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最終選考  作者: アル治


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第3話  仲間

いつも読んでいただきありがとうございます。

正樹は、動かなくなった男の身体を横目に見ながら、落ちていた弾倉を回収した。


M4は一丁あれば十分だ。


だが、ハンドガンは違う。


予備があれば、それだけ生き残れる可能性が上がる。


男が持っていたハンドガンを確認すると、正樹が最初に渡されたベレッタとは違い、グロックだった。


正樹はグロックをホルスターごと外し、そのまま自分の身体に装着する。


正樹

(仕事のためとはいえ……いきなり撃ってくる)


(正常な判断ができないのか……)


一瞬、先ほど自分が引き金を引いたことを思い出す。


正樹

(……俺も、人のことは言えないのかもしれない)


正樹はそれ以上考えるのをやめた。


今は生き残ることを考えるしかない。


回収した弾倉を確認し、M4を手に高台へ向かう。


だが――。


遠くから、突然銃声が響いた。


パパパーン!


続けて、


ドーン!


パーン!


ドーン!


正樹は足を止めた。


明らかに撃ち合っている。


銃声の種類から判断する。


正樹

(自動小銃と……ショットガンか?)


やはり、参加者全員に同じ武器が渡されているわけではないらしい。


正樹

(どんな武装があるのか分からないな……)


(もし狙撃銃まで混ざっていたら厄介だ)


高台は周囲を見渡せる。


その反面、目立つ。


もし狙撃銃が配布されているのなら、高台にいる人間は格好の標的になる。


正樹は慎重に高台へ上がった。


そして、頂上に着くとすぐに地面へ伏せる。


草や蔓が身体を覆い、遠くから見れば簡単には発見できない。


M4を身体の横に置き、耳を澄ませる。


銃声が聞こえる。


遠くで誰かが叫んでいる。


しかし、何を言っているのかまでは分からない。


正樹

(……この試験、最後の1人としか書いてない)


(何日掛かるんだ?)


(その間の食事は? 水は?)


考えてみれば、試験の期間も、食料のことも、ほとんど説明されていない。


正樹

(殺し合いを楽しんでるだけなのか?)


(この会社……ホワイト企業として有名なんだが……)


一流企業。


高待遇。


充実した福利厚生。


誰もが羨む会社。


それなのに、やっていることは――。


正樹が考え込んでいた、その時だった。


――ガサッ。


正樹の身体が強張る。


――ガサッ。


音は小さい。


だが、確実に近づいている。


正樹はゆっくりと身体の向きを変えた。


M4ではない。


地面に伏せている今、草や蔓が邪魔になり、取り回しが悪い。


正樹はベレッタとグロックを抜いた。


両手に一丁ずつ握る。


――ガサッ。


近い。


もうすぐそこまで来ている。


正樹の心臓が激しく鳴っていた。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


あまりに大きくて、この音が相手に聞こえてしまうのではないかと思うほどだった。


正樹は二丁の銃を握り直した。


その時――。


「……誰か、いますか?」


小さな声だった。


正樹は動かない。


「俺……よしきって言います」


「撃ちたくないです」


「もし、そこに誰かいるなら……返事をください」


正樹は迷った。


出た瞬間に撃たれるかもしれない。


声の方向へ撃ち込んだ方が安全なのかもしれない。


だが、それでは先ほどと同じだ。


正樹は小さく息を吸った。


正樹

「……撃たない保証は?」


できるだけ小さな声で答える。


そして、身体をさらに低くする。


答えた瞬間に銃弾が飛んでくる可能性もある。


だが――。


男は撃ってこなかった。


佳輝

「……どうすればいいですか?」


「立って、銃を捨てればいいですか?」


正樹

「立つのはダメだ!」


思わず声が大きくなる。


正樹

「目立つ!」


「銃を構えずに、ゆっくり進んでこい」


佳輝

「……撃たないでくださいね」


正樹

「そっちもな」


しばらく沈黙が続いた。


やがて、草むらがゆっくり動き始める。


1歩。


また1歩。


佳輝は、できるだけ身体を低くしながら進んでくる。


そして――。


数分もしないうちに、正樹の前に佳輝の顔が現れた。


その瞬間。


佳輝の顔が強張る。


正樹も同じだった。


正樹の両手に握られたベレッタとグロック。


二丁の銃口が、佳輝の顔を真っ直ぐ狙っていた。


佳輝

「…………」


正樹

「…………」


2人とも、1歩も動かない。


無人島の静寂の中。


2人の間には、二丁の拳銃だけがあった。

今後もよろしくお願い致します。

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