが頷いた。
「そうですか。精霊というのは便利なものですね」
「はい。すごく助かっています。ありがたいです」
「アメリアは寮で生活するんですね、王族は通うのかと思っていました」
「自分で希望したのです。それが最善と考えました」
「そうなんですね」
少し話したあと、食堂に行った。
食堂は先輩たちの授業が終わったようで、生徒たちで賑わい始めていた。
「アメリア様どうぞ」
「リディア、ありがとう」
取り巻きたちが用意した席にアメリアが着くと、周囲の視線が集まった。
「レント」アメリアが言った。
「はい」
「あなたはAクラスでしたよ」
「え、そうですか。なぜ知っているのですか」
「情報は力です。あなたにもその力は必要ですよ」
アメリアが少し目を細めた。
「よくやりました。私も安心しました」
「ありがとうございます」
アメリアが続けた。「これで1年は同じクラスです」
「はい、Aクラスと聞いてほっとしました」
アメリアが頷いた。
無表情に見えた、鼻だけ動いていた。
その頃、学園長室では会話が続いていた。
「学園長」ハウエルが言った。
「アメリア王女がAクラスになっていますが」
「ええ、聞きました」学園長が言った。
「昨日、Bクラスと決まったはずです」
「そうでしたね」
「どういうことでしょうか」
学園長が少し間を置いた。
「彼女が持っている力を使ったのでしょう。それを勉強する場所でもあります」
ハウエルが黙った。
「しかし不正を容認するのはどうかと思います」
「おっしゃる通りです」学園長が言った。
「ですが、世の中は正しいことばかりでないとハウエル先生も知っていますよね」
「どうなさるおつもりですか」
「平和な時代には腐敗が蔓延るものです」学園長が窓の外を見た。
「それは学園の中でも外でも関係ありません。その中で自分の持っている力をどう使うのか学んでいくのです」
「だから見逃すのですか」
「学園は平等で公平な場所を目指しています。それは平等で公平ではないからです」
ハウエルが何か言いかけて、やめた。
そのまま部屋を出て行った。
昼食が終わって、発表の掲示板の前に行った。
クラスはすでに聞いたが、自分の目で確認はしたかった。
多くの人が集まっていた。
アメリアが前に出たら、人が左右に分かれた。
王女だからか、気を使われるのも大変だ。
掲示板を見た。
Aクラスの一番上にアメリアの名前があった。
レントは一番下だった。
「僕は一番下でした」
「これからいくらでも挽回できます」アメリアが言った。
「同じクラスで嬉しいです」
アメリアが頷いた。深呼吸した。
「当然でしょう」と言った。
でも耳が少し赤かった。
夜、ソラが戻ってきた。
『どうだった』
『距離感はわかりました。私であれば1時間ほどで行けます。
ですが、海があるため馬車では大きく迂回する必要があります』
『言語はいろいろなところで聞いてきました。書物も確認できたので記録してきました』
『それは大きな進展だね』
『はい。次に行く時はもう少しわかると思います』
『どんな印象だったの』
『魔族は思ったより多く、そして人族と見た目はほとんど変わりませんでした』
レントは少し黙った。
『どういうこと?』
ソラが窓の外を見た。
『場所的に寒冷地です。前の世界で例えれば北欧の人たちを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。頭に2つコブのようなものはありましたが、それ以外はほぼ同じです』
『レンさん、思ったより複雑なのかもしれません』
『つまり、魔族と言ってるけど人種が違うだけってこと?』
『その可能性はありますが、神様は人族と魔族と言っていたので』
『あのおばあさん本当に神様なのかな』
『「そういう呼ばれ方もしておる」と言っていたので違うのかもしれませんね』
もっと魔族のことを調べないと。




