表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たのに、俺だけ「前世の天気予報」が聞こえる  作者: キュラス
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/207

空を押し返す者たち

 空の底が――

 ほんのわずかに“上へ戻った”。


「お……おおお……!?

 空、上がってる!!」

 ガルムが目を見開く。


「まさか本当に押し返せるなんて……!!」

 セシリアも声を震わせる。


 ソーマはリュミの手を握りしめたまま、

 二つの揺れを同調させていた。


(未来の揺れ……

 現在の揺れ……

 重なれば、“空の動き”そのものが変えられる……)


 リュミの背中の魔紋が、

 まるで呼応するように光を強めていく。


「ソーマさん……!

 “空のそう”の向きを……

 変えられます……!」


「できるんだな……!!

 よし、なら――」


 ソーマはぐっと前へ踏み込む。


「押し返すぞ!!

 いけるところまで!!」


「はい!!」


 だが、その瞬間。

 影の“上位種”がこちらを向いた。


 赤い線の目が、

 二人を射抜くように細められる。


――ギ……ギギギッ……


「……こっち見た……!!」

 ソーマの背筋が凍る。


「ヤバいわね……!

 二人を“敵と認識”したわ!!」

 セシリアが叫ぶ。


 上位影が裂け目へ腕を突っ込むと――。


――バチィィンッ!!


「っ……!!

 空の底の沈降が強まった……!」

 リュミが呻く。


「押し返してるのに……

 向こうも押してきてるのか!!」


『……壊すな……』


 ソーマの耳奥で声が囁く。


(こいつ……

 俺たちの行動を“妨害”してる……!)


 上位影は、

 空の層そのものを歪ませながら、

 二人の“押し返し”を相殺しにかかっていた。


 その間にも――

 影の群れは勢いを増して迫る。


「こいつら止まらねぇぞ!!」

 ガルムが斧でまとめて叩き斬る。


「数が多すぎる!!

 ソーマ!

 二人が押せる間に時間を稼ぐ!!」

 セシリアが雷糸を再展開する。


「《雷結界らいけっかい》!!」


 幾重もの青白い線が前方に広がり、

 影を焼きながら侵攻を遅らせた。


「ガルム!!

 右側!!」

「おう!!」


 ガルムが雷糸の隙間を抜けてくる影を、

 一撃で地面へ叩きつけ粉砕する。


「ハッ!!

 次!!

 来るならまとめて来い!!」


「ガルム、無茶しないで!!」

「無茶してんのは空のほうだ!!」


 だが――

 上位影は、じっとソーマたちを見据えたまま

 “腕の向き”を変えた。


 空のそこに向かって

 さらに強く吸い込む動作をする。


――ゴォォッ!!


「っ……!!

 押し負ける……!!」

 ソーマが歯を食いしばる。


 リュミの額にも汗がにじむ。


「空……沈んでます……!

 まだ……持ちますけど……!」


(くそ……!!

 押す力が足りない……!」


 耳奥で、声が再び囁いた。


――『……“もう一つ”の揺れ……

   まだ……眠っている……』


「もう一つ……?」


 ソーマは周囲を見回した。


「ソーマさん……?

 何か見えましたか……?」

 リュミが問う。


「いや……違う……

 この揺れ……どこかで……」


 ふと、胸の奥に浮かんだ“気配”。


(影の子……?)


 宿舎に預けた、

 あの影の子の、微弱な揺れ。


 あれは――ソーマと同じ周波数に近かった。


(もしかして……

 あの子の揺れも……

 “外側”の揺れ……?)


――ザ……ッ


 ほんの一瞬、

 耳奥に“子どもの声”のような揺れが走る。


(……呼んでる……?

 俺たちを……?)


 ソーマは息を吸い、

 リュミの手を強く握った。


「リュミ!!

 もう少しだけ強く合わせるぞ!!」


「はいっ!!」


 二人の揺れが再度重なり――


――ゴッ!!


 空の底が、もう一段“上へ押し返された”。


「おおおお!!

 空が……上がってるぞ!!」

 ガルムが叫ぶ。


「すごい……

 本当に押し返せてる……!!」

 セシリアも息を呑む。


 上位影の赤い線の目が、

 明らかに揺れた。


――ギギ……ッ!!


「怒ってる!?

 怒ってるよね!?

 空を押し返されたの気にしてるよね!?!」

 ソーマが叫ぶ。


「当たり前でしょ!!

 あれの“食事”を邪魔してるのよ!!」

 セシリアの説明も怖い。


「食事ぃ!?

 空の底って食うもんじゃないだろ!!」


「知らないわよ!!

 私だって初めてよ!!」


「ソーマ!!

 もっと行けるか!!」

 ガルムが叫ぶ。


「行ける!!

 でもあと一押しだ……!!」


 ソーマとリュミは、

 最後の力で揺れを重ね――

 空の底を、さらに押し返そうとする。


 だが――


 上位影が、

 ついに“こちらへ腕を向けた”。


――ギ……ギギギ……!!


 赤い線の目が大きく開き、

 空気が黒色に染まり始める。


「ソーマさん!!

 あれ……来ます!!

 “直接”!!」


「うわあああ!!

 避けろって言われても避けられるか!!」


 影の腕が、

 二人へと迫った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ