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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
28章 穢れと鬼

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「酷い」


 そういうシュロスの手には、ハートの真ん中にギザギザと線が入った金属のペンダントが握られていた。

 何の金属かは不明だが、金色であった。


「デザインセンスがない。それなら普通のハート型にしてください」

「佐々木さん。センスがないなんて酷い。これで六個目なのに」


 そして、シェリーに言われるまま作り直すシュロス。

 ただ、シュロスが創造したものがその場から消えるわけではないので、ローテーブルの上に増えていっていた。


 銀色の大きめの鎖があり、犬の首輪のようなものもあり、数珠(じゅず)のようなものまであった。

 これは絶対に誰が使用するか理解できていないのだろう。


「これでどうだ!」


 そう言ってシュロスが掲げているのは、先程のハート型のペンダントのギザギザがなくなっただけのものだった。


「まぁ、いいでしょう」


 シェリーはそれを手に取って見た。シェリーが持つ真理の眼でた。


「これならいけそうです。ラフテリア様、首にかけてみてください」


 金色のハートのペンダントをシェリーはラフテリアに差し出した。

 だが、それを見たラフテリアは首を傾げる。


「首に?どうやって?」


 ラフテリアから疑問を受けて、シェリーはハッとする。

 チェーンの部分は頭が通るには小さすぎる。だから留め具があるのだが、その後ろの留め具の仕様はこの世界にはないものだった。

 そう、プレートと丸い留め具があるペンダントは存在しないのだ。


「あーそれな。小さくて留められないって不評だったんだ」


 この世界において、異界のものをこの世界に定着させようとしている者の内の一人が、残念そうに言った。


「炎王。そういうのはアドバイスして欲しいですね」


 そう言いつつ、シェリーはそのペンダントをロビンのほうに持っていった。

 作り直さなくていいのだろうか。


「ロビン様。ここをこうして、この隙間をここの穴に通せば留まるので、ラフテリア様につけてみてください」


 シェリーはラフテリアでは自分でつけるのは無理だろうと判断したのだろう。

 ペンダントの留め具の説明をロビンにしているのだ。


「わかった。リア、ちょっとそのまま立っていてくれるかな?」

「うん!」


 ラフテリアはロビンの言葉を素直に聞いて、ウロウロするのを止めて立ち止まった。

 その背後からロビンはペンダントをつけている。


「うーん。確かに難しいね」

「ダメそうなら、作り直させます」

「佐々木さん。俺のことをなんだと思っているのか聞いていいか?便利屋とか思っているんじゃないのか?」


 シュロスは不満そうに言う。

 一つの物を創るのに、何度もやり直しさせられ、挙句の果てに仕様が悪いと遠回しに言われているのだ。

 それは文句の一つも漏れ出てしまうというもの。


「私がいなければ、一生土の中から出てこれなかった物体ですね。土の中に帰ってくれていいのですよ」


 だが、シェリーは永遠の魂を持ったまま、肉体が朽ちたところに戻ればいいと言う。


「何でも作るからな!」


 それだけは絶対嫌なのか、先程己が言っていた言葉を覆すシュロス。

 ただ、その創って欲しい物の正解にたどり着くまで、かなり困難を極めるのは目に見えてしまう。なので、使いどころはそこまで多くはないことは予想できてしまうのだった。


「できた!」


 やはり見たこともない仕様の留め具だったためか、かなり時間がかかってしまったようだ。やっとロビンはラフテリアにペンダントをつけることができたようだ。


「ロビン!どう?かわいい?」

「うん。よく似合っている。それに普通の魔人ぐらいと同じぐらいかな?かなり力を抑えられたね」


 ペンダントのデザインはシェリーがやり直しを何度もさせたおかげで、女性ウケしやすいものにはなっている。

 その性能も問題ないようだが、ロビンが言う普通の魔人が一般人と同じかと言えばそうではない。


 魔人は魔人だ。それには変わらない。だが、初源の魔人と言われているラフテリアから見れば、普通の魔人は赤子のような力しかない。


「嬉しい!これでどこでもロビンと行けるね!」


 それでもラフテリアは嬉しいとロビンに抱きつく。いや、ラフテリア自身はそこまで深く考えていないのかもしれない。


「確かに力は抑えられている」

「どんな理屈かわからぬ」

「普通のサ◯ヤ人かぁ。大公閣下しか会ったことがないから、普通の魔人がどれほどなのかわからないぞ」


 シュロスから魔術を教えられているオリバーは、理解できないが効力はあるようだと納得することにしたらしい。

 シェリーが持つスキル創造のように考えても無駄なことがあるのを知っているからだ。


 だが、モルテ王は理屈が通らないと険しい表情をしている。


 そして炎王と言えば、普通の魔人の基準がこれなのかと首を傾げていた。

 それは確かにラフテリアから放たれる威圧は減ったものの、完全になくなったわけではないということだ。


 喜んでいるラフテリアと微笑ましげに笑みを浮かべているロビンの姿を視界に収めたシェリーは、テーブルの上にある数珠を手に取った。

 丸く形が整えられた木製の玉が連なっているアクセサリーだ。


 その数珠をモルテ王に向かって差し出す。


「手首につけてみてください。恐らくモルテ王の力も抑えられるはずです」


 シェリーは納得できないモルテ王に、シュロスが創った物をつけるように言ったのだった。





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回の日曜日の投稿をお休みします。すみません。


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