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「これはフレンドリーな接触です」〜ゲーム世界に転移したけどNPCがバグってる件〜  作者: 鱈場蟹


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第24話:場所ごとに時間がズレてるんだが(同期不良)

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朝。


「はい、その通りです」


「何が!?」


目の前の少女が頷く。


「今の発言に同意しました」


「まだ何も言ってねえよ!!」


俺は口を開いていない。


なのに会話が成立している。


「おかしいだろ!!」


少女が言う。


「ここでは、発話より先に応答が到達します」


「意味分かんねえよ!!」


俺は試しに何も考えずに立つ。


その瞬間、


「それは間違いです」


「何を否定されたんだよ!!」


完全にランダムじゃねえか。


外に出る。


通りの人が歩いている。


その一人が、突然謝る。


「すみません!」


まだ何も起きていない。


と思った瞬間、


ドン!!


遅れてぶつかる。


「あとから来るのかよ!!」


さらに別の人。


転ぶ。


ドン。


数秒後、


「危ない!」


「全部遅い!!」


少女が言う。


「この一帯は、時間が遅延しています」


「さっきと逆じゃねえか!!」


少し進む。


今度は異様に静かだ。


……いや、


全部同時に起きている。


目の前の人が、


転びながら立ち上がりつつ謝りながら歩きながらぶつかる。


「情報量多すぎる!!」


声も重なる。


「すみません大丈夫ですありがとう痛いです」


「詰め込むな!!」


少女が言う。


「ここでは時間が圧縮されています」


「極端すぎるだろ!!」


さらに進む。


パン屋。


店員が口を開く。


「これはパンです」


普通だ。


だが次の瞬間、


「ごちそうさまでした」


「まだ何もしてねえ!!」


さらに、


「3ゴールドです」


「順番バラバラすぎるだろ!!」


俺はパンに触れる。


その瞬間、


パンが消える。


数秒後、


手に現れる。


「逆再生してんのか!?」


一口食べる。


味がする前に満腹になる。


そのあとで味が来る。


「順番どうなってんだよ!!」


外に出る。


広場。


男が叫ぶ。


「ごめんなさい!!」


数秒後、


女が言う。


「え?」


さらに数秒後、


男が言う。


「好きです」


「全部ズレてる!!」


女が困惑する。


その後で泣く。


その後で笑う。


「感情の順番も壊れてる!!」


少女が言う。


「個人単位でも時間軸が分離しています」


「もう誰とも会話できねえだろ!!」


その時。


違和感。


自分の声が聞こえる。


「この世界やばすぎるだろ!!」


まだ言っていない。


数秒後、


俺が同じことを言う。


「この世界やばすぎるだろ!!」


「先にネタバレすな!!」


さらに数秒後、


頭の中で同じツッコミがもう一回流れる。


「三重構造やめろ!!」


俺は走る。


だが、


走った後に足が動く。


その前に息が上がる。


「結果と過程バラバラすぎる!!」


前方からパンが落ちてくる。


……いや、


すでに当たっている。


「痛っ!?」


そのあとで、


パンが見える。


そのあとで、


落ちてくる。


「逆再生+遅延+先行全部混ざってる!!」


俺は叫ぶ。


「どうなってんだよこれ!!」


少女が答える。


「場所ごとに時間の流れが異なる上、個人ごとの同期も崩壊しています」


「全部壊れてるじゃねえか!!」


その瞬間。


空にウィンドウ。


「ユーザーフィードバック」


来た。


「“何が先で何が後か分からない”」


その通りだよ。


「“会話が成立しない”」


知ってる。


「“未来と過去が同時に来て怖い”」


それな。


「改善を実施します」


やめろ。


少女が言う。


「次のアップデートでは、時間の統一が行われます」


「頼むぞ……」


「言語アップデート ver.5.0」


「だから言語関係ねえだろ!!」


光。


静寂。


少女が言う。


「おはようございます」


普通だ。


俺は歩く。


普通に動く。


パン屋。


普通に買える。


「……直った……!」


その瞬間。


全員が同時に、


・ぶつかりながら

・謝りながら

・転びながら

・立ち上がりながら

・笑いながら

・泣きながら


全部を同時に行う。


「だから極端なんだよ!!」


声も全部同時。


「おはようございますすみません痛いです好きですごめんなさいありがとう」


「整理しろ!!」


少女が言う。


「時間は統一されました」


「“同時”に統一すな!!」


街中が一斉に動き続ける。


止まらない。


全部が同時に進む。


俺は空を見上げた。


「この世界、“順番”って概念ないのかよ……」


少女が一言。


「仕様です」


「知ってた!!」

次回、物理バグ!?お楽しみに!

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