第8話 初めての殺し
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銃声が響いた瞬間、和真は反射的に近くの木の後ろへ身を隠した。
和真
(狙われたか?)
(……いや、弾が飛んできた気配はない)
(威嚇か?)
和真は木の陰から慎重に覗き込む。
しかし、こちらを狙っている様子はない。
次の銃声も聞こえない。
和真
(……俺に撃ってない)
和真は木を盾にしながら、ゆっくりと前へ進んでいく。
そして、その先に人影を見つけた。
木の後ろに隠れている男。
だが、身体が完全には隠れきれていない。
和真
(なんだ、アイツ……)
(死にたいのか?)
その男――真は、右手に銃を握り、左手で脇腹を押さえていた。
出血が止まらない。
そして、真の後方。
少し離れた場所に、佳輝がいた。
佳輝はSCAR-Hを構えている。
その手は激しく震えていた。
銃口も定まっていない。
だが――。
佳輝の目だけは震えていなかった。
真を、真っ直ぐ見つめている。
真
(……てめぇ!)
(俺を撃ちやがったな!)
真は佳輝を睨みつける。
左手を脇腹から離すこともできない。
佳輝は何も言わず、真を見続けていた。
その時――。
正樹
「佳輝! 大丈夫か!?」
正樹が3人でいた場所へ戻ってきた。
そして、真が撃たれているのを確認する。
正樹も真へ銃を向けた。
真
「……お前の指示か?」
「騙したな……」
正樹
「お前がな!」
「騙し討ちしかできない奴が!」
真は銃を正樹へ向けようとする。
その瞬間――。
ダダーン!
銃声が響いた。
和真と正樹が、とっさに身を伏せる。
佳輝の銃口から、白い煙が上がっていた。
佳輝
「…………」
「……はぁ……」
「ハァ……ハァ……ハァ……」
佳輝はずっと息を止めていた。
真が倒れたのを確認したことで、ようやく息を吐き出す。
正樹
「佳輝!」
正樹は佳輝のもとへ駆け寄った。
正樹
「佳輝、大丈夫か?」
佳輝
「……正樹さん……」
「俺……」
「俺……人を……」
「人を……殺した……」
正樹
「違う!」
「佳輝は俺を守ってくれたんだ!」
「佳輝に殺させるつもりはなかった……」
「……すまない」
正樹は、自分が狙われることを想定して佳輝に監視を頼んでいた。
だが、真にとどめを刺すのは自分がやるつもりだった。
正樹
「佳輝……」
「すまない……」
佳輝
「……正樹さんを守れて……」
「良かったです……」
佳輝の精神は、まだ安定していなかった。
初めて人を殺したのだ。
すぐに落ち着ける方がおかしい。
正樹
「佳輝は、ここに隠れてろ」
「いいな!」
佳輝
「…………はい」
正樹は佳輝を残し、歩き出した。
佳輝を狙っていた男――和真のいる方向へ。
一方、和真も動き始めていた。
和真
(また銃声……)
(揉めてるのか?)
(少なくとも、2人以上はいるか……)
和真の口元が緩む。
和真
(お互い死んでてもいいけど……)
(それじゃ、つまらないな)
和真は、さらに前へ進んでいく。
正樹も進む。
2人とも、周囲への警戒を怠ってはいない。
正樹が先に足を止めた。
周囲を探る。
しかし、音がしない。
同じ頃――。
和真も足を止めていた。
2人の距離は、まだ少し離れている。
動けないわけではない。
ただ、動かない。
正樹
(動きがない……)
(探っているのか……)
和真
(今までと違うな……)
(バカみたいに撃ってこない……)
静寂が続く。
先に動いたのは、正樹だった。
銃を構えたまま、ゆっくりと進む。
できるだけ音を立てないように。
和真
(……動いてるな)
(音が微かに聞こえる)
和真も銃を構え直す。
だが、2人とも相手の正確な位置までは分からない。
正樹が慎重に進んでいく。
すると――。
木の後ろから、服の一部が見えた。
正樹
(……罠か?)
正樹は迷った。
撃てば、自分の位置が知られる。
あれは向こうのミスなのか。
それとも、わざと見せているのか。
判断できない。
正樹
(佳輝には……今は頼れない)
(……やるしかないか)
正樹はゆっくりとM4のスコープを覗き込む。
服の一部を見据える。
そして――。
トリガーに指を掛けた。
今後もよろしくお願い致します。




