悪役令嬢と腹黒皇子の白い結婚が、全然白くなかった件について~「君を愛することはない」をお待ちしておりますわ
不幸な結婚を避けるために悪役令嬢をしているジュスティーヌ姫。目下、彼女の天敵は、この国の王妃――父の後妻の継母である。
この王妃に敵視され、ジュスティーヌは父や兄とも自由に会うことができず、離宮に半ば閉じ込められているのだ。
家族からの愛情を感じることもない。その上、あらゆる手段で自分を追いつめてくるこの継母王妃を見ていたら、結婚に夢も希望も抱けなくなっていた。
ジュスティーヌは今、その王妃に呼び出されていた。
「ジュスティーヌよ、喜ぶがいい。お前の嫁ぎ先が決まったぞ」
口角をわずかに上げて王妃は告げた。
王妃は嫁いで以来、亡き前王妃の姿を彷彿とさせるこの姫を、ずっと目の敵にしてきた。その厄介な姫を結婚という形で永久に追い出せるのだ。顔色こそほとんど変えなかったが、王妃は内心で高笑いが止まらなかった。
ジュスティーヌは一瞬身体をこわばらせる。
「左様でございますか……。それは……大変ありがたいことでございますわ」
ジュスティーヌ姫はどうにか顔を上げて、無理に笑ってみせた。
(ああ、絶望的だわ……。悪役令嬢になって結婚を避ける名案が無駄になったじゃないの!)
せっかく楽しく悪役令嬢をしているのに、結婚だなんて……これは何とかするしかない。
(クソッ、こうなったら、嫁ぎ先で暴れに暴れて離婚してもらうしかないわ! まずは顔合わせの時に二、三発殴る。手が滑ってしまったということにしましょう)
弱々しい表情を作ったその裏で、ジュスティーヌ姫は随分と猛々しいことを考えていた。
転んでもタダでは起きない自称・悪役令嬢、それがジュスティーヌ姫だった。
「お前の相手は、帝国の第二皇子アルフォンス殿下だ」
(知らない人ね……。とにかく、顔合わせまでの間にパンチ力を上げておかないと!)
「ただ、帝国の第二皇子とはいっても、彼は、ねぇ……王妃様?」
王妃の横にいた取り巻き女官、侯爵夫人がもったいぶったセリフで煽ってくる。
(はあっ? なに、このクソなおばさん。言いたいことがあるならば、ハッキリ言いなさいよ!)
「あの……第二皇子殿下は、何か問題があるお方なのでしょうか……?」
ジュスティーヌはできるだけショックを受けているような表情を作って、この話を聞いていた。
「姫様にはとてもお気の毒ですが、先方はどうやら『白い結婚』をお望みのようですよ」
伯爵夫人がニヤニヤしながら、この結婚の背後にある真相を明かす。
「姫様のあまりよろしくない評判を耳にした殿下が、『相手が悪女であれば、白い結婚を申し込んだとしても、罪悪感がない』とおっしゃっていたそうよ」
(なるほど。肩書だけは立派だけど、事故物件というわけね。帝国の皇子なのに、結婚相手が「悪役令嬢」しか見つからないなんて。これは、真正の不細工ね! 間違いないわ)
「そう……でしたか……」
ジュスティーヌ姫は残念そうに、うなだれながら王妃の部屋を後にした。
自分の住む離宮まで足早に戻る。最後は走って自分の部屋に飛び込むと、ベッドにダイブする。
「ふふふっ、ははははっ、おーほほほほほっ!」
「姫様、どうされました? 王妃様は何と?」
侍女のメリーは不思議そうに尋ねてきた。
「メリー! わたし、結婚することになったの。何とかっていう名前の超不細工皇子と」
「そ、そうですか……情報が少なすぎて、お喜びすべきか、悲しむべきか……」
「一つだけ朗報よ! 相手は何と、この悪役令嬢ジュスティーヌ姫様に恐れをなして、『白い結婚』をご所望のようなの!」
ジュスティーヌはバンと胸を叩きながら、誇らしげに話した。
「まあ、なんと!」
メリーも嬉しそうに目を輝かせた。
「だから、メリー、顔合わせまでに、成金悪女風の趣味の悪いドレスの用意をお願いね」
「はい、全てお任せくださいませ! 白い結婚となると……姫様は、これからビンタの練習でもなさるおつもりでしょうか?」
「さすがは、メリーね! よくわかっているわ。ついでに背負い投げの練習もしておくわ」
「どうぞ、思う存分暴れていらっしゃいませ。ティータイムにはマロンタルトをご用意しておきますね」
「ありがとう、メリー! 今日は、実のところ、マロンタルトの気分だったのよ!」
メリーはジュスティーヌ姫が幼いころからずっとそばで世話をしてくれている。ジュスティーヌ姫の「悪役令嬢化計画」にも一役も二役も買ってくれているスーパー侍女なのだ。
白い結婚――つまりは実態のない結婚。これは、ジュスティーヌ姫にとっては、最上級の結婚といえた。なぜならば、夫は妻に無関心なわけで、実質独身と同じことだからだ。
しかも、皇后になりたいといった願望がまるでない彼女にとっては、第二皇子というのもポイントが高い。
(白い結婚だから、好き勝手し放題! 三食タルト付きの生活だって夢じゃないわ!)
さらに、その皇子は、各国の公邸が集まる中立都市で大使をしているらしい。つまり、王妃の監視の目も、いびってくる姑たちの目も気にしなくていいのだ。
(このお話、案外悪くないんじゃない!)
そんなことを考えながら迎えた顔合わせの日。
ジュスティーヌ姫は侍女のメリーが用意した赤と黒のドレスに身を包み、ザ・成金な宝石を指につけてアルフォンスの住む公邸を訪れていた。
さすがに帝国の公邸だ。使用人だけでなく客と思われる貴族や商人と廊下で何度もすれ違う。
「殿下はただいま来客対応中ですので、こちらで少々お待ちください」
初老の家令に、趣味の良い客間に案内される。窓の外からは、賑やかな男たちの声が聞こえてくる。ふと目を遣ると、騎士たちが訓練していた。
(ふむふむ、なかなかの腕前ね。特にあの黒髪の騎士なんて、戦い甲斐がありそうね!)
ジュスティーヌは戦士の目になって、しばし騎士たちの腕を品評していた。
しばらくすると侍従が香りのよいお茶を運んできた。
(やったー、タルトだわ! しかも三種類もあるー! 幸先がいいわ!)
洋ナシタルト、チョコレートナッツタルト、ブルーベリータルトに舌鼓を打つ。彼女は悪役令嬢なので、遠慮なく全部食べる。
(えええっ、めっちゃおいしいんだけど、このタルト! さすがは商業都市のタルトね! 余は満足じゃ~)
ここに何をしに来たのかすっかり忘れ、宝石のようなタルトの数々に舌鼓を打っていると、ドアをノックする音が響いた。
「失礼します。遠いところをよく来てくださいました、ジュスティーヌ姫。ブリオントクロヌ帝国の第二皇子アルフォンスと申します」
「えっ……」
サラサラのハニーブロンドの長髪に、空のように澄んだ青い瞳。一瞬で目を奪われる皇子様のような美しい男が現れた。
(……って、実際に帝国の皇子様だったわ!)
男の眩しさに、ジュスティーヌ姫は思わずタルトを落としそうになった。
「そちらのタルト、気に入ってもらえたようでよかったです」
アルフォンスはほぼ空になっているタルトの皿を見て、爽やかに笑った。
(ちょっと! 不細工とか言ったの誰よ! めっっっっちゃイケメンじゃないのおおお! ああ、しかも、割と好みだわ……ま、まあ、仕方ないわ。顔の良さに免じて殴る場所はお腹にしてあげるわ)
ちなみに、誰も不細工とは言っていない。彼女が勝手に勘違いしただけである。ジュスティーヌはフォークを持つ手をぎゅっと握ると無意識のうちにジャブを繰り出していた。
「あっ、えっと……おいしかったので、もっと食べたいです……」
思わず本音がポロリと漏れる。
「そうですか。では、存分にどうぞ。追加をお持ちしましょうか?」
(落ち着け! 落ち着くのよ、ジュスティーヌ!! 滅多にお目にかかれないイケメンだからって惑わされちゃダメ! あの金髪は……そう、黄金のチーズタルトよ!)
「……グランソード王国の第一王女ジュスティーヌと申します。ところで、この結婚は契約結婚だと伺っております。それで間違いないですわよね?」
ジュスティーヌ姫はこの際だから、回りくどいことはせずに直球で知りたいことを尋ねた。
「えっ、あっ、そうですね。ジュスティーヌ姫には申し訳ないのですが、私にはどうしても結婚しなければならない事情がありまして……契約結婚をお願いしたいのです……」
イケメン過ぎる皇子は申し訳なさそうに目線を逸らした。
(はあ……愁いを帯びた顔もイケメンだわ……じゃなくってっ!)
ジュスティーヌは、ともすると目の前の男のイケメンっぷりにぽわーんとなりそうな自分を鼓舞した。
「……問題ないでしょうか?」
どうしても結婚しなければならない事情――
(身分違いの恋人がいて、そのカモフラージュのために必要とか? あるいは、ストーカー女五十人ぐらいに付きまとわれているとか……!?)
ジュスティーヌはこの結婚の背景にある事情を彼女なりに考察し、勝手に納得した。
(この男、随分と申し訳なさそうにしているわね。ふふふっ、そこに悪役令嬢のわたしはしっかりつけ込んであげるわ! タルト食べ放題生活、万歳!)
ジュスティーヌは夢を見ているかのような目つきで、タルトと幸福に満ちた「白い結婚」の日々を妄想していた。だからウキウキ顔で返答をする。
「なーーんにも問題ありませんわっ!」
「こちらが結婚の契約書です」
アルフォンスは契約書を差し出した。
「いくつかお願いがあるのですが…………立場上、人目がある公の場所では夫婦仲がうまくいっているように装っていただきたいのですが……」
「なーーーーーんにも、問題ありませんわっっ!」
ジュスティーヌは力強く返答した。公の場所で夫婦の振りをするぐらいは、契約結婚ではよくあることだ。
ジュスティーヌ姫はアルフォンス皇子が出した契約書に適当に目を通す。「タルトは一日一つまで」とか「騎士に戦いを挑んではいけない」などの到底承諾しがたい条項はない。
(『公の場では互いに夫婦として尊重し合う』『市民の要望には最大限応じる』ふむふむ。常識的な契約結婚の契約書ね。夫婦のフリぐらいだったら別にいいわ。タルトのためだもの。やってやろうじゃないの!)
ジュスティーヌは上機嫌でさっさとサインをした。アルフォンスはその様子をじっと眺めていた。
「はあ……結婚したくないと言われたらどうしようかと思っていたので、この話をジュスティーヌ姫にお受けしてもらえて本当によかったです。ふぅ……」
アルフォンスは、まるで一世一代のプロポーズに成功したかのように、天を仰ぎながら安堵のため息をついた。
(この人、そんなに契約結婚の相手がほしかったのかしら? ま、とにかく、この人を落とせると思っている勘違い令嬢たちを追っ払えばいいのね、そういうの、大得意よ!)
悪役令嬢の出番とばかりに、ジュスティーヌは無意識にパンチを繰り出していた。
「では、ジュスティーヌ姫……いや、これからは夫婦になるんだ。ジュティと呼んでもいいかな? 俺のこともアルと呼んでほしいな」
契約が成立した途端、急に馴れ馴れしくなるアルフォンス。
しかも、向かいのソファからわざわざジュスティーヌの隣の席に移動してきて、ジュスティーヌが放ったエアパンチを捉えるとそのまま彼女の手を両手で包み込んだ。
アルフォンスの笑顔が妙に眩しい。
「えっ、あ、あの、まあ、別に呼び方ぐらいはいいんですけど……これはなんですの?」
ジュスティーヌはイケメン皇子に握られている自分の手に目を遣った。
「ああ、ジュティがあまりにもかわいかったから、手を握りたくなってしまってね」
(えっ、なんて? かわいい? 悪女が?)
ジュスティーヌは訝しげに眉をひそめた。
「えっと、殿下、再度確認なんですが、これって契約結婚なんですよね?」
「そうだけど? ジュティ、俺のことはアルと呼んでほしいな」
アルフォンスが熱のこもった目線を向けてくる。
(あれ? 契約結婚ってこんなん? ……それよりも、まだ言われてないわ、白い結婚の定番のあの言葉を……早く聞いておかないと!)
「……アル、あの」
「ジュティ! ああ、もう一度、俺の名前を呼んでくれないか?」
今度は急に抱きしめられる。
「ひぃぃぃ! ちょ、ちょっとあなた!」
「あなたじゃなくて、アルって呼んでほしいな」
「アル! あの、これは契約違反なのでは!?」
「えっ、何がかな?」
アルフォンスは、芸術的なイケメンフェイスですっとぼけた顔をしていた。
「だって、これは契約結婚でしょ? ってことは、人目のない場所でわざわざイチャつく必要はないでしょ!」
「確かに、人目のある場所ではイチャつく契約だけれども、人目のない場所ではイチャつかないとはどこにも書いていないよ」
アルフォンスは憎らしいまでに涼し気な顔でそう言い放つ。
「はあ?」
(なんたる詭弁! なんて腹黒い男なの、このイケメンは!!)
「わかったよ、ジュティ。じゃあ、人目のある場所に行こう! そして、契約通り、思う存分イチャつこう!」
「はあああっ!? まさかのそっちの解決策!?」
アルフォンスはジュスティーヌを軽々と抱き上げる。
(ああっ、なんて逞しい身体かしら……じゃなくってっ!)
「ちょっとおおお、おろしなさああああい!」
ジュスティーヌ姫は、アルフォンス皇子の腕の中で、釣り上げられたばかりの活きの良い魚のように暴れまくった。が、どうにもこうにも彼の腕の中から抜け出すことができない。
「ははははっ、ジュティは相変わらず元気だなぁ。屋敷の中を案内するよ。まずは、夫婦の寝室からかな!」
「止まれええええ! 止まりなさああああい!」
(相変わらず? そもそも、夫婦の寝室って何!? 契約結婚だったら寝室は別でしょー!)
「あ、そうだ、ジュティ、この公邸の中には、いろいろな人の目があるからね。ここは公の場だと考えてほしいな。あっ、ほら、メイドたちが見ている」
「はああああっっっ!? なんじゃそりゃあああ!?」
(そんなこと言ったら、プライベートな場所なんて存在しなくなるじゃないのおおおおっっ!)
ジュスティーヌは怒りと焦りで混乱の極みにあった。
「あらまあ! 殿下と奥様、超ラブラブねっ。さすがは相思相愛のお二人だわ、あははははっ」
「あらもう! 殿下ったら、念願叶って愛しのお姫様をゲットしたからって、見せつけてくれるんだから! あははははっ」
廊下ですれ違った陽気なメイドのおばちゃんたちが揶揄ってくる。
(相思相愛? 念願叶って?? 今、この人と会ったばかりなんですけど、一体どういうこと!?)
「あのっ、アル! この結婚に際して、とぉっても大事な言葉を、わたしまだ聞かせてもらってないわ」
「あっ……」
ルンルン気分で浮かれていたアルフォンスが急に立ち止まる。
「……そうだったね、じゃあ、寝室の前にこっちのほうがいいな」
タタタタタッ、ビュン、ビューン、ビューーン――
「えええええっ!」
そういってアルフォンスに連れてこられた場所は、街が一望できる時計台のてっぺんだった。
どうやってここに来たのかって。この男、ジュスティーヌ姫を抱きかかえたまま、飛ぶようにこの塔に駆け上がったのだ。
(チート過ぎん? この人の運動能力、一体どうなってんの!?)
ようやくジュスティーヌは下ろしてもらえて、小さな木箱の上に座らされた。
「ジュティ、この結婚に際して、君に一番に告げなければいけない大事なことを、まだ伝えていなかった」
アルフォンスは真剣な顔つきでジュスティーヌを見つめた。
「そ、そこまで思いつめなくてもいいわよ。あなたの言いたい言葉はよーくわかっているから。ただ、念のために直接聞きたかっただけだから」
「ジュティ……君を愛すること……」
(あー、それそれ)
ジュスティーヌは頷きながら、そよ風のようなアルフォンスのささやきに耳を傾けていた。
「…………を誓う、この俺の一生をかけて」
「はいはい、わかってますよ。って、えええええっ!?」
「ありがとう、ジュティ! 俺の君に対する想いをわかってくれて! 絶対に君を幸せにする!」
アルフォンスは再びジュスティーヌを強く抱きしめた。
「いや、それは全然わかってない! 言うこと完全に間違えてるぅぅぅ!」
「間違えてなんてないさ。君に伝えたいことは一つしかない。ずっと好きだった」
「ずっとって、たったの数十分前よね、わたしたちが会ったの? あなたのずっとって非常識なレベルで短いのね」
「まさか、君に初めて会ったのはもう八年も前だよ」
「は、八年!?」
アルフォンスはドキッとするような笑顔でジュスティーヌを見つめながら、唇に人差し指を立てた。
「覚えてないかな? あの時、君に結婚を申し込んだら思いっきり殴られてさ」
「えっ……?」
「君の一発で、完全に目が覚めたんだ。あんな風に俺に気合を入れてくれるのは、ジュティ、君だけだ」
「ええええっ! まさかあなた、あのときのヘタレ王子!?」
後にも先にも、アルフォンスをぶちのめした女性は、ジュスティーヌただ一人である。
「ところで、ジュティ。俺たちの結婚をこの街の市民の皆さんが祝ってくれているんだ。応えないと」
「えっ、は? はあああああああ!?」
ジュスティーヌは慌てて時計台の下を覗き込んだ。そこには大勢の人が集まっていて、大きな横断幕を掲げている。
『ジュスティーヌ王女殿下、アルフォンス皇子殿下、ご成婚おめでとうございます!』
「えっと…………」
「さあ、彼らの期待にお応えしないと。契約しただろ?」
「ケイヤク?」
「そう、契約だ。『夫婦は互いに協力し合い、公人として市民の要望には最大限応じることとする』『市民の手本となる夫婦となる』と」
そういえば先ほどの契約書に書いてあった気がする。
時計塔の下からは、市民たちの声が響く。
「キース! キース!」
「な、な、な、な……」
ジュスティーヌは、怒りと羞恥心で真っ赤な顔になった。言葉にならない言葉でアルフォンスを責め立てた。アルフォンスは最高の皇子様スマイルで微笑んでいる。
「なんて腹黒いの! あなたって人はっっ! このっ、このぉっっ!」
ジュスティーヌは高速連打パンチを、アルフォンスの胸とお腹に浴びせまくった。久々に味わうジュスティーヌの愛のムチに、アルフォンスは心が痺れていた。
「ははっ、くすぐったいよ、ジュティ。そんなに俺の身体に触りたいの?」
「なーーーんですってええええ! いいことっ、腹黒皇子、よーく聞きなさい! 今日、受けた屈辱は絶対に忘れないんだからっ! あなたのこと、いつか必ずぎゃふんと言わせてやるんだからあああ! 覚悟なさいっ!」
(悪役令嬢なめんなーーー!)
「それはとても楽しみだ」
(ジュティ、君のいる人生は本当に退屈しないよ)
アルフォンスは、真っ赤な顔でジタバタと暴れまくるジュスティーヌを、優しく、だけど強く抱きしめるのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
こちらは長編『悪女姫の仁義なき恋愛バトル』のスピンオフ作品になります。
本作では、「白い結婚」をめぐってのバトルでしたが、本編でもプロポーズしてくるアルフォンスをジュスティーヌは悪役令嬢として研鑽を積みながら、必死でかわしています。
自称悪役令嬢のジュスティーヌと、彼女を落としたい腹黒皇子のアルフォンスの恋愛バトル、お気に召していただけましたら、長編もよろしくお願いいたします。




