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第23話「一緒にダイエットしよう」

今さら思いついたことだが、俺はSL大法を使えばよかったんじゃないか? しかし、俺はいつもセーブするのを忘れてしまう。最新のセーブデータは彩衣とデートする前のものだ。つまり、やり直すとなると、いろいろなことを最初からやり直さなければならない。


「セーブ」


俺は三つ目のセーブスロットを使った。


どうも、自分の人生がゲームになってしまったという実感が、まだはっきりと湧いてこない。


「これからは重大な決断をするとき、絶対にセーブするのを忘れるなよ、俺!」


寺院の客室のベッドに横たわっている俺は、携帯電話を見る以外にやることがなかった。


彩衣からメッセージが届いた。来週、高雄流行音楽センターで開催する彼女のコンサートのチケットを、もう買ったかどうか尋ねてきたのだ。彩衣のファンである俺が、もちろんチケットを買っていないわけがない! しかも、皢瑜の分まで買ってある。


その後、彼女は自撮り写真を一枚送ってきた。それはステージでリハーサルをしているときの写真で、今回のコンサート衣装を着ていた。これはまだ公開されていない情報だぞ!


「ネットに載せちゃダメだよ!」


「分かってるって!」


「日日明くんは週末、何をしているの?」


「運動しに出かけたら、足を怪我しちゃってね。今は金猫寺の客室で休んでいるよ」


「えっ? 怪我したの? じゃあ、お見舞いに行こうかな!」


待て、彩衣が俺のお見舞いに来るだって? もちろん嬉しいけど、今の俺は超デブなんだぞ! どうすればいいんだ?


そのとき、頭の中に選択肢が表示された!


【選択肢1】理由をつけて彩衣のお見舞いを断る。Gポイント-1000。


【選択肢2】彩衣にお見舞いに来てもらう。


燃えるタイムゲージが出現した。俺は選択肢3が表示されるのを待たず、急いでセーブと叫んだ! しかし、おかしなことにセーブ画面が表示されない。まさか、選択肢を実行している間はセーブできないのか?


そのとき、【選択肢3】が表示された。


彩衣に自撮り写真を送る!


そして選択肢は崩壊し、残ったのは選択肢3だけになり、そのまま実行された!


というわけで、俺は自分の自撮り写真を彩衣に送った。


ああ! これは困ったことになったぞ!


「このデブは誰? 日日明くん、私にこの写真を送ってきたのはどういう意味なの?」


「これが今の俺だよ! 太っちゃったから、ちょっとジョギングしただけで怪我をしたんだ」


「本当なの? 一日でそんなに太るわけないでしょう? 画像加工アプリを使って、私を騙そうとしてるんじゃないの?」


「騙してなんかいないよ。今の俺の人生がちょっとおかしな状態なのは知ってるだろ? これはゲームシステムによるペナルティみたいなものなんだ。それで太っちゃったんだよ! でも、きっとすぐに痩せられると思う! 保証はできないけどね」


「つまり、日日明くんは本当にブタになっちゃったの?」


「ああ。だからブタなんて呼ぶなよ!」


「ブタはブタだよ! デブくん、体重管理なら私に任せて! 何かアドバイスしてあげようか?」


「ぜひ聞かせてくれ」


「まず、タンパク質を十分に摂ること。野菜もしっかり食べて、炭水化物は減らす。脂質は適量を摂取して、糖分は控えるか、できれば摂らないこと! それから、塩分の多い食べ物も避けること!」


「つまり、今朝起きてすぐに地雷を踏んだってわけか。脂質も炭水化物も糖分も爆盛りのスイーツを食べたから、太っちまったんだな」


「一体何をやってるのよ、デブくん!」


「彩衣、わざと俺をブタって呼んでるだろ?」


「もちろん、わざとだよ! あなたが痩せるまで、ずっとそう呼んであげるからね! リハーサルを続けなきゃいけないから、仕事が終わったら金猫寺にお見舞いに行くね! じゃあね!」


彩衣は単単ペンギンがバイバイしているスタンプを送ってきた。


「ああ! じゃあな」


俺も同じスタンプを送り返した。


彩衣とのLINEを終えたが、そういえば今の俺には他に何ができるんだろう? 小曉月は俺の隣で、いびきをかいて眠っていた。脚を怪我しているので、今は運動もできない。仕方なく、携帯電話でダイエット方法を調べ続けることにした。彩衣のアドバイスは役に立つはずだよな?


その後、昼食の時間になり、寺院のスタッフが俺の食事を運んできた。


「お客様、昼食をどうぞ。食べ終わった食器はそのまま置いておいてください。こちらで片付けますので」


俺は松葉杖で身体を支えながら立ち上がり、そばにあるテーブルと椅子のところまで歩いて食事をすることにした。


寺院の中だから精進料理が出てくると思っていた俺が、勝手にそう思い込んでいただけだった。この金猫寺は普通の寺院ではない。


昼食は、香ばしく焼いた鶏むね肉一枚に、五穀米、ブロッコリー、トマトと豆腐の卵炒め、大根スープだった。


「この献立を見る限り、ダイエット食みたいだな?」


少し喉が渇いた。部屋には電気ケトルとティーカップが置いてあり、ティーバッグやコーヒーも用意されていたので、俺はお茶を淹れて飲むことにした。


その後、昼食を食べ終えた。とてもおいしかった。健康的な味がした。


そのとき、システム通知が表示された!


健康的なダイエット食を確認。カロリー爆弾は発動しませんでした!


どうやら、これ以上太り続けることはなさそうだな?


午後になって、皢瑜からメッセージが届いた。


「お兄ちゃん、ゲームを借りようと思って家に行ったら、愛露莎お姉ちゃんに会ったよ。お兄ちゃんが怪我をして金猫寺で休んでるって聞いたんだけど、お見舞いに行こうか? 好きな食べ物を持っていこうか?」


「ダメだ! 絶対に食べ物を持ってくるなよ! 今はダイエット中なんだから!」


「お兄ちゃん、ダイエットが必要な体型なの?」


そのとき、あの忌々しい選択肢がまた表示された!


【選択肢1】理由をつけて皢瑜のお見舞いを断る。Gポイント-1000。


【選択肢2】皢瑜にお見舞いに来てもらう。


燃えるタイムゲージが出現した。どうせ選択肢3は自撮り写真を送ることだろう?


というわけで、俺は選択肢2を選んだ。


「お見舞いに来るのはいいけど、俺の体型を見て驚くなよ! 今の俺は超デブだからな!」


「お兄ちゃん、人間が一日でそんなに変わるわけないでしょ! 私をからかわないでよ!」


「からかってなんかいない。本当にデブになったんだ。でも、写真は送らないからな!」


「そんなことを言われて、どうやって信じろっていうの? お兄ちゃん、私にお見舞いに来てほしくないの? 今からそっちに行くからね!」


「おいおい! 俺の言ってることは本当だって!」


メッセージには既読がつかなかった。


結局、数分後には皢瑜がスタッフに案内されて俺の部屋にやってきた。


「このブタは誰? 私のお兄ちゃんはどこ?」


「俺こそがお前の優しいお兄ちゃんだぞ! かわいい妹よ! 俺だって分からなかったか?」


「あっ! その偉そうな態度は確かにお兄ちゃんだね」


「俺だと分かってくれて嬉しいよ! 十年間もお前の兄貴をやってきた甲斐があったな」


「お兄ちゃん、どうしてブタになっちゃったの?」


「ブタって呼ぶな!」


俺は指で皢瑜のおでこを弾いた。


「痛い! バカ兄!」


「説明すると長くなる。とにかく太っちまったんだ。だから、しばらくはお前の家で食事をするのもやめておくよ」


「それじゃあ、うちの料理が不健康だって言ってるようなものじゃない!」


「お前たちが売ってるのはファストフードだろ? 今の俺が食べたら、食べた分だけ太っちまうんだよ!」


「お兄ちゃん、お腹を触ってもいい? すごく柔らかそう!」


「なんで俺がお前に触らせなきゃいけないんだよ? 嫌だね!」


「ちょっとだけでいいから!」


「嫌なものは嫌だ!」


「ケチ! それなら不意打ちだ!」


突然、皢瑜が手を伸ばして俺のお腹をひとつかみした!


「本当に柔らかくて弾力があるね! お餅みたい!」


「このアマ!」


「もう一回だけ触らせてよ、お兄ちゃん!」


「さっさと帰れ! お見舞いに来て、何をやってるんだよ!」


その後、俺は皢瑜を追い返した。


「バカ兄、一生デブのままでいればいいんだ! 彩衣お姉ちゃんにはもっといい男が似合うんだから!」


帰り際、皢瑜は俺に向かって変顔をするのも忘れなかった。


それからしばらく時間が経ち、今度は彩衣がお見舞いに来た。


「日日明くん! 本当にブタくんになっちゃったんだね!」


「ブタって呼ぶな!」


「私が普段、体重管理のためにやっていることをノートにまとめてきたの。参考にしてみてね」


「ああ! ありがとう」


俺は彩衣からノートを受け取り、少しページをめくって内容を確認した。かなり時間をかけて書いてくれたことが分かる。イラストまで描いてあった。


「空白のページには体重を記録してね。一緒にダイエットしよう、日日明くん!」


「ちょっと待って? つまり、俺のダイエットを手伝ってくれるってこと?」


「そうだよ! 一緒に頑張ろう!」


「そこまでしてもらわなくてもいいよ!」


「一緒に頑張ろう!」


「手伝ってくれるって言っても、具体的にはどうやって手伝うんだ?」


「朝食と夕食を私が作ってあげるよ。昼食は学校の給食だから、さすがに無理だけどね」


「本当にそこまでしてもらわなくてもいいんだって!」


「全然面倒じゃないよ。普段から自分の分を作っているんだから、一人分増やすだけだもの。それに、日日明くんにはいろいろ助けてもらったから、私もあなたを助けてあげたいの!」


これ以上断ったら、俺は男じゃないと思う。


「分かった。じゃあ、君の好意に甘えさせてもらうよ!」


「それじゃあ、夕食を用意してきたよ。さっきスタッフさんに、あなたの夕食を取り消してもらったから、今夜は私の作った夕食を食べてもらうね!」


彩衣は弁当袋から弁当箱を取り出し、中身を見せてくれた。とても健康的な献立だった。卵焼き、キヌアご飯、鶏もも肉のソテー、ほうれん草炒め、ミニトマトが入っていた。


彩衣の料理の腕前は本当にすごい。弁当はとてもおいしく、しかも健康的なダイエット食なので、食べても太らない。


「本当においしいよ! 彩衣がこんなに料理上手だったなんて、知らなかったな!」


「そんなことを言う必要はないよ! 簡単においしいって言ってくれればいいの」


「ああ、本当においしいよ」


俺は弁当をきれいに平らげた。彩衣は弁当箱を弁当袋にしまった。


「明日の朝、学校に来たら朝食を持っていくね。それじゃあ、私は帰るね! バイバイ!」


「ああ! バイバイ!」


彩衣が帰っていった後、俺はあることに気づいた。これって、女の子が手作りしてくれた料理を食べたってことじゃないか? どうして太ったら、逆にモテるようになったんだ? それとも、俺の考えすぎなのか?


その後、俺は寺院の中で風呂に入り、スタッフが用意してくれた寝間着に着替えた。


ちなみに、エルヴィスが新しい制服を持ってきてくれた。試着してみたところ、サイズはぴったりだった。


こうして寺院で一晩を過ごし、翌朝はかなり早く起きて家に戻り、鞄を持って学校へ向かった。朝食をまだ食べていなかった俺は、腹を空かせていた。クラスメイトたちは、別人のように変わった俺を見て驚いていた。松樹と阿賢にも散々からかわれてしまった。


そのとき、彩衣も教室にやってきた。そこで俺は、彼女がどうやって朝食を渡すつもりなのか、ようやく気づいた。俺たちの目が合うと、なんと彼女はそのまま俺のところまで歩いてきて、弁当箱を机の上に置いた。


おいおい! 彩衣、もう少し周りの状況を気にしてくれよ! みんな、君が俺に弁当箱を渡しているのを見て、何をしているのか気になってるじゃないか!


「ノートと弁当を交換!」


「はあ?」


「体重の記録を確認するからね。ちゃんと記録してあるよね? もし記録していなかったら、ご飯はなしだよ!」


「ある! もちろんある! どうぞご確認ください、彩衣様!」


俺は急いでノートを彩衣に渡した。今朝、家で体重を量った後、ちゃんとノートに記録しておいたのだ。


「よし! ちゃんと記録してあるね! 朝ご飯を食べていいよ!」


――俺って、もしかして尻に敷かれてるのか?

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