仲間と目的
夕食の時間に食堂に行った。
十人ほどの寮生がいた。
そういえばレナードにまだ会ってない、どこにいるのか。
レントが入ると、全員がソラを見た。
それからレントを見た。それからまたソラを見た。
誰も話しかけてこなかった。
食事を取って席に座った。
不自然なほど静かだった。
ソラが肩の上で小さく羽を動かした。
『レナード様は寮にはいないようですね』
『うん、王子と一緒なのかな』
食事が終わりかけたころ、隣のテーブルから一人が近づいてきた。
同い年くらいに見えた。少し緊張した顔をしていた。
「カルヴィン様ですよね」
「はい。レントといいます」
「ブランドンといいます。サルトン男爵家の次男です」
「はじめまして、これからよろしく」
ブランドンがソラを見た。
「噂に聞いていましたが、精霊様に会えて嬉しいです」
『あまり家同士の交流はないと思います。情報がありません』
「喋るんですね」ブランドンが言った。
目が丸くなっていた。
「ええ、喋ります。よろしくと言っています」レントが言った。
ブランドンが後ろに下がった。それからまた戻ってきた。
「すごい」
「驚かせてしまいましたか」
「驚きました、声をかけてもらえて光栄です。レント様も今後ともよろしくお願いします」
「もちろんです。あと、普通に話してください。僕は気にしないので」
「はい、ありがとうございます」
ブランドンが自分のテーブルに戻った。
後ろから他の寮生たちがブランドンに何か聞いていた。ブランドンが頷いていた。
部屋に戻った。
窓の外は暗くなっていた。
ソラが棚の上に止まった。
『少し確認してもいいですか』
『うん、何を』
『レンさんはここで何をしたいですか』
レントは少し考えた。
『できるだけ多くの仲間を作ることかな。派閥を作りたいわけじゃないけど』
『それはレンさんが本当にしたいことですか』
レントは黙った。
窓の外で風が動いた。
『わからない』レントが言った。
『正直、わからない』
しばらく静かだった。
『ただ』レントが続けた。
『この世界の父上も母上も兄さんもシャーロットも、それにこれまで関わってきた人たちとも楽しく過ごしたい。少なくともあの人たちに悲しい思いはさせたくない』
『それは本当でしょう』ソラが言った。
『でもそれがやりたいことかどうかはわからない。守りたいものはある。
でもそのためにどうしたいかは、まだわからない』
『今はできることをやっていけばいいと思います』
『そうだね』レントが言った。
『ソラはどうしたい?』
ソラが少し間を置いた。
『私はレンさんと過ごすことが目的です。許されるのであればシャーロット様とも』
『もちろんいいさ。そう思ってくれて嬉しいよ』
『短期的には図書室に行きたいです。辺境家より多くの蔵書があるはずです。
魔族についてもっと調べなければなりません』
『そうだね、全然わかってないもんね』
『戦略を立てるには情報が必要です。今のままでは何もわかっていません』
レントは天井を見た。
守りたいものはある。
でも、それが僕が本当にこの世界でしたいことかはわからない。
少なくとも魔族と戦うことではないことはわかるけど。
『私たちは、あのおばあさんは神様だと思っていますが、それは本当でしょうか』
『ソラは違うと思うの?』
『あの方の力を考えるとこの世界を創造したのは本当かもしれません。
この世界での私たちのことを考えると』
『そうだよね。でも?』
『あのおばあさんを創造したのは誰でしょうか?』




