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物におそれし歌三首(2)
沖つ国 うしはく君が 塗り屋形 丹塗りの屋形 神の門渡る
(巻16-3888)
※うしはく君が:死霊の集まる冥界の王。
死んだ人の霊が集まる沖つ国の王が乗る、丹塗りの屋形船が、(今しも)神の門(冥界の入り口の門を渡って行く。
海が見える地方の葬儀場で詠まれたのか、人が死ぬと、その死んだ魂は、海の向こうの「沖つ国」に、丹塗りの船に乗って、神の門(冥界の門)をくぐって、この現世から消えて行く。そんな俗信があったようだ。
仏教が根付く前の、人々の考え方で、なかなか貴重なものと思う。




