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異世界に来たのに、俺だけ「前世の天気予報」が聞こえる  作者: キュラス
第二章

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影核崩壊、失われた時間の帰還

影の巨層は怒りと悲鳴のような音をあげ、

胸部――“影核”を守るように腕を交差させた。


だが、

ソーマと青年の蒼い揺れ核が突き刺さった部分には、

大きなヒビが走っている。


セシリアが全力で叫ぶ。


「ヒビが拡大してるわ!!

 あと……本当にあと一押し!!」


ガルムが斧を肩に担ぎ、不敵に笑う。


「よしきた!

 締めは筋肉の出番だな!!」


イサナが呆れた声を出す。


「最後の一押しが筋力って、世界のバランスどうなってるの?」


リュミは青年に駆け寄り、

揺れの安定を整える。


「青年さん……まだ動けますか?」


青年は息を吐いて頷く。


「動ける。

 僕は……影と決着をつけるために戻ったんだから」


ソーマが青年の背を支える。


「一緒に終わらせよう。

 これは“どちらか一つの世界の話”じゃない。

 お前が生きた証でもあるんだ」


青年は静かに笑った。


「ありがとう、ソーマ」


影核へ向かって、六人は一斉に動く。


●ガルム:突破の破壊力

●セシリア:層を乱して影の防御を弱体化

●イサナ:侵食する影の揺れを縫い止め

●リュミ:揺れを浄化し、核へ道を拓く

●青年:自身の揺れそのものを攻撃へ

●ソーマ:予報の先読みで全体を導く


六つの揺れが、

今この瞬間だけ重なった。


ソーマが耳を澄ませる。


(予報……何でもいい……

 最後のヒントをくれ……!)


――ザザ……

『……揺れ……共鳴……

 全振動……一点収束……』


(一点……!?)


ソーマは叫んだ。


「みんな!!

 攻撃を“同じ一点”に集めて!!

 そこを突けば、核の揺れが崩れる!!」


「了解!!」

 六つの声が重なる。


影の巨層が巨大な腕を振り上げた。


その動きは空間をひび割れさせ、

周囲の時間を跳ね飛ばし、

存在そのものをえぐる。


セシリアが叫ぶ。


「ソーマ!!

 次の動きは読める!?

 このままだと全員吹き飛ぶ!!」


ソーマは予報を必死に聴く。


――ザザ……ザザ……

『……空間反転……後方……』


「来る!!

 影の腕、後ろ側へ反転攻撃!!

 全員回避して前へ!!」


ガルムが叫ぶ。


「前へ!?

 攻撃来てるの前だろ!?」


「大丈夫、後ろに回るから!!」


「言ってる意味わかんねぇけど信じる!!」


影の巨大な腕が、

ソーマたちの“背後”をなぎ払った。


全員が影核の真正面へ走る。


リュミが祈りを込めて声をあげる。


「みんなの揺れ……集まって……!」


イサナの術が空間を縫い、

セシリアの術式が揺れを圧縮し、

ガルムの一撃が道をこじ開ける。


青年は胸に手を添え、

揺れ核を両手へ形成した。


「……僕は……

 もう逃げない……!!」


ソーマが青年の腕へ手を添える。


「行け!!

 これはお前の……“過去を超える一撃”だ!!」


青年が叫んだ。


「――《揺核衝心ゆうかくしょうしん》!!!」


蒼い光が一直線に伸び、

影核のヒビへぶつかる。


ガルムの斧がその上から叩き込み、

セシリアの術が核の結び目を切断し、

イサナが影の侵食を縫い止め、

リュミが揺れを浄化する。


そして――


ソーマの読みが、

すべてを一点へ導いた。


――――パリン。


世界が息を呑んだような静寂。


影核が、

音もなく――砕けた。


次の瞬間。


影の巨層は蒜のように崩れ落ち、

黒い破片が光となって霧散していく。


崩れていく影の中で、

青年は静かに目を閉じた。


「……終わったんだね……

 僕の……あの世界の残骸も」


ソーマは青年の肩を支える。


「これで……

 お前の世界の“死に残った声”は救えたんだよな」


青年は目を開いて微笑んだ。


「うん。

 本当に……ありがとう」


リュミが涙をぬぐいながら言う。


「青年さんの揺れ……

 とても綺麗です……

 もう、苦しんでいません」


セシリアも頷く。


「揺れの密度も安定してる。

 あなたはもう“消える側”じゃない」


ガルムが大声で笑う。


「よかったな青年!!

 お前も正式に仲間入りだ!!

 いや、勝手に仲間扱いしてたけど!!」


「それは僕も気づいてたよ……」

 青年が苦笑する。


イサナが静かに言う。


「……時間層が戻り始める。

 そろそろ“出口”が開くよ」


周囲の景色がゆっくりと白く霞み、

崩れた時間層が一つの線へ再編されていく。


ソーマは空間の“揺れ”が落ち着いていくのを感じた。


まるで世界そのものが、

少しだけ“安心”したような――そんな気配。


「……帰れるんだな」


青年は小さく頷いた。


「うん。

 でも……ソーマ」


「ん?」


「これで終わりじゃない。

 僕の世界の崩壊は……

 たぶん“まだ続いてる”。

 今日救えたのは……僕自身だけだ」


ソーマは笑った。


「知ってるよ。

 だからこれからも一緒に戦うんだろ?」


青年は驚き、そして笑った。


「……本当に……ありがとう」


白い光が広がり、

六人はゆっくりと元の時間へ引き戻されていく。


重なった揺れが一つずつ解けていく瞬間――

ソーマはふと、耳の奥に残った微かな“予報の余韻”を感じた。


――ザザ……

『……次……予兆……』


(……次って何だよ……

 休ませてくれ……)


ソーマは空を仰いで、

静かに深く息をついた。


そして六人は――


光の向こうへ歩き出した。

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