第9話 読み合い
いつもありがとうございます。
正樹はトリガーに掛けた指に力を入れた。
だが、引かなかった。
正樹
(やっぱり罠だな……)
(服が全く動かない)
(この状況で動かないのは当たり前だけど……少しも動かないのはおかしい)
正樹は、来た道を後ろ向きに戻っていく。
和真
(……流石に引っかからないか……)
(素人じゃないのか?)
(バカじゃないことはハッキリしたな)
(なら、炙り出すしかないか……)
ドコーン!
ドコーン!
ドコーン!
和真はショットガンを手に、隠れていた岩から木まで走りながらショットガンを撃った。
和真
(どうだ?)
正樹からの応戦はない。
和真
(今ので死んだか?)
(その割には、悲鳴もない)
(直撃なら悲鳴もあげないだろうが……)
正樹
(ショットガンか!)
戻ったのは正解だった。
さっきまで正樹がいた辺りに、ショットガンの弾が横から飛んできていた。
正樹
(やっぱり罠か……)
(凄い勘だな。位置が合っていた)
(後は、どっちに走ったのか……)
(多分、今は正面辺りにいるはず……)
(真正面でやり合うほど、自信はない)
正樹は、ショットガンの弾が飛んできた方へ進む。
一方――
佳輝は木の影から、正樹と和真のいると思われる方を見る。
佳輝
(……正樹さん……)
佳輝は覗く。
だが、見えるのは木と岩と草ばかり。
どこに人がいるのか、全く分からない。
適当に撃てば、正樹に当たってしまうかもしれない。
佳輝
(……どうすれば……)
(正樹さんの為に、動ける……)
佳輝は銃を握ったまま、動けずにいた。
その頃、正樹はショットガンが撃たれた方へ進み、一本の木を背にする。
背を向けた方が敵がいる保証はない。
それでも、賭けるしかなかった。
正樹
(……試すしかないか……)
正樹は地面に伏せる。
そして、さっきまで自分がいた場所の正面へ向けて、銃を撃ち込む。
タタターン!
和真
(ッ!)
(……マジか!)
(俺の場所を狙ってるのか!?)
和真は撃ち返さない。
和真
(適当に撃ったのが当たったのか?)
(撃ち返さねぇぞ!)
(場所を教えてやらねぇよ!)
タタターン!
ターン!
ターン!
正樹は、同じ場所に撃ち込む。
和真
(ッ!)
(同じ場所に撃ち込んでる!)
(コノッ!)
ドコーン!
ドコーン!
和真が反射的に撃ち返した。
正樹
(ビンゴ!)
和真の位置が分かった。
正樹はすぐに銃を向ける。
タタタタターン!
ドコーン!
タターン!
ドコーン!
銃声が森に響き渡る。
正樹
(弾が!)
正樹はマガジンをチェンジする。
その間にも――
ドコーン!
ドコーン!
和真
(撃ち返さない?)
(弾切れか!)
ドコーン!
和真のショットガンも弾が切れる。
だが、和真はすぐにG3へ切り替えた。
タタターン!
正樹
(やっぱり二丁か!)
(ショットガンにスコープは付けないからな)
正樹もマガジンを替え、撃ち返そうとする。
だが――
ターン!
タターン!
ターン!
和真の射撃が止まらない。
正樹
(撃ち返せない!)
(近付かれてたら……)
ターン!
ターン!
タタターン!
和真
(終わりだな!)
(場所は分かってる!)
(どっちでもいいぜ!)
(出てこいよ!)
正樹
(右か……左か……)
正樹は銃を構えたまま、息を潜める。
右へ行くか。
左へ行くか。
どちらを選んでも、和真の銃口が待っているかもしれない。
森の中に、銃声だけが響いていた。
今後もよろしくお願い致します。




