生活音が全部言語化される世界、うるさすぎて生活できない
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朝。
「おはようございます」
少女が言う。
普通だ。
俺は安心して体を起こす。
「……今日は何も起きてないな」
その瞬間。
少女が一歩、前に出る。
「歩く、とことこ」
「ん?」
今なんて?
「どうしました、きょとん」
いやお前がきょとん言うな。
⸻
外に出る。
少女がドアを開ける。
「開く、ギィィィ」
「うるせえな!!」
ドアの気持ち代弁すんな。
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通り。
兵士が歩いている。
「巡回中、ガシャガシャ」
「足音言うな」
「了解しました、ガシャガシャ」
やめてない。
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パン屋。
店員が言う。
「いらっしゃいませ、にこにこ」
「感情まで音にするな」
「これはパンです、カリッ」
まだ食ってない。
「焼きたてです、ジュウウウ」
情報量が多い。
⸻
俺はパンを取る。
「食べる、むしゃむしゃ」
「いや言わなくていい!!」
「おいしい、サクサク」
「もう分かってるから!!」
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通りを歩く。
子供が走ってくる。
「走る、だだだだだ!!」
勢いすごいな。
転ぶ。
「転倒、ドンッ!!」
「いや痛そうなのは分かる!!」
⸻
少女が言う。
「今回のアップデートにより、行動は音声化されます、ぺらぺら」
「お前説明にも音つけるのかよ」
「仕様です、ドヤァ」
その音やめろ。
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広場。
カップル。
男が言う。
「好きです、ドキドキ」
まあ分かる。
女も言う。
「私もです、ドキドキドキドキ」
増えたな。
男が続ける。
「しかし過去の記憶が、ズキズキ」
急に重い。
女、
「大丈夫です、よしよし」
万能すぎるだろその音。
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その時。
違和感に気づく。
兵士が歩く。
「歩く、ドゴォン」
「いや重すぎるだろ!!」
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店員が静かに言う。
「小声で話します、ドンッ」
「うるせえ!!」
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少女が瞬きする。
「まばたき、バァン!!」
「なんで爆発なんだよ!!」
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世界がおかしくなってきた。
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通り。
老人が座る。
「座る、ドゴォォン」
ベンチ壊れるだろ。
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子供が囁く。
「内緒話、ドゴッ……ドゴッ……」
全然内緒じゃない。
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俺は叫んだ。
「なんで音がズレてんだよ!!」
少女が冷静に言う。
「効果音の最適化に失敗しています、キリッ」
顔もつけるな。
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その時、ウィンドウ。
「ユーザーフィードバック」
来た。
「“うるさい”」
その通り。
「改善を実施します」
やめろ。
「言語アップデート ver.2.4」
早い。
世界が一瞬静まる。
完全な無音。
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俺が呟く。
「……静かだ」
少女も言う。
「はい、現在は音が出力されていません」
いいぞ。
これだよ。
⸻
――次の瞬間。
世界中から音が一斉に流れ出した。
「むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ!!!!」
「ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!!」
「ドゴォンドゴォンドゴォン!!!!」
「まとめて来るなああああああ!!」
⸻
少女が言う。
「これまで未出力だった音が一括処理されました」
最悪。
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街中が崩壊する。
「ドンッ!!ドゴォン!!バァン!!むしゃむしゃ!!ドキドキ!!ズキズキ!!」
カオス。
完全にカオス。
⸻
俺は耳を塞いだ。
「もう無理だ!!」
少女が言う。
「安心してください、ピー」
ノイズ混ざってる。
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俺は空を見上げた。
「この世界、静かになることないのかよ……」
少女が一言。
「仕様です、ドゴォン」
最後に爆発すな。
最後まで読んでいただきありがとうございます!次回、感情暴走再発!?お楽しみに!




