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ハルちゃんは、俺。  作者: 家宝ダンゴ


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16/21

俺、ペットショップに行く。

薄暗い部屋。

春輝はリビングの窓から外を眺めていた。

外はあいにくの雨模様。

しとしとと雨粒が地面に落ちていた。


朝ごはんを食べている陽菜にママが優しく声をかけた。


「今日はね、ハルちゃんのシャンプーの日なの」


「ハルちゃん、お風呂入るの?」


「そうよ。カットして綺麗にしてもらうのよ」


『カット?毛を切るのか?』


『そんな伸びてるか?』


春輝はふわふわの尻尾をくるくると追いかけた。

陽菜は朝ごはんを食べ終わると春輝のところにパタパタとやってきた。


『おっ何だ?』


春輝は陽菜の足に手を置く。


「ハルちゃん、頑張ってね!」


『おう!任せろ!』


「陽菜も頑張るから」


陽菜は手に力を入れて握りこぶしを作った。


『陽菜!あんま無理すんなよ!』


春輝は陽菜の小さな手をペロペロと舐めた。

陽菜はくすぐったそうに笑い、春輝の体を優しく撫でた。


「陽菜ちゃん、そろそろ行く時間よ」


「は〜い!」


春輝は玄関までテクテク陽菜の後ろをついて歩き、くるりと回って見せた。


『陽菜!待ってるぞ!』


玄関が静かに閉まった。



春輝はリビングの窓の下にくるりと座ると、ピンクの傘を持つ陽菜を見えなくなるまで見送った。

ふわふわの尻尾はしばらく揺れていた。


ママが帰ってきて、春輝はテクテクと近づく。


『陽菜大丈夫だったか?』


ママは優しく微笑んで春輝を撫でた。


「学校の先生もお話してくれるみたいよ」


「これもお勉強なのかしらね……」


少し悲しそうに視線は落ちる。

春輝は可愛い声で鳴いた。


『ママ!大丈夫だ!俺がついてるからな!』


「陽菜ちゃんに元気をあげてね」


ママは春輝の頭をそっと撫でた。

春輝は心地良さそうに目を細めた。


ママはキャリーケースを春輝の前に置いた。


「ハルちゃん、中に入ってくれる?」


『おうよ!』


『もう慣れたからな』


春輝は、両足に間に尻尾を入れてゆっくりと入っていった。


「じゃあハルちゃん、シャンプーしに行きましょうね」


『よっし!風呂だ!』


春輝の初めてのトリミング。

ママは少しだけ不安そうにキャリーケースを覗いていた。



車が止まり、傘をさしたママがキャリーケースを大事そうに抱える。

春輝は扉から覗く。


『ペットショップか……』


春輝はごくりと小さな喉を動かした。


中に入ると小動物の匂い。

ドッグフードの香ばしい匂い。

そして、動物たちの声で溢れていた。


『うわぁ、あんま関わりたくねえな』


春輝はジャックラッセルに吠えられてから犬が苦手になっていた。


ママが受付で話をしている間、春輝は耳を澄ませていた。


「おいっ!ちびっ子」


『ちびっ子って俺か?』


「この店初めてだろ?」


ゲージを常に動き回るチワワが春輝に向かって話しかけてきた。

どこか落ち着きがない。


「良いこと教えてやるよ」


「シャンプーが始まる前にトイレ行っとけよ」


『なんか小学生みたいだな』


「しばらく立ちっぱなしになるからな」


『そうなのか……ちょっと行っとくか』


春輝はカリカリと扉を引っ掻くが、ママは女のスタッフとお喋りに夢中になっている。


『またかよ!』


春樹はキャリーケースの中でフンッと鼻を鳴らした。


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