表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色の令嬢と氷の辺境伯 〜魔法のない世界で、貴方の瞳に映る私だけが本物でした〜  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/110

第89話:王宮の階段にて

白大理石の階段を上る、アメジストの閃光。

アイリスはリュカの腕に抱かれ、過去の未練をすべて踏み越えて、高みへと至ります。


 大広間の奥、国王陛下と王族たちが待つ高台へと続く、白大理石の大階段。

 そこは魔法の光さえ及ばない、純然たる権威と血統が支配する「審判の場」だった。


「アイリス、恐れるな。この階段は、お前が過去を切り捨て、新しい王として君臨するための道だ」


 リュカ様が低く、心地よい声で私の耳を打つ。

 彼は包帯の巻かれた左手で私の腰をしっかりと抱き寄せ、自らの熱を分け与えるように密着させた。漆黒の軍礼装に施された猛禽の刺繍が、一歩ごとに命を宿したように揺れる。


 私が一歩、階段に足をかける。

 その瞬間、アメジストのドレスに仕込んだ水晶片と銀糸が、天井の無数の燭台を捉え、大理石の床に紫の火花を散らした。


「……あ。……見ろ、あの輝きを」

「階段を上るたびに、色が……色が変わっていく」


 階下で見守る貴族たちから、吐息のような感嘆が漏れる。

 魔法が使えないこの地において、光の屈折を計算し尽くしたアイリスの「反撃の鎧」は、人々の目に奇跡として焼き付いていた。


 階段の途中で立ち尽くしていたエドワード様が、信じられないものを見るかのように私を凝視している。彼の隣で、セレーナはドレスの裾を強く握りしめ、顔を屈辱に歪めていた。


「アイリス、……待ってくれ、君……っ」


 エドワード様がたまらず声をかけるが、私は一瞬たりとも足を止めなかった。

 かつての私なら、この階段の途中で彼に呼ばれれば、不安げに振り返っていただろう。けれど今、私の視線の先には、最上段で冷徹に、そして誇らしげに私を導くリュカ様の瞳しかない。


「……お前の隣に立つのは、俺だ。あんな男に、視線の一欠片もくれてやるな」


 リュカ様が独占欲を剥き出しにして、私の指先を自らの胸元へと引き寄せる。

 階段を上り詰めるたび、背後にある王都の虚飾が遠ざかり、代わりに北方の主と二人だけの、確かな真実が近づいてくる。


 私たちはついに最上段に立ち、騒然とする大広間を、冷酷なまでに気高く見下ろした。

 王宮の階段。それは、アイリスが「捨てられた令嬢」から「真の女王」へと脱皮した、聖なる境界線となった。


第89話をお読みいただきありがとうございます。

階段を上るアイリスの描写、まさに「逆転」の象徴ですね。

魔法なき世界だからこその、ドレスと光の演出が王都の貴族たちを圧倒しました。

「エドワード王子の情けなさがたまらない!」「アイリスの背筋が伸びた姿に感動」と思ってくださった方は、

ぜひ【★★★★★】評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!

次話、いよいよ第4章の締めくくり。大広間の扉が開き、真実の幕が上がります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ