表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色の令嬢と氷の辺境伯 〜魔法のない世界で、貴方の瞳に映る私だけが本物でした〜  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/110

第87話:社交界のざわめき

王宮を包む、驚愕と称賛の嵐。

泥の中から蘇ったアイリスの美しさが、王都の偏見を力ずくで塗り替えていきます。


 王宮の巨大な石造りの車寄せに、ヴォルテール家の猛禽を戴く馬車が止まった。

 扉が開かれる前から、辺りには波紋のようなざわめきが広がっている。魔法など存在しないこの世界で、沈黙を破るのは人々の剥き出しの好奇心と、恐怖に近い期待感だった。


「……辺境伯リュカ・ヴォルテール殿、および――」


 案内人の声が、続く名前を呼ぶのを一瞬ためらった。だが、リュカ様が先に馬車から降り立ち、その漆黒の軍礼装を翻して私に手を差し伸べた瞬間、ためらいは驚愕の絶叫へと変わった。


「……アイリス・ランチェスター嬢、入城されます」


 私がリュカ様の手に指を重ね、ゆっくりと地面に降り立った。

 その瞬間、大気に火がついたかのような衝撃が走った。


「まさか……本当にアイリス様なのか!?」

「あのアメジストの輝きを見ろ。……追放された時とは別人のようだ」

「見て、あの刺繍。王都の職人には逆立ちしても真似できない。……あれこそが真の気高さというものか」


 かつて私を泥に沈めた貴族たちが、今は私から目を逸らすことさえできずに立ち尽くしている。

 私が纏うベルベットは夜の闇よりも深く、リュカ様が結んでくれたアイスブルーのリボンが、風に揺れて彼の独占欲を誇示するように輝いていた。


「……案ずるな。奴らの視線は、もはやお前を汚す刃ではない。ひれ伏すための捧げ物だ」


 リュカ様が低く、熱い声を耳元で響かせる。

 彼は私の腰を抱き寄せ、周囲の喧騒を一切無視して、王宮の長い階段を登り始めた。

 彼が纏う猛禽の刺繍と、私の茨の意匠が重なり合い、一つの強固な「力」となって貴族社会を圧倒していく。


 視界の端で、招待客の中にいたセレーナが、顔を屈辱に歪めて扇を握りつぶすのが見えた。

 ざわめきは止まない。

 私たちが一歩進むたび、王都が積み上げてきた虚飾の歴史が、音を立てて崩れ去るのを感じていた。


第87話をお読みいただきありがとうございます。

ついに大衆の前に姿を現した二人。アイリスの「アメジストのドレス」が、王都の流行を過去のものにしました。

「ざわめきの中で堂々とするアイリスがカッコいい!」「リュカ様のエスコートが完璧すぎる」と思ってくださった方は、

ぜひ【★★★★★】評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!

次話、会場で待ち受けるセレーナ。第88話「偽りの華やかさ」へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ