表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たのに、俺だけ「前世の天気予報」が聞こえる  作者: キュラス
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

135/207

重さに慣れるな

王都は、

再び動き始めていた。


人々は、

立ち止まり、

考え、

話し、

それから歩く。


完璧ではない。

むしろ、

効率は悪い。


だが――

誰も、完全には委ねていない。


ソーマは、

その光景を

遠くから見ていた。


(……いい……)


(……だが……

 危うい……)


重さは、

最初は意識される。


だが、

人は慣れる。


そして――

慣れた重さは、

 再び誰かに

 預けたくなる。



午前。


天象庁に、

一件の報告が届いた。


「南区の住民が、

 独自の判断表を

 作成しています」


「……判断表……?」

 ガルムが眉をひそめる。


「はい。

 空の様子と、

 行動の対応を

 簡単にまとめたものです」


セシリアが、

資料に目を落とす。


「……合理的……

 だけど……」


ソーマは、

すぐに気づいた。


(……早すぎる……)



その日の午後。


広場の片隅で、

紙が配られていた。


「曇り・風弱→通常行動」

「雲低・無風→屋内推奨」


人々は、

便利そうに

それを受け取る。


「……これ……

 分かりやすいな……」


「……考えなくて

 済む……」


その言葉に、

ソーマの胸が

わずかに痛んだ。


(……始まった……)



青年も、

それを見ていた。


彼は、

もう答えを

与えていない。


だが――

答えが、勝手に生まれ始めている。


青年は、

小さく呟いた。


「……人は……

 答えを……

 作る……」


それは、

自分への

言葉でもあった。



夕方。


天象庁の屋上。


リュミが、

不安そうに

言った。


「……空が……

 また……

 重く……」


セシリアが、

計測を確認する。


「……局所集中……

 兆候あり……」


「……人の判断が……

 一箇所に……

 寄り始めてる……」


ガルムが、

舌打ちする。


「……便利すぎると……

 ダメだな……」


ソーマは、

静かに頷いた。


「……重さに……

 慣れ始めてる……」



その夜。


ソーマは、

帳面を開いた。


――重さは、

 慣れると

 形を失う。


――形を失った重さは、

 再び

 誰かに

 乗せられる。


――だから、

 慣れるな。


ペンを置く。


(……問いを……

 投げ続ける……)


(……答えが……

 固まる前に……)


王都の空は、

また

沈黙に近づいている。


だが――

今度は、

その沈黙に

気づく者がいる。


それが、

唯一の救いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ