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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
28章 穢れと鬼

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「でもルナティーノが会ったことがあるということは、この地に来たことがあるんだよね?」


 モルテ王が国の外に出ないのは有名なことだ。いや、出る必要がないのだが、そのモルテ王が外部の者と会うとなると、訪問者ぐらいなのだ。


「だったら、ここに連れてくることは可能だよね?」


 ロビンのその言葉にシェリーは頭が痛いと言わんばかりに押さえる。そもそもシュロスはこのモルテ国に落ちてきた空島の中で埋もれていたのだ。


 モルテ国に自ら来たというのは正確ではない。


「……そのまま帰っていいですか?送り出すので」


 シェリーはとてもいい解決方法を思いついたと言わんばかりに、顔を上げて堂々と口にした。

 シュロスを転移で送るので、自分は家に残ると。


「それは駄目だろう。佐々木さん」

「黒の聖女。あの者との会話が成り立つのは貴女だけだろう。ロビンと同じだ」

「シェリーちゃん。お願いを聞いてくれるのなら、僕ができることはなんでもするよ。僕が知っているエリザベートの魔術を教えることもね」


 その言葉に、シェリーは目を見開き驚きをあらわにする。

 それはロビンから剣を教えを請うたシェリーだからこその驚きだろう。


 シェリーは一度たりともロビンから魔術を教わったことがないからだ。それはロビンが己の領分ではないと割り切っていたということもあるが。


 ロビンはラフテリアの剣聖という誇りがある。

 そのロビンが自ら他人に魔術を教えると言っているのだ。


 確かにシェリーはグレイにロビンに教えを請うように言ったが、それはこちらが頭を下げて頼み込む想定だったからだ。


「この場に人外をまた増やすのですか?」

「え?他の場所よりいいと思うよ」


 シェリーはこれ以上ここを魔境にするのかという問いに、ロビンは今更なことだと肩をすくめ、モルテ王のいる前で何を言っているのかという雰囲気だ。


 改めて周りに視線を巡らすシェリーは、大きくため息を吐き出す。


 ここが魔王軍の幹部の集まりだと言われても納得できるメンツだった。

 本物の魔王がどういうものかは不明だが、おそらくそれに劣りはしないだろう。


「はぁ……」


 シェリーは大きくため息を吐きながら、魔石を取り出した。


「ロビン様が、大魔女エリザベート様の魔術を教えてくれるのだけど、起きている?」


 魔石を使って連絡を取った。相手はもちろんオリバーである。


『剣聖が?』

「といっても僕は攻撃と防御の魔術中心だけどね」


 魔石から聞こえる声にロビンが補足した。

 その魔術とはラフテリアを守るためのものだ。

 補助的な魔術ではないということ。


『それで何かね?』

「シュロスさんを連れて、ここに来て欲しい」

『国の外のようだが?』


 オリバーは瞬時にシェリーの位置を割り出したようだ。

 そして、国の外に出ることを(いと)うような雰囲気の声色でオリバーは聞いてきた。


「陽子さんはもう王都全域を支配しているよね」

『ああ、地下の異物を支配下に置いてから早かったな。だから動いてもいいと?』

「そうだね」


 それはルークを守るという理由だったようだ。陽子が王都メイルーン全域を支配したので、任せられると。


『それで、そこはどこか聞きたいところだが。剣聖の声が聞こえたということは、初源の魔人もいるのだろう?』

「モルテ王の城だね。モルテ王にロビン様とラフテリア様。炎王と鬼王イゾラと氷の精霊がこの場に集まっている」


 名を上げてしまえば、とてつもない名だたる者たちが集まっている。その名を聞いたオリバーからほんの少し時間を奪った。


『……その悪巧みに参加しろと?』

「ぷっ!キャハハハハハ!悪巧み?ヴィーネそういうの好き!」

「悪巧みと言えば悪巧みだが、ヴィーネ。黙って食べていろ」


 オリバーの言葉に笑いが起こる。

 確かに悪巧みだと。


『少し待つがよい』


 オリバーとの通信が途切れ、シェリーはその魔石をポイと床に転がした。


「今からくる者は何者だ?」


 オリバーと面識がないモルテ王が聞いてきた。それはモルテ王の城だと言って動揺も見せずに受け入れたからだろう。


 普通であれば、嫌がるものだ。


「モルテ王には、なんと言ったらわかりやすいでしょうか?」


 一般的には、勇者ナオフミと共に魔王を倒した魔導師オリバーと言えばわかるのだが。


「魔導師でいいんじゃないのか?」

「グローリア国の王族とかか?」

「え?僕と同じ聖女に隷属された者じゃない?」


 普通に魔導師でいいという炎王。今は国として成り立ってないが、モルテ王が知っているグローリア国の王族だというカイル。

 そして自分の首を指しながら同じ存在だというロビン。


「隷属した特異者ですかね?」

「これは面白い。特異者はエリザベートの最高傑作の人外だろう?」


 モルテ王はクツクツと笑いながら、光る床から現れた者を見た。


 エリザベートの全ての遺産を受け継いだモルテ王から言えば、オリバーは大魔女エリザベートの最高傑作になるのだろう。

 神というモノに嘆き、恨み、意趣返しをしようとしていたエリザベートが創り出した人の理から外れた者だった。



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