表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色の令嬢と氷の辺境伯 〜魔法のない世界で、貴方の瞳に映る私だけが本物でした〜  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/57

第52話:氷の瞳、炎の嫉妬

一通の手紙が暴いた、アイリスの過去。

リュカの「氷の瞳」の裏側に潜んでいた、狂気にも似た「炎の嫉妬」が牙を剥きます。


 リュカ様の手の中で、くしゃくしゃになった古い手紙がカサリと音を立てる。

 その乾いた音は、まるで私の平穏な日々が崩れ去る合図のようだった。


「リュカ様、聞いてください。それは……」

「黙れと言ったはずだ」


 遮られた声は、地を這うほどに低く、冷たい。

 彼のアイスブルーの瞳は、いつも以上に透き通って見えた。けれど、その奥底にはドロドロとした暗い熱――制御しきれない嫉妬の炎が渦巻いているのを、私は本能で察知した。


 魔法が使えないこの地において、男の怒りはその体温と腕の強さで示される。

 リュカ様は私の手首を掴み上げ、逃れられないように背後の壁へと押し込んだ。石壁の冷たさが背中に伝わるが、それ以上に、私を拘束する彼の掌が、火傷しそうなほどに熱い。


「この手紙を……あいつに渡すつもりだったのか。この美しい指先で、あいつのために針を動かし、あいつのために言葉を綴っていたのか」


「……それは、あの日雨の中に捨てられる前の私ですわ! 今の私を見てください、リュカ様!」


 必死の訴えも、嫉妬に狂う彼の耳には届かないようだった。

 リュカ様は私の首筋に顔を埋め、所有権を刻みつけるように深く、鋭く、その香りを吸い込んだ。


「お前の過去をすべて切り刻んでやりたい。お前がかつて誰かを愛したという記憶そのものを、この世から消し去ってしまいたい……」


 独占欲。

 それは、慈愛を遥かに超えた、傲慢で純粋な暴力だった。

 エドワード様は、私という存在を「王妃」という型に嵌めようとした。けれどリュカ様は、私という存在そのものを、自らの魂の一部として飲み込もうとしている。


「アイリス……。お前をこのまま、誰の目にも触れない地の底へ隠してしまえたら、どれほど楽だろうな」


 掠れた声で囁きながら、彼は私の瞳をじっと見つめた。

 氷のように冷たく、炎のように熱い視線。

 私はその矛盾した情愛に、恐怖と、抗いようのない甘美な昂揚を同時に感じていた。


 窓の外、王都の闇は深まり、セレーナの放った毒は、確実に二人の絆を歪め、加速させていく。


第52話をお読みいただきありがとうございます。

リュカ様の嫉妬、凄まじいですね……。「地の底へ隠したい」というセリフに彼の本音が漏れています。

「独占欲の塊のリュカ様、たまらない!」「アイリス、誤解を解けるの?」と思ってくださった方は、

ぜひ【★★★★★】評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!

次話、涙ながらにリュカ様へ真実を訴えるアイリス。二人の感情が激突します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ