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いい匂いと青い鳥と魔法の話  作者: かわいかつひと


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27/55

試験

試験は三日に分けて行われた。

一日目は歴史と外交、戦術だった。

歴史は書いて答える形式だった。

ソラが書斎で読んだ書物の内容と、生まれてから蓄えてきた知識を合わせれば大体は答えられた。


外交は外交と言うより、その世界の地形・気候・人口・産業・都市や特色など、

前の世界では地理と言われていたものだ。

こちらもソラに事前に確認しておいた。

『手応えはどうですか』

『悪くないと思う』


午後から戦術。

過去の戦争を題材にした問題が並んでいた。

実際の戦闘の流れを読み、次にどう動くべきかを答える形式だった。

レントは少し手が止まった。

実際には正解はわからないからだ。

隣の席でジャンが静かに答えを書いていた。迷いがなさそうだった。

レントは考えた。ソラなら何と答えるだろう、と。

思いついた答えを書いた。

『ソラ、この試験どう思う?』

『平和を表していると思います』


終わってから廊下でジャンに聞いた。

「難しくなかったですか。正解なんて戦場でしかわかりませんし」

「確かにそうですね」ジャンが言った。

「でも、セオリーがありますから。その場での最善と思えるものを書きました」

「そうですか」



二日目、魔法の試験だった。


広い部屋に椅子が並んでいた。

一人ずつ前に出て、光を出す魔法をどれだけ持続できるか計測する形式だった。

試験官は中年の女性だった。

「ハウエルです」と名乗った。

「計測を始めます。光を出したら声をかけてください。消えた時点で記録します」

一人目が前に出た。

光を出した。

少ししてから消えた。

「22秒」とハウエルが言った。


二人目、38秒。

三人目、27秒。


「かなり優秀ですね」ハウエルが言った。

それが続いた。平均は30秒ほどだろうか。

ひとり90秒を超えた生徒が一人いた。

周囲がざわめいた。


レントの番が来た。

「王城でのことは聞いています。あなたには期待しています」


レントは頷いて、それから光を出した。

ハウエルが時計を見た。

30秒経った。光は消えない。

60秒。消えない。

90秒を過ぎた。ハウエルが少し顔を上げた。

2分が経った。

正直どうしようかと考えていた。

たぶん意識がある限りは続けていられる。


ハウエルが時計を置いて、レントを見た。


少し飽きてきたから、光を大きくした。

それからイメージで色をつけてみた。

青くして、赤くした。それから緑にして、また白に戻した。

形を変えたり、点滅させたり。


「他の子見てるから、続けられるだけ続けててちょうだい」

ハウエルは他の生徒の計測をはじめた。

部屋が静かになった。


次の生徒が前に出て始めた。


レントは壁際で光を出し続けた。星の形にしてみた。


ハウエルが時折レントを見た。何も言わなかった。

全員が終わったところで、ハウエルが言った。

「カルヴィン様、結構です」

「はい」

光が消えた。

「魔法の勉強はしていましたか?」

「はい、独学ですがしています」

「独学でしたか。それは楽しみです」

ハウエルがそれだけ言った。



3日目は実技だった。

教官はグレイという名の男だった。

がっしりした体格で、口数が少なかった。

「一人ずつ前に出ろ。こちらがいいと言うまでだ。全力でこい、いいな」

一人目が出た。

グレイは軽く動いているように見えた。

それなりに押し返した生徒もいた。


レントの番が来た。

木剣を構えた。

グレイが踏み込んできた。

速い。

武官たちと同じくらいだと思った。


レナードよりは遅い。

捌いて、反撃した。捌かれた。

グレイのスピードが上がった、レナードと同じくらいか。

なんとか捌けた。

グレイが少し下がって、目を細めてこちらを見た。

「ここまでだ」


二人が離れた。

グレイがレントを見た。

「カルヴィンと言ったな。レナードの弟か」


「はい」

「そうか」グレイが言った。

その後も試験は続いた。



試験が全部終わった夜、ソラに言った。

『どうだったと思う』

『あのグレイさん、体力が凄まじかったです』

『確かにそうだけど、そうじゃなくて試験のこと』

『戦術が少し心配です。他は問題ないと思います』

『Aクラスに入れるかな』

『アメリア様に怒られないといいですね』

『そう言われると、別にAクラスに入りたい訳じゃないから、どっちでもいいか』


明後日、結果が出る。


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