俺、刈られる。
ママはペットショップのスタッフと話を終えるとキャリーケースを開け、春輝を抱っこした。
『ママ、トイレ行っといた方がいいらしいぞ』
「ハルちゃん、それじゃあ頑張ってね」
ママはスタッフに春輝を渡すと手を振って帰っていく。
春輝は耳を下げてママを見送った。
『俺、別に平気だし……』
尻尾もしょんぼりと足の間に埋まっていた。
女のスタッフが春輝に声をかける。
「ハルちゃん、こんにちは」
「可愛くするからね」
春輝はスタッフに抱っこされたまま、お店の奥に連れて行かれるのだった。
春輝は銀色の囲いの中に下ろされた。
『なんだ?ここ』
「ハルちゃん、お尻触るよー」
『えっ』
尻の穴周りを指でギュッと摘まれる。
『ひぇえ!おい!どこ触って……』
茶色い液体がぴゅっと出てくる。
『……くっせえ!』
「ハルちゃん洗ってくよー」
シャワーヘッドから勢いよくお湯が噴き出す。
春輝の臭い肛門腺も温かいお湯が流していった。
全身をお湯で濡らされると、春輝の大きさは半分になっていた。
『……なんか体が重いぞ』
スタッフが春輝にシャンプーをつけ、全身を泡立てていく。
シャンプーのいい香りがふんわりと上っていた。
マッサージするかのように丁寧に擦られていく。
『これ……気持ちいいな』
春輝は目を細めていた。
シャワーの温かいお湯が泡まみれのポメラニアンを洗い流していく。
春輝はドライヤーの風に当てられながら感心していた。
『プロってすげえな』
体が乾き、ふわふわになると春輝はムズムズと尿意を感じていた。
落ち着きなくテーブルの上の匂いを嗅いで、尿意を誤魔化そうとしていた。
『なあ、トイレ休憩ってある?』
「ハルちゃん、もしかしてトイレ?」
『分かるのか!』
スタッフは春輝を抱っこするとサークルの中に入れた。
『青じゃなくて白だけど多分これトイレだよな』
クンクンと匂いを嗅いで確認する。
腰を落とし一気に解放した。
「ハルちゃん、いっぱい出たね。我慢してた?」
『人のトイレ、覗くなよ!』
スタッフは春輝をひょいと持ち上げるとテーブルの上に戻した。
「カットしていくね」
ヴィィィン。
機械の音が響く。
『バリカンでカットするのか?』
スタッフは春輝の尻尾を上に持ち上げると、穴にバリカンを当てた。
『そ、そんなとこまで剃んのかよ!』
『なんか怖えぇ』
春輝はプルプルと震えた。
「ハルちゃん大丈夫だよ!サッパリするからね」
『そんなとこサッパリしたくねえ!』
『尻尾上げたら丸見えになっちまう』
容赦なくバリカンは刈り上げていく。
春輝は、素早く尻尾を両足の間にしまい、尻を隠した。
「お腹もスッキリしようね」
『腹もかよ』
両手を持ち上げられ、万歳のポーズで立たされる。
春輝の腹をバリカンが沿っていく。
『こんなに下まで剃ったら……俺の息子が丸見え……』
春輝は後ろ足に力を入れてぴょんぴょんと跳ねる。
『こんなとこツルツルなんて笑われる!』
ツルツルを回避しようとしたが、呆気なく無駄に終わった。
「ハルちゃん、ジャンプしてる!可愛い」
『……もう腹出して寝れねえよ』
春輝はがっくりと項垂れた。
シャカシャカと動くハサミの音。
子犬の春輝は体力の限界だった。
瞼はどんどん重くなり、春輝は夢の世界へ旅立っていった。




