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大き海の 奥処も知らず 行く我を
大き海の 奥処も知らず 行く我を 何時来まさむと 問ひし児らはも
(巻17-3897)
大きな海の、果てしない広さも危険もわからずに、旅に出た私に、「何時お帰りなのですか」と聞いて来たあの娘は、どうしているのでしょうか。
いよいよ長旅も終わりになって、愛しい娘を気にかけ始めたのだろうか。
出発前は、船旅が実は不安だった。
果ての知れない大海で、万が一、どこに行きつくのかわからない。
あるいは、沈没して帰らない人になるかもしれない。
そんな不安に疎い愛しい彼女は「何時に御帰りですか」と聞いて来たことを思い出す。
早く逢って「今、帰ったよ」と言いたい、そんな気持をこの歌に強く感じる。




