俺、犬の首輪する。
遅めの朝ごはんを食べた春輝は、柔らかいタオルの上で仰向けで眠っていた。
大きくなったお腹が上下に動く。
「ただいま〜!」
元気な陽菜の声。
カチャカチャとランドセルを開ける音。
春輝は薄目を開けてぼんやりと眺めていた。
「ママ〜!お便りどうぞ!」
ランドセルから取り出した紙を振りながら渡す。
「陽菜ちゃん、ありがとう。おやつあるから手を洗ってね」
「はーい!」
パタパタと駆けていく陽菜の足音を耳を立てて聞く。
『小学一年生ってこんなに帰り早いのか』
大きくあくびをして体を伸ばす。
プルプルと体を奮うと全身の毛がふんわりと広がった。
『よし!陽菜と遊んでやるか!』
テーブルに座っておやつを食べる陽菜。
春輝はサークルの扉をカリカリと爪で引っ掻いた。
『陽菜!悪いが早めに食ってくれよ』
「ママ、今日ね、お友達とお絵描きしてね……」
「そうなの。お友達がたくさんできたのね」
『……ほらな!大丈夫って言ったろ!』
春輝はフンッと鼻を鳴らした。
「そうだ!ママ、ハルちゃんにあげてもいい?」
「いいわよ」
ママはフフッと笑いながら何かを取りに行く。
『もしかしておやつか?今日二個目になっちゃうぞ』
ソワソワとサークルの中を歩き回る春輝。
陽菜が扉のカギを外す。
カチャ。
ふんわりとした尻尾を大きく振りながら飛び出す春輝。
「ハルちゃん、おいで」
『お、なんだ?おやつか?』
テクテクと陽菜に近づく。
「じゃーん!」
陽菜の手にはヒモのような物が揺れる。
春輝は鼻をクンクンと動かしながら様子を見た。
「ハルちゃんの首輪だよ」
『首輪!?俺、人間だぞ?』
「付けてあげるね」
陽菜が慣れない手つきで首輪を巻いていく。
その間、春輝は大人しく胸を張って耐えていた。
カチッ。
軽い音。
「できた!ハルちゃんどう?」
『どうって自分じゃ見えねえからな……』
「すっごく、かわいいよ」
『そうか?ならいいか』
春輝はくるりと回って見せた。
「ママ〜!ハルちゃん首輪嬉しいって!」
陽菜は嬉しそうに春輝の体を撫でた。
「これでお散歩も行けるね!」
『おっ!ついに散歩デビューか……』
テクテクと玄関に向かう春輝。
「ハルちゃんの初めてのお散歩は今週末にしましょうか」
「うん!」
『今日じゃねえのかよ!』
春輝はおもちゃ箱からボールを取り出して陽菜に持っていく。
見せるように口で押してピッピと音を出す。
「ハルちゃん、今日はこれで遊びたいんだね」
陽菜は嬉しそうにボールを掴むと軽く投げた。
コロコロと転がるボールを春輝がパタパタと追いかける。
ママは嬉しそうに微笑みながらスマホであるワードを検索していた。
⦅ドッグラン⦆
「意外と近くにあるのね」
一方、春輝は何も知らずに舌を出して走り回っていた。




