表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色の令嬢と氷の辺境伯 〜魔法のない世界で、貴方の瞳に映る私だけが本物でした〜  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/98

第73話:嫉妬の檻、愛の盾

市場への無断外出が、リュカの独占欲に火をつけます。

失うことへの恐怖が、辺境伯を冷徹な「盾」から、情熱的な「檻」へと変えてしまいます。


 別邸の裏門を潜った瞬間、待ち構えていたかのような冷気――リュカ様の殺気に、私は足を止めた。

 彼は外套を翻し、一歩、また一歩と私に詰め寄る。そのアイスブルーの瞳は、これまでにないほど深く、暗い嫉妬と焦燥で濁っていた。


「……何分なにぶんだと思っていた」


 低く、地を這うような声。

 リュカ様は私の返答を待たず、その細い手首を掴み上げると、そのまま私を壁際へと追い詰めた。魔法のないこの地において、逃れようのない力で組み伏せられることは、絶対的な「服従」を強いることに等しい。


「資材を、染料を確認するだけだと言ったはずだ。……なぜあんな、野犬の群れのような市場で、得体の知れない老人と密会していた」


「あの方は、かつての恩師ですわ! リュカ様、お手が……っ」


「黙れ! お前が俺の視界から消えている間、俺がどのような心地でいたか分かっているのか! エドワードの手の者が、セレーナの刺客が、いつお前のその柔らかな喉元を狙うか……っ」


 リュカ様は叫ぶように言い放つと、私の首筋に顔を埋め、所有権を刻印するように激しく、その香りを吸い込んだ。

 彼の左手の包帯が、私の肌を擦る。あの時、私を守るために負った傷。その記憶が、彼の独占欲をさらに狂おしいものへと変えていた。


「お前は俺のなかにいればいい。刺繍も、呼吸も、微笑みも、すべて俺の視線が届く範囲でだけ行え。……お前を失うくらいなら、俺はお前をこの部屋に鎖で繋いででも……!」


 リュカ様の手が、私の頬を、そして唇を、奪い去るような熱を持ってなぞる。

 独占欲という名の檻。けれど、その檻は同時に、私を外敵から守るための最強の盾でもあった。


「……申し訳ありません。貴方をこれほどまでに、不安にさせて……」


 私が彼に身を預け、その逞しい背中に手を回すと、リュカ様は呻くような声を漏らして私を抱きしめた。

 魔法なき世界の冷たい夜。

 私たちは、お互いを繋ぎ止めるための「熱」だけを頼りに、暗闇の中で深く、深く、絡み合っていった。


第73話をお読みいただきありがとうございます。

「俺の視界から消えるな」……リュカ様の重すぎる愛が爆発しましたね。

魔法がないからこそ、こうして物理的に抱きしめるしかない彼の焦燥に、

「独占欲の塊のリュカ様、たまらない!」「アイリス、愛されてる……」と思ってくださった方は、

ぜひ【★★★★★】評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!

次話、決戦に向けた二人だけの「秘密の工房」での作業が始まります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ