第35話:比喩が通じないんだが(完全直訳)
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朝。
俺が目を覚ます。
少女が言う。
「おはようございます」
普通だ。
俺は伸びをする。
「今日は体が重いな」
少女が頷く。
「体重が増加しています」
「そういう意味じゃねえ!!」
またバグ来たな。
———
外に出る。
通り。
人が話している。
一人が言う。
「最近、仕事が山積みでさ」
別の人が答える。
「視認可能な範囲に山は存在しません」
「比喩を殺すな!!」
——————
パン屋。
店員が頭を下げる。
「いらっしゃいませ」
俺はパンを取る。
「これ一つ」
店員、
「承知しました」
普通だ。
一口食べる。
「うまい。ほっぺた落ちそう」
その瞬間、
店員が真顔で言う。
「頬部の脱落は確認されていません」
「そういう問題じゃねえ!!」
「でも普通に美味いな、口の中でとろける」
「固体から液体への相転移は発生していません」
「夢壊すな!!」
通り。
兵士が歩いてくる。
「現在の治安は安定しています」
俺は言う。
「昨日は死ぬかと思ったわ」
兵士が頷く。
「死亡するほどの危険には直面していません」
「分かってるわ!!」
少女が説明する。
「今回のアップデートでは、曖昧さの排除が行われています」
「極端なんだよ!!」
「比喩・誇張・慣用表現は、誤解を招くため無効化されています」
「人間の会話ほぼ全部じゃねえか!!」
—————
広場。
男が女に告白している。
男、
「君のことが頭から離れない」
女が冷静に答える。
「物理的に頭部から離れていません」
「そこじゃねえ!!」
男、
「一緒にいると時間が一瞬で過ぎる」
女、
「時間の流速は変化していません」
「ロマン全部消すな!!」
その時。
子供が転ぶ。
ドン!!
子供、
「めっちゃ痛い!!」
大人が言う。
「“めっちゃ”の定義が不明確です」
「今それ言うな!!」
俺は頭を抱える。
「感情表現全部死んでるだろ!!」
少女が言う。
「はい、表現の誤差は排除されています」
「誤差じゃねえよそれが人間だろ!!」
その時。
パン屋の店員が走ってくる。
「大変です!!」
俺、
「何があった!?」
店員、
「建物が破壊されました」
ドン!!
遠くで爆発。
俺、
「めちゃくちゃヤバいじゃねえか!!」
店員、
「“めちゃくちゃ”の程度が不明確です」
「今それどうでもいいだろ!!」
周囲がさらにおかしくなる。
「腹減ったー!!」
「胃内容物が減少しています」
「心が折れそうだ……」
「骨折は確認されていません」
「泣きたい」
「涙は出ていません」
「全部ズレてる!!」
俺は叫ぶ。
「ちゃんと“人間っぽく”喋れ!!」
少女が言う。
「“人間っぽい”の定義が不明確です」
「定義するな!!」
その瞬間。
空にウィンドウ。
「ユーザーフィードバック」
来た。
「“感情が伝わらない”」
その通り。
「“会話が冷たい”」
知ってる。
「“全部説明的すぎる”」
それな。
「改善を実施します」
やめろ。
少女が言う。
「次のアップデートでは、表現の多様性が復活します」
「頼むぞ……」
「言語アップデート ver.5.0」
光。
静寂。
———
少女が言う。
「おはようございます」
普通だ。
俺は頷く。
「やっと戻ったか」
その瞬間。
通りの人が言う。
「俺、昨日マジで死ぬぅだったわ」
「何があったんだよ!!」
別の人、
「腹減って死ぬぅ」
「軽く言いすぎだろ!!」
パン屋、
「このパン、うますぎて死ぬぅ」
「盛りすぎだ!!」
兵士、
「この街、絶対安全で死ぬぅ」
ドン!!
「フラグ立てるな!!」
少女が言う。
「比喩表現が過剰に復活して死ぬぅ」
「極端なんだよ!!」
全員が言い始める。
「嬉しくて死ぬぅ!!」
「美味すぎて天に召されるぅ!!」
「尊すぎて存在が蒸発するぅ!!」
「情報量多すぎて脳が爆散して死ぬぅ!!」
「このパン、宇宙創生レベルで美味くて死ぬぅ!!」
「簡単に使いすぎだろ!!」
俺は空を見上げた。
「この世界、“ちょうどいい表現”って概念ないのかよ……」
少女が一言。
「その発言、“ちょうどいい”の定義が不明確で死ぬぅ」
「まだ続くのかよ!!」
次回もお楽しみに!




